5瓶 錬成
やっと、門へ辿り着き・・商館へ行って登録。
門を抜ける為の『許可書状』を得る為に、依頼をこなしてランクアップを目指す事になった。
・・・しかし、草で良いのか?傷薬・・・・と思いながら、草をむしる私です。
草は5束分作り、既に鞄に入っていて‥あとは、商館に戻るだけ。ただ・・朝 入った入口じゃない場所から 入らないといけない・・・・とか思いながら、裏路地を進むと、見た事ある場所に到着。
あぁ、ちゃんと来れたわ。
ドアを開き・・こっちは音、鳴らないんだ・・・。
奥のカウンターで 先ほどのお兄さんに、草束 と 紙 を渡す。
「はい、お疲れ~。簡単だったろ?」と言いながら、目の前に 10R (大銅貨1枚) 出される。報酬らしい。有難く頂戴する。
「君は…文句を言わないんだね」と言う言葉に、顔を上げる。
はい? なんの話?
どうやら、なりたて商人(見習い)は、最初の報酬額に、ケチをつけるらしい。
もらえるだけ、有難いとは思わないんだ・・・。
正直、報酬額‥書いてなかったから、てっきり・・もらえない・・もしくは、小銅貨数枚だろうと考えてた。予想以上に多かったので、文句は無い。
聞いて無かった事を思い出し、質問する。
「あぁ、そういや‥言ってなかったね。1日 何回でも大丈夫だよ」ただし、依頼の紙によっては納期が近過ぎて、受理されない場合も‥あるらしい。
個人的に…ゲームでは、既に持ってるアイテムか確認したり、近所でGET出来るかどうかを確認した依頼しか、受けた事が無いのよね・・。だから、納期が『いつでも』とか言わない限りは、そんなに受けないと思う。
「ぉぃ・・」と後ろの方で声がする。
「呼ばれてるよ、君・・」と、お兄さんが言うので振り返ると‥ギルド長が「こっち来い」と・・・。
「おまえさん、カード出せ」と言われるままに、出す。
何かしてるようだが?
・・こちら側からは見えない。直後、何か自分の足元から風が吹いたように感じる。・ん?・・・何だ?
ギルド長がカードを出した。あれ? 横に黒いラインが付いた。
「これを、かぶれ」と、今と同じ形の 黒い帽子 を渡される。
あれれ?
「ランクが上がったって事ですか?」と私が聞くと「早くかぶれ」と言うので、今の帽子を鞄に仕舞い、黒い帽子をかぶる。サイズは ピ ッ タ リ だ。
「あ・・このベルトは?返しますか?」
「やる」
くれるってさ。では、そのまま付けておこう。
どうも・・と言って、受け取る。すると今度はまた、お兄さんが呼ぶ。忙しいな・・・と思いながらも移動する。と、突然!勢いよくドアの開く音がして、ビクッとなった。 何?・・・
「おっちゃん、おっちゃん!コレ違うんじゃねーかー!」と、どこかで聞いた声がする。溜息交じりのギルド長が「また、おまえか‥。話、聞かずに飛び出す方が悪いだろうが・・」と聞こえる。
『書状』って言ってたのに、木の板を渡してたから、おかしいな・・とは思ったけど、面倒事になりそうな予感があったから、すぐ退散したのよね・・。
お兄さんも‥苦笑いを浮かべてる。
私が来ると、今度はグレーと黒の紙のを受けれる事を説明してくれる。
ギルド長と少年の問答が うるさく続いていたが、関わらないように掲示板を見上げた。黒い紙には グレーの時のように、素材集めと傷薬の納品があった。
傷薬の納品に興味が湧いたので、取り外す。
紙を‥よく見ると・・・
【 納品依頼 】 傷薬 5コ~10コ程度。納期・3日間以内。
納品場所・道具屋/ケントニス店まで
と、書いてある。
道具屋さんに納品? あぁ、卸すって事かな。
「これは、傷薬は買うんでしょうか?」と聞いた。
お兄さんは、紙を見て「そうだね・・」と言いながら教えてくれた。
普通は、草を叩いて汁を出し、小瓶に移せば出来上がり・・ってくらい、簡単なものだから‥小瓶を買えない人は、購入してから。買える人は、購入してから納品するらしい。傷薬を‥どこかの店で買うのは良いけど…報酬が、そこまで高くないことから、オススメは出来ない(赤字になる)・・と言われる。
ふむ。小瓶・・一応あるけど、足らないな。とりあえず、受けておく事にしたのだが・・・「大丈夫かい? 今、受理すると今日から3日間で‥実質、あと2日しか無いよ?」と心配される。小瓶買うお金はあるので、たぶん・・問題無いと思う。でも待て・・「作るとしたら、どこで?」と聞くと、大抵は 自宅らしい。宿屋内では、許可されれば出来なくはないけど、他の人の迷惑(叩いてる音)になるから、許可されにくいって。
・・・ ど う し よ う か ・・‥・
ひとまず 保留にして、また目途が立ったらにすると伝え、明日来るまで・・残してもらえるか‥尋ねると快く「いいよっ」と言ってくれたので、今日は宿を探す為・・依頼は受けずに、口論止まない商館から立ち去った‥。
ふー・・なんか、ギルド長も大変ね・・。
宿の多い通りに出て、ごはんも食べれそうな所を、探してみる。
夕暮れ時になってきた。けっこう時間かかったんだな・・と、しみじみしながら、宿を探す。・・・だが、どこも いっぱい になっていた。
・・・どうしたもんか。
今朝の宿へ行ってみた。
「おぅ!空いてるぞ! 泊ってくか?」 空いてた!
元気よく「はい!お願いします!」と言うと、前回より良い部屋に泊れる。
今回は、多く見積もって・・5日くらい・・と言うと、鍵を渡される。
「お金は?」 払ってない。
前回は、1日だけだったから・・その場で払ったのだが・・。いくらって言われてない。
「鍵返す時に、いっぺんに 清算だ。ちなみに1日辺り大銅貨1枚だぞ」と言われる。鍵を受け取り、まず部屋へ行った。晩御飯は、もう少ししたら、出来るそうなので、それまで部屋で 小冊子を読もうと思った。
鍵を開けて・・中へ入る。少し広めな部屋だ。オシャレな机と椅子がある。敷物まであるので、靴を脱いで入口横に置いておく。なんだか汚したくなくて‥敷物。
せっかくなので、椅子に座り、机に置いて在る灯りを付ける。電気コードのようなものは、付いてないので・・たぶん、何か魔力的なアイテムが、使われてるのだろうと思い、これも鑑定してみた。
[ アギラ・オルクス ]
アギラの目の魔石を使った灯り。半永久的に光り続ける。
アギラが 分からん って!
・・目の魔石? 魔物って事かな?
相変わらずな説明に ツッコミ 入れつつ、冊子を取り出し、読んでいく。
まず、商人のランクは・・0~6まで。6が最高ランク。それぞれ、名前も付けられてる。ランクごとに名前、装備アイテム、番号とカードに記される色の帯・・それらで、判断される。
それから、ランクによる制限もある。
ランク2・トパジィまでは、商館で商品の売買は可能。依頼も、簡単な素材取集・薬納品業務くらいまでしか出来ないし、報酬も低い。まぁつまり”見習い”って事だろうね。試用期間・・みたいな感じだろうなって事で、自分は納得した。
ランクが上がると、いろいろな取引が可能になってくるみたい。ただ、報酬が高いものは、当然・・高いランクの商人を優先して、依頼を出したいらしいから、受けられない事もあるみたい。まぁ普通に考えても、そうだよね。
・・・ちなみに、0は、チェネレ と言い、1は、アキーク と呼ばれるらしい。店持ちの商人は、ランク名よりも・・お店の名前で呼ばれるから、装備してるアイテムをよく見るように と、書いてある。自分よりも高いランクの人に、難癖付けて‥トラブルを起こさないようにって書いてあるし。
・・・そういや、さっき・・・なんか、風吹いたけど・・何だったんだろ?
パンフレットの地図も広げる。お店の名前・・えーーーと、ケントニス!
そうだ。そのお店も探さないと・・・でも、これじゃ・・。りっぱなお店の名前は載ってるみたいだけど、依頼のお店が見つからないぞ・・。明日は、そのお店の場所を探しながら、小瓶を買わねば。なるべく形は揃えたいけど…。
・・・ゲームのMAPが、恋しい。
行った場所とか地図に載ってて、目的地までのマーク表示されたりして、向かう方角だけでも分かるのは、有難かったなぁ~・・なんて、想像してた。
仕方ない・・と思って、地図のパンフレットにまた視線を落とした・・あれ? どっか落ちた?? 消えてる。
「飯 出来たぞーーーっ」って、階下から店主さんの大声と共に、扉が次々と開かれる音と、階段を駆け下りてるような‥大人数の足音がする。足音が少なくなった時に鍵持って、扉を一応閉めてから・・階下へ降りて、ご飯を頂く。
今日は、煮魚だった。美味しい!
他のお客さんと、店主とのやり取りが聴こえてくる。
「調味料、届いたのかよ? おやっさん」
「あぁ。騎士団見習いが頑張ってくれたようで、すぐに解決してよ」
騎士団にも…見習いさんが居るそうです。でもま解決したなら良かったね。
食事を終え、酒を飲みだした人達から離れる為、店主さんに「ごちそうさまでした」と言って、部屋へ戻った。一応・・未成年だし?
部屋に戻って、地図を探す。・・・ベッドの下には‥落ちてない。
・・・もしか す る の?
1度ある事は、2度あるって言うし・・・。
ステータス! と思ったら、再び開いた。
案の定・・上のタブに新しく [ 地図 ]と書いてある。押して開くと、町の全体図から、ズームする形で画面が動き、今・・自分の居る場所だろうか? 赤の丸い◎で点滅している。それから、検索にあるような、虫メガネみたいなマークを見つける。
ものは試しに、ケントニス 店 と入れてみると、今度は ぐぃっ と動いて、マップの上の方に、緑の旗が出現した。ここが、そう・・って事? 有難い! これで、迷わず・・に・・・・いや・・それでも、迷う時は 迷うのだけど・・。行けなくはないと分かり、ホッとした。これで場所の問題は良い。
・・・ん?
ふと 特殊・・の所に、赤い小さな粒が付いてるのが‥気になった。何だろ?
あ・・何か増えてる。
・・・錬成・・・?
[ 錬成 ] 素材1つを使って、アイテムを 作成 出来る。
え? 素材1つで、アイテム作る??
合成・・いや、1つだから、合成とは言わないよね・・。
で・・どうやるのよ・・・。そこに説明は 無 い の??
実は、今日・・草が伸び放題な場所を見つけたので、まだ明日も‥同じ依頼をやるだろうって、思ったので…余分に引き抜いて、持ってきたんだよね。
1束の草を出す。・・・念じろ・・とか、言う?
・・・錬成の文字を、指先で突いた。
他の説明無いんですか?と思ってたら、びょんっとウインドウ出て、顔にぶつかるかと思ったくらいの勢いで、思わず避けた!
それは、薄い黄色のボードで・・・やり方が、書かれていた。
何 な に・・・。
素材を持って、手を合わせろ?
はぁ・・えっと、持って・・手を合わせる・・・。
・・・・反応 し ま せ ん が?
やり方が違うのかと思い、素材を‥包むような形で‥やってみた。
直後、手のひらの中で何かが産まれてる感じがして、手を開くと『ゴトッゴトッ・・』と。小さな小瓶に入った緑の物が、5つくらい机の上に、出てきた事に驚いて、目を開く。こういうのは…音 緩和の為に・・ベッドの上とかにした方が良さそう・・・という感想と共に、出てきたものを、鑑定してみた。
[ リモン傷薬 ]
一般的な傷薬。体力・30回復 材料・草
・・・・?? リモン傷薬??
え・・・あれって、そういう事だったの? スタベンとか、変なの・・って思ってたけど、作成した人の名前って事?!
。。。なんか、自分のキャラクターの名前が付いてるのが、こそばゆいというか、照れくさいって言うか・・なんか、ぞわぞわするな・・・。
どれも同じ名前が付いた傷薬が、出来た。
説明に‥今まで無かった、効果が表示されている。
体力は、やっぱり・・HPだね。30回復か。まずまずじゃない?
あれ・・1束で、5コ出来たけど・・・。
少しの草で、もう一度やってみた。今度は、布団の上で。
・・・2コ、出てきた。え?これで、2コ??
葉っぱ、1本だけを持ってやってみた。
・・・1コ出来た。効果は、みんな同じで。
それとガラス瓶・・・勝手に入ってる! 買ってないのに、入ってる!
もっというと…買ったのと全然違う。‥なんというか、香水の小瓶みたいな入れ物に入ってる。買った覚えは・・ありませんけどねぇ・・・。
・・どうなってるんだ?
・・・もしや、これが・・俗に言う・・・ ” チート ” だろうか?
そう言うと、なんとも しょぼい感じ が・・・否めないが。
とにかく、これで解決してしまった。
計 8コ
キリが良く無いので、もう‥1束で、作って・・余分な分は、自分が使えばいいや と思って、仕舞っておいた。
明日は、また・・ギルドへ行って、さっきの依頼を受理してもらって、届けに行こうって思った。まだ、許可書状の話が出てないから、もう少しランクを上げないと、出せない‥のかも知れない。
そう思って、ステータス画面を閉じようと思ったけど・・なんか、能力値・・増えて・・る?
風は・・レベルアップだったのかな?
だって最初の 体力は150 だったはずだ。今は 200 になってる。
魔力は、あまり増えてないし、他のもそんなに上がってないけど。
・・・はて?
この世界 来て、まだ魔物と戦ってないのですが・・・?
あれかなぁ? シミュレーション系RPGだと多いのが、何をやっても経験値になって、レベル上がるっていう・・感じ‥なのかな?
・・町中、歩き回って・・草抜いた・・・だけですけど・・・。
ステータスあるある的な、次のレベルアップまで・・・みたいな項目が無いので、何とも言えないのが残念だけど、明日の為に、もう少しアイテム作って仕舞っておこう。こうして、拾った草を傷薬にして・・眠くなったので、灯りを消して眠った。
明日は・・納品依頼を受けるぞー・・・ぉおー・・と、小さな声で決意して、眠りについた。店まで・・遠そうだったけどね・・。
【この世界のお金価値】
1円=小銅貨1枚/10円=大銅貨1枚/100円=小銀貨1枚/千円=大穴銀貨(50円玉の一回り大きいもの)1枚/1万=小金貨1枚/10万=大金貨1枚/百万=大穴金貨1枚※これ以上は無い。
※遭遇する少年=現在、アルドルの町の問題児として、有名な少年。
【アギラ・オルクス】この世界の一般的な照明機器。魔物の目の魔石によって、永続的に使える優れもの。だが、この『アギラ』は生息個数が少ない為、けっこう貴重品。無い場所もある。オルクス=目の魔石という意味。
【商人ランク】0(見習い)~6まで。各ランクを示す、装備アイテム・カードの帯などにより、ランクが示されている。制限もあり、ランクが低いもの・高いものでは、扱える商品が変わる。
ランク0 チェネレ (グレーのベルト) → ランク1 アキーク (黒の帽子) → ランク3 トパジィなど
【錬成】素材1つから、アイテムを作り出す特殊スキル。
【傷薬の名前】作成者や店の名前が前に付く。効果が見えるようになったのは、錬成を覚えた為。
次回・・初、納品依頼・・・迷子にならない事を祈ろう・・・。




