146瓶 剣と鳥
ロフォス軍団長から父経由で‥私に お叱りが来た。
カルム様‥大丈夫だろうか?
当日の同行者や、会いたかった人達に会えたけど‥。
こんな早朝に‥起こされた理由って・・・?
眠くて仕方ないのに‥リモンになり‥転移。
ゴツッ …痛い。棚に ぶつかった。
目覚ましムニを1粒口に入れ‥うぅ!すっぱいっ!!
若干‥涙目になって、ようやく起きた‥と言える。
しかし、なんでまた‥こんな早くに来い‥だなんて言うのかな?
鞄 持ったし・・帽子・・被ってる。ふわぁぁぁ‥帰ったら‥寝たい。
玄関から出て、鍵をかけると‥誰かが近づく足音。
振り返ったら‥兵士さん達。
「おはようございます」
「リモン殿、急いで下さいっ!」えー・・走るの~?
「我らが、お運びしますので‥どうぞ」
・・おんぶ‥してくれるそうです。では‥お願いします。
ダラ ダラ 歩いたって‥5分も掛からないのに‥。むにゃ‥眠くなる。
兵士の お兄さんは‥走ってるみたいだけど‥あんまり、揺れない‥。
「リモン殿!着きました。降ろしますね」‥はい。
もう少しで、眠りそうだったよ・・。
コン コン コン
「リモン殿を、お連れしました!」
『入れ』「は!」
「さ、どうぞ‥リモン殿」はい。
「失礼します」
部屋の中は明るいから・・目は、開けてられるけど‥ 一体 何だろうか?
「扉は閉めろ。ひとりは、残って待っていろ」「は!」
扉が閉められると・・こちらを見る‥軍団長。
「早朝に呼び立てて、申し訳ない」いえ。
「2つ、急ぎ‥確認したい事がある」はい‥何ですか?
1つは、10人の英雄の話が書かれた記述の本について。
「僕 個人の持ち物では無いので‥。家を貸して下さった、ヤトゥロス家の旦那様から許可を貰って下さい」
「分かった。それと、もう1つは・・」
どうやら‥私の魔法適性が、熱系だけでは無いと知りって・・改めて、適正を 知りたい と言われた。
「最初に見た時は、何故か‥金色でした」
私の要素に『金』なんて 無い のにね。
「…では、この度 覚えたと言う‥水・風・土以外の習得は考えてるのか?」
「今の所は、考えてません。ただ‥治癒魔法は使えるようになりました」
これは、副官さん達も含めて‥驚かれた。
最初は、加減を間違えたけど・・もう、大丈夫。
「今日は・・何か、予定は あるか?」今日?
「特に無いです」家で、本でも読もうかと 考えてはいたけど。
「では、明日は?」
「明日は‥家族と過ごしたいですね」
「‥リモンよ。今からで悪いが、剣と鳥の所に案内する。見て貰えぬか?」
あぁ・・もう行くんですか?‥はい。
「あの‥その前に、これ‥食べて良いですか?」朝食も‥まだ なんだよ。
お腹 空いたし。お腹が鳴るの・・聞かれるのは‥ちょっと。
「携帯食料か? 見慣れん大きさだな」
「ゎ‥僕が作った物だから‥皆さんが、普段 食べてるのとは違うと思います」
これは・・父に頼んで、軍で支給されてるという『携帯食料』を食べた後に、作ったもの。フルノスで焼いてる。
軍のは‥歯が、よほど丈夫な人じゃないと、痛くなるくらいの硬さだった。
お湯に入れて‥ふ や か し て みたりもしたけど・・。
硬いままの方が、まだ味は良い。ふやかすと・・マズかった。
鑑定してみたけど・・栄養が偏ってるような気がして…。
現代でのカロリーバー系は、好きで‥よく食べてたから。
作りたくなったんだよね。まぁ、クッキーの応用みたいな物だけど。
「朝食が、まだだったのか‥。それなら、ここで‥食べておきなさい」
「ありがとうございます」
副官さんが、椅子を持ってきてくれた。座る。
ぱくっ もぐ もぐ 美味しい。
そして何より・・柔らかい。もぐ もぐ‥
野菜ジュースも取り出して飲む。お い し い 。
「食べながらで構わぬから‥リモン、それは‥数多く‥作れるのか?」
ごくっん‥え?
「レシピは、教えるので‥そちらで作って下さい‥。数は作れません」
前に作ったクッキーみたいに…数 用意するのは、けっこう大変なんだよ。
「レシピを‥教えて頂けるのですか?」はい。
たぶん、携帯食料だって‥どこかで作って貰ってるんでしょ?
普段から、似たようなの作ってる所に任せた方が、楽に作れるんじゃない?
これは、錬成で‥作って無いもの。即効性うんぬんは‥無いよ。
きっと、誰が作っても‥変わらないんじゃないかな。
もぐ もぐ 。1本で、十分‥満腹。
口を拭き‥椅子を返す。
「お待たせしました。もう行けます」
「では、これを渡しておく」
あー・・ピンクの紙‥はい。胸部分に付けておく。
・・軍団長と副官1人が 付いて来る。
扉の外に居た兵士は‥おぶってくれた人だ。まだ・・待ってろって。
「こっちだ‥リモン」はい。
奥に 抜けて行き・・地下へ と入る。地下・・2階くらいの場所で、最初の部屋に着いた。石碑巡りの時とは、また違う・・白いだけの部屋。
その‥丁度 中央に・・大剣が‥刺さってる。これ?
キィィィン うっ‥この先には、私・・入れない。
「‥どうした?リモン・・もっと、こっちに来い」
「僕、この先へ 入れません」
「団長、私も‥リモン殿と同様に、先に進めません」
「…どういう事だ?」
団長だから、特別・・とかじゃないのですか?
「いえ‥リモン殿。以前、他の州の軍団長が来た際も‥我々と同じ場所から、動けませんでしたよ」そうなんですか?!
『軍団長だから』・・・では、無いって事だよね‥それ。
「…ちなみに、軍団長の家名は何なのですか?」関係 無いかもだけど‥。
「俺か? 俺は、ヤーコート‥だが?」‥残念。知らない。
「軍団長は、現・王族と血を分けた分家の末裔なのですよ」
副官さん・・嬉しそうに話してくれた。それって!
「つまり、現・王様の家系‥英雄 チェントロの‥だから・・では?」
「なるほどな。しかし、それでは‥どうにもならんな‥」
以前に近づける人は抜こうとしたけど、文字が出るだけで抜けなかったそう。
あ、ココからでも‥鑑定 出来ないかな? 鑑定・・よし。
『導きの石にて儀式を終えたのち、選びし者の手に納まるだろう』
「…って、書いてあります」
「やはり、儀式をせねばならぬのか。ここは‥最後に なりそうだな」
「ではリモン殿。案内鳥の方へ 向かいましょう」はい。
さらに、隣の州に入った後・・また、何階か降りた‥のかな。
かなり広い場所・・四隅は暗いから、正確に把握は出来ないけど・・。
「こんなに、大きなもの・・だったのですか?!」
ワシミミズクに見た目が そっくりな・・。
だけど‥全身 金色で、大きい。
平均的な身長の男性・・2人を縦に並べたくらい。
止まり木みたいな所に‥止まったまま・・動いてない。
大きさに、圧倒される。薄暗いのも・・体が金に覆われてるから・・かも。
「こちらは、どうだ?」
ひとまず‥離れた位置から、鑑定っ!
『我の想い人に、近い人物を連れて来い。その者に 全ての権利 を譲ろう』
「‥と、ありますけど‥」
「モルドーモの想い人なんぞ‥どの文献にも無いぞ?」そうなの?
「想い人では無いでしょうが‥。同じ英雄のマルール氏は、モルドーモの魔石品作りの助手だったようです」マルールさんが?
・・モルドーモさんと同じ年だし、助手で 一緒に居たなら‥想い人になるかもだね。でも・・マルールさんって、オクレントさんと恋人に…。
「これは、ある程度は誰でも近づける。リモン・・ここに、立ってみてくれ」
言われるまま・・床の‥白いテープ?の所まで来た。
『認証・・開始』はい?!
テープかな?なんて、下見てたけど・・・。
その声で見上げると‥鳥の目が 開いてる。
・・え・・スキャンでも…されてるの??
私‥白っぽい光に・・包まれてる。
『‥認証・・失敗。判定率・・89%‥男児‥違う』
・・・・89%とかの数字より・・これ、まさか‥。
昔のマルールさんの人物像に‥限りなく近い人なら‥使えるって事じゃ⁈
・・私も、今のリモンの姿じゃなく‥リモーネだったら?
いや・・やめとこ。いろ いろ と 面倒だもの。
「89‥とは。今までで、一番 可能性が出てきましたね‥」
「先程 話してた、英雄の本には・・この、マルールさんの姿絵も描かれてました。髪色や瞳の色も。同じような人物を探してみては、いかがでしょうか?」
「うむ。やってみるのが、良さそうだな‥探してみよう」はい。
帰り際には、団長と副官さんで‥お父様から、本の貸し出しを検討する話が交わされていた。軍団長の部屋まで戻って来たら・・・。
「今日は、早急に呼び立てて、すまなかったな」いえ・・。
出発式 当日にする事を、前倒しに しただけ。
「当日は、即‥ペリペティアの森の祭壇に向かってもらう」はい。
「でも、オリヘンに入れないのに‥どうするんですか?」
「以前から、調べておりましたから、石碑の文章などは既に あります。それに様々な素材は、採取 済 ですから」なるほど・・選ぶだけなんだ。
「では、当日は‥また灯りを点けて家で待つように」はい。
「おい、送ってやれ」
待ってた兵士に声がかけられ‥送って貰えた。
無事・・町側の入口。もう、しっかり明るい・・。
「ありがとうございました。良ければこれ、どうぞ。今日‥別荘まで来てくれた人にも、渡して下さい」タコ焼きくらいの大きさの‥お菓子。ひとり1つね。
「よろしいのですか?‥ありがとうございます。では、失礼します」
お疲れ様です。
別荘に戻ると‥コビト経由で、お父様からの伝言が来た。
『英雄の本とやらを軍に貸す事になった。持った状態で家に戻って来い』
はーい。
じゃ、まずは・・書庫だ。
英雄の・・本・・そう‥これ。貸出 許可の印を付け、転移する。
盗難 防止用にと‥メドレグで使った物の応用で、家の守りを作ったから‥同じような物を付けないと、持ち出せ無いのよね。
これは、お父様も‥承諾 済。
部屋で着替え・・リモーネに戻る。今日は、赤いドレスだ。
・・寝巻が良いよぅ‥終わったら・・眠りたい。
「お父様・・」
『本は?』はい・・これです。
「このような物が‥我が家の別荘に在ったとはな・・」
当時、興味があったのは・・子育てや、家族円満に過ごせる秘訣とか、騎士団内での業務について・・だったみたい。それじゃあ、見逃しても仕方ないですよ。
「こほんっ では、行って来る」
「いってらっしゃいませ、お父様」
・・・あれ? お母様は?
「エナ、お母様は・・来ないの?」
「軍の急用という事で、リモーネ様を起こす事になった事を‥旦那様に、怒っておいででしたから」ありゃりゃ‥。
「お母様にも、挨拶に行くわ」
「お母様‥」
『リモーネ・・入って来て』はい。
ソファで‥やや、ぐったりしている。
「大丈夫ですか?」
「気にしないで いいわ。ロチェスを怒ったのが‥疲れただけよ」あはは…。
「でも、お父様のせいでは…無いような気がします」
「いいえ。あの人ったら‥軍団長の命令には逆らえないんだもの」
軍団長が呼んでるのは、あくまでも『商人 リモン』だから。
お父様としては、断るなり‥なんなりしたい所だろう。
だけど、娘‥とは言えないから、押し切られてしまうのでしょうね。
「分かってるけれど‥。それでも‥もう少し、どうにかして頂きたいわ」
「眠くて仕方ありませんでした」ふっ‥と少し、怒ってた顔が ゆるんだ。
「そうね。お昼まで‥もう少し、おやすみなさいな」はい。
エナが呼ばれ、私は再び・・寝巻に着替え・・・眠った。
お昼・・少し前に起こされる頃には、すっきりしてた。
昼食後、ツェーンから手紙を受け取る。青紫の‥あ!カルム様?
お部屋で‥封を開ける。・・お返事・・早かったな‥。
うっ …・・・恥ずかしいっ!
ストレート過ぎますっ!!
ふぅ~‥暑い。もう‥カルム様・・・。
えーと? 『アヴィド殿に怒られても、気にしません』?
いえ・・気にした方が‥よろしいかと。
『あなたが 恋しくて‥』ぅぅ・・。
お仕事に支障が出てるみたいなのに・・終始‥リモーネへの『愛の言葉』攻撃で。
・・読む方の身にも‥なって欲しい。恥ずかしいよ・・カルム様。
お守りは・・壊れてないもよう。
お守り壊れて沈んでて‥とか思ってたけど、逆なの??
溢れまくってる‥想いで、何か・・オ カ シ ナ 事に?!
・・それ、私には‥どうする事も、出来ない事では!? はぁ~
とりあえず‥お返事 書かないと。
・・うぅ・・しかし、どうしようか‥。そうだ! お母様に相談しよう。
※迎えに来た兵士 ( リモンを運んだ者 ) は、魔法の『高速 移動』を使ってたので揺れませんでした。氷を滑ってるような感じで移動してた為。
【携帯 食料】軍 支給品・食料
軍事作戦や実技演習の際などに1人3本まで 支給される物。物凄く固い。色は 焦げ茶色をしており 大きさは 現代の カロリーバーより 一回り 小さく細い。主に 攻撃力アップと腹持ちを考えられて作られている。味は 固いパンと似ている。水などで柔らかくすると 味も素っ気もないものになり不味くなる。苦手と思う兵士も多いが 改良された事は無い。
【バー】携帯食料
リモン考案のカロリーバー。基本の材料は クッキーと同様だが 様々な木の実 や 種、果物を乾燥させた物を混ぜて フルノスで焼いた物。柔らかく 美味しい。フルノスで焼いてるので大量生産は遠慮したいと考えている。色は黄色に近い茶色。味は ツクルも入ってるので甘め。長さは軍と同じくらい。
【ガラクスの大剣・安置所】
エキャルラット州 軍施設・地下に安置されている。台座 近くまで行けるのは 現・王族に近い血筋の者達だけ。それ以外は 透明な壁のような物で遮られて 入れない。抜こうとしても 古代語が出るばかりで抜けない。正しい順番で なければ抜けない仕様。
【シクレッツァ・ヤーコート】( アラビア語・ルビー )
エキャルラット州 軍団長の家名。元は、王族になった英雄と共に他国から一緒に来ていた『宝石商』だったそうで、王族になったチェントロの義兄の末裔が、今の軍団長とのこと。
※導きの石 = 126瓶 石碑巡りツアー開始で見つけた場所。
【モルドーモの案内鳥】魔石品
ウィリディス州 軍施設・地下 下層に安置されている 巨大な鳥の姿。ワシミミズクのような外見をしていて金色。近づくと相手を見据え 数字 を 話す。兵士は だい たい 20% ~ 40%程度だった。モルドーモの設定した者に 限りなく近い人物なら この魔石品の 全権を譲る と 古代語には書かれている。
※カルムからの手紙は‥リモーネこと、凛が 見慣れないもの だった為に どうすれば良いか 分からなくなっていた。凛は恋愛に縁が無かったし そういう類は あまり観て来なかった事が原因かと。
次回、作戦が・・いよ いよ 始まり‥私は・・・




