1瓶 入れ替わり
※主人公目線で書きます。
※約5千文字前後。
※アイテムクラフト系の旅物語です。
※女主人公
私、リモーネ・・14歳。
この世界では、男女差別的な法律で‥男子は10歳以上になったら親の手伝いとかでも、町の外へ出られるのだけど・・・。
・・・女は、20歳の成人式の後からしか町を移動 出来ないの。
例外も あるけどね。お嫁に行く時は、15歳からでも行けるけど・・自由は無いし。
・・はぁ・・
私が今居るのは、チェントロ国のエキャルラット州・・。商人が多くて、活気があるのよね。そして・・実家のある、アルドルの町の食事処の2階席。
頼んだのは、スープだけ。今は旅費の為に節約なの。
干しパンは‥持ってきた中から切って、一緒に食べてる。
・・・年齢的に、旅が出来ないんじゃないかって?
そうなの! ・・・だから、弟に頼んで服を借りて・・・。
だから今、男装してるのよね。ふふっ
・・実は、これが初めてじゃないわ。
何度も、何度も下見がてらに・・弟の服を着て、町をうろついてる。
・・・でも、まだ子供だからかな? ちっともバレないの。
今日はね、町から出ようと思って、鞄に服や食糧、いろいろ書ける手帳、小型のナイフ・・一応。戦うのは怖いから、逃げれるように・・ずっと、走る練習もしてたわ。弟には止められたけど・・私は… 行 き た い の!
スープを飲み終えてから‥パンを持って、この町の景色を目に焼き付けるように見ながら食べてた私の近くで、いきなり言い争いをしてる声が聞こえる。
・・・朝から元気ねぇ・・・。
最後の一口を食べて、口を布で拭い・・階下へ降りようと振り返った瞬間、誰かが落ちて・・! やばっ!
咄嗟に伸ばした手で、お兄さんの腕を掴んで引っ張る!
お兄さんは、なんとか落ちずに済んで、ホッとしたのに・・ぐらっ・・と
え?
落ちてる私を見る、お兄さんのびっくりした顔と
・・お兄さんと争ってた男のフッ って笑う顔が見え・・て・・
・・・・。
・・・夜の雨の中。
こう暗いと、見えにくいな・・・。
仕方ない。今日は残業だったんだし。こんな時間になってたとしても、明日は休みだし・・ゆっくり帰ろう。
家へ帰る途中には、フェンスで区切られてるとはいえ、フェンスの先は、急な崖になってるから昔はよく、ここから落下した人が居たそうで。まぁ、だから今はフェンスでがっちり区切られてるんだろうけどね。
排水溝に乗ってしまい、つるっと・・やば・・
ガッシャン・・・ フェンスに寄りかかる形でよろけてしまった。
危ない危ない。
・・と、フェンスに付いてた雨水が服にべったり、付いた・・・・。
はぁ~・・帰ったら、洗濯ね・・・。
フェンスから、体を起こす・・キィ・・
ん? 何の・・音?
キュルルル・・
・・は?
と思った時には、私の体は…空中に・・放り投げられていた。
大きな音と共に、フェンスが滑り落ちてる音が聞こえ・・直後・・・
・・
・・真っ暗な所に 居た。
何も見えない。
どこよ・・ここ。 というより、死んだ? 私・・・。
周囲を、ぐるっと振り返る。しかし、暗いだけ。何も無い。
死んだのかな?
うっすらと明るくなってきた。‥‥小さい光が、徐々に‥大きくなっていく。
まるで「こっちに来い」と 呼ばれてるような気がして、私はその方向へ進もうとした。ふいに、後ろで声が聞こえる。
振り返ると、暗い中の奥に・・ぼやんっと光るモノが浮かんでいて、そこから声が聞こえるようだった。
「私、まだやることがっ!」
『おまえでは役不足だ・・消えろ』
と、子供のような姿の人?が振り払う手で、光ってるものを消した・・・。
・・・・なんだろうか?
その子供のような姿も、消えて・・・また、真っ暗になっていた。
・・光ってる方から、誰かの呼びかける声が聞こえてきた。
仕方ない。 行くか・・・。
光の中に入ると、視界いっぱいに真っ白な空間に目を瞑る。
「気が付いた?」 「大丈夫ですか?」
ふたりの人物の声がして、 ゆ っ く り と、目 を 開く ・・・
え? どこ、ここ・・・。 目を瞬く私。
見慣れない、明るい室内。窓は・・明るいから、昼間?
目の前というより、開いた扉の前には・・20代くらいのオレンジに近い茶髪かな・・。やや長めでうねってる。茶色の大きめな目のお兄さんが居る。カフェの店員のような恰好をしてる事が分かる。カワイイ顔のお兄さんね・・。
そして、真横の‥‥椅子に座ってるのか・・おっとりとした顔の、金に近いクリーム色で長いウエーブ髪と、緑色の瞳の・・きょ・・いや、大きな胸の・・。白を基調とした長いローブのような服装に、緑の刺繍がおしゃれ。長いシンプルな杖を持つお姉さんが居た。
・・年齢は・・若い‥の・・かな? 見ためは、20代・・後半くらいに見えるけど。
「はぁ~良かったー。あ・・その、こちらのお姉さんが、君を助けてくれたんだよ」と、両手で女性の方を向かせるように、動かす。
「丁度、遭遇したので…。成り行きでしたが、無事にお目覚めのようで何よりですわ」
「あ・・ありがとう・・ございます」自分と似通った低めの声が出た。
おふたりの話を総合すると、食事処で落下したものの・・通りがかった治癒術士の女性により体は治った。しかし意識が戻らず‥宿屋へ運び込んだそうだ。
「今日は俺が払っておいたから、ゆっくり休んでよ」
・・こっちは、お礼も出来ませんが・・と言うと、お兄さんは手のひらを向け「俺が助けてもらったお礼なんだから、気にしないで」と言い、じゃあ‥もし良ければ・・お店に来て と。
お兄さんが、もう休み時間過ぎてるから戻るね・・と言って、お姉さんにお辞儀して去って行った。その後、ゆっくり立ち上がった女性も、もしかしたら体のあちこちが‥痛くなるかも・・と言いながら扉へと進んで行く。
「私も失礼しますね・・お大事に」
・・去って行く際に、ドアは閉められた。
・・・足音も聞こえなくなった時、私はベッドから出て、窓の外を見る。
・・・どこでしょうね? ここ・・・・。
まるで、ファンタジーな街並みなのですが・・・・。
・・・マジで死んで、異世界転生した・・・とか?
額に手を当てて・・悩もうとした瞬間、触れる肌の感触が違い‥驚く。
よくよく見ると、見慣れた姿ではない。
手も小さい。・・・なんか、胸が苦しいが・・?
足元や服装も全く違う。
顔を触っても・・え? 誰の体??
ちょっと、待て。落ち着こう。
深呼吸だ。し ん こ き ゅ ー ・ ・ ・ ぅ・・
自分の体は、やや小柄なよう。服装は活発な男子・・と言いたいが、なんというか・・ファンタジー世界での記者のような姿・・と言えば、分かるだろうか?
大きな赤い太線の入ったチェックな白い服・・襟付・・。茶色のショートパンツと、黒い長めな靴下を履いてて・・無地だ。靴は、普通の革靴みたいだ。
・・なんか、高校時代の革靴を思い出すような形状だった。
履き慣れてるのか、痛くはないな・・。
備え付けの棚の所に、ズボンと同じ色の‥斜めがけの鞄があるので、靴を脱いでベッドに座って中身を確認する事にした。
・・・中には、真っ先に片手で持てる大きさの、やや厚めな手帳が出てきた。表紙は、これと言って何も書かれていない無地だった。えんぴつ?よりも、やたらと細いペン軸のようなものが、手帳に挟まっていた。
それから、着替えの服・・と食料だろう。固めな手触りのパンと、チーズや小さなリンゴのような果物がある。
それから、ガラスの透明な瓶に・・・何だろうか?
・・たぶん、何かの素材だろうけど・・3種類それぞれ入っていた。
まぁ、これは仕舞っておこう。
・・・と、それから・・小袋にお金。金貨や銀貨が入っている。
どうしたもんかな・・・。
一通り確認した。手帳以外は仕舞い直した。
「この手帳に、何が書いてあるか・・だよねー・・」
どうか、この世界の事でも何でもいいから、分かるの・・来いっ て感じで、開く。いや、真ん中 開いても意味無いだろうと思って、左側から1枚づつ開く。
そもそも、読めなかったらアウト・・・と思ったけど、最初は見慣れない文字だったが、すぐ翻訳されていく。良かった。読めて。
ふむ ふむ。
どうやら、この体の本来の持ち主は、リモーネ という少女・・14歳と書いてある。
この世界の法律のせいで、女子であるリモーネは‥親御さんの薬を作ってくれそうな人を探しに行けないようだ。だからこそ、かなりしっかりと計画して、旅立つ準備をしてたようで・・。お金の使い方から、国の各場所の簡単な情報。
そして・・・
町を出る為の 男 装 。
・・3つ離れた弟が居るみたい。
弟・アチェロに無理を言って、大きめの服を借りてるらしい。
下着まで借りてるという、徹底ぶりだった。
…弟は・・大変 だったな・・。
服装が少しな理由も、借りれた枚数が少なかった為と、荷物を極力減らす方が良いと、弟が言ったからだそうな。
弟…これ以上持ってかれたら困る・・とか、思っていそうな気がする・・・。
お金の単位は、Rと表記され・・リンと読むらしい。
・・・私の元の名前も・・凛ですが・・・変な所で、似た名前が・・。
そういえば、この子の名前もリモーネで、男装時の名前が・・リモン・・
・・・レモン・・みたいな発音で、良いのだろうか?・・
まぁいいか。
読み進めていくと・・どうやら、リモーネの家は高位の魔法使い一家らしく、魔法で全て治してしまう力を持っている・・らしい。すごいね。
だけども、そんな高位魔法であっても・・母親の病は、治らず・・・。
特別な薬を作れる薬師に頼むしかない・・そう分かっているのに、父親はそれを拒否してるらしい。高位な魔法で治らないって・・何だろうね?
しかし、父親も・・プライドが‥‥邪魔してるのかしらね・・。
そこで・・・少女が、その薬師を探す為に、わ ざ わ ざ 男装して 町から出る必要がある・・と。なるほど。
私が、ここに来てしまった事の理由は、今の所‥分からないが、ひとまず・・このリモーネの願いを叶える為にも、町から出られるか・・・明日、試してみよう。
それと、他にも願いというより・・・これは、少女の夢・・かな?
『世界中の素材等の情報を集めた、アイテム図鑑を完成させること』
世界中・・規模が、大きいなぁ・・。
ふと この世界が、ゲーム的な異世界ならば・・ステータス画面は出たりするのか?
・・・。
うん? 出る感じしないが。
そう思ってると、手帳が落下!
・・手帳が、布団と空間の間に‥入って行く!
は? え・・ちょっ・・とー・・・という小声も空しく・・
消えてしまう。
・・・どういう事??
首を傾げながら「うーーーん・・・」と唸っていると、突然・・その時まで出て無かったステータス画面のような半透明の水色のボードに、白い字で いくつかの項目が出てきた。すぐさま、日本語に変換されていく・・。
体力 150 魔力 80 危険回避率 70% 鋭さ 88
・・・? HPや、MPの表記じゃない。
体力は、まぁ・・これがHPだろうけど。
魔力は単純に魔法かな? つまりは、MPって事?
・・魔法を使えるかは、謎だけど・・・。
危険回避率? 運・・・とか、そういう事かな?
・・最後の、鋭さって・・・何?
・・・・・ちょっと分からないから・・追々分かると思う・・たぶん。
それから、ステータスの下部には、属性と耐性・・
属性は・・ 光・水・風 ここら辺は、普通な印象。
耐性は・・状態異常全般・・・すごいな・・。
光属性あるから、闇に耐性ある・・とかでも無いのか。ふむ。
ふと、ステータスの表示画面の上に、ルーズリーフのバインダー内で区切る時のタブみたいなのがあるのが分かる。
ステータス・スキル・特殊・図鑑と表示されてるので、ひとつづつ見て行く。
まず、次のスキル。
・・・特に・・今は、何も無かった。 無いんかぃっ!
ふー。
次は、特殊・・・特殊スキルかな?
開くと[ 鑑定 ] [ 翻訳機能 ] [ アイテムバッグ ]と、書いてある。
書いてあるのを押すと、説明が出てきた。
[ 鑑定 ]
様々な事を瞬時に[鑑定]し、何と知る能力。鑑定されたものは、全て図鑑にカテゴリごとに整理され保存される。 鑑定したものには、左上にマークが付く。
へぇ・・
[ 翻訳機能 ]
この世界の言語を”魂の国言葉”に変換する。
[ アイテムバッグ ]
手持ちのバッグを、アイテムボックスにする機能。変換済。
・・・ん? 変換・・済・・・・??
先ほどのバッグは、普通のバッグ・・だった。確認済だ。
・・・再び、開くと・・・何も入ってないように見える。
バッグに手を近づけるとTシャツのようなマークと、リンゴのマーク、剣のようなマークに瓶のマーク・・・が、並んで見えている。
Tシャツマークは、服・・だろう。リンゴは、食料。
剣は、ナイフだね。出かける際には装備する所がある方が…良さそうだけど。
瓶は、素材・・かな。
四角く区切られた、それぞれのマークの右上に、金額が書いてある。
今の手持ちは・・10,580R 1万の部分が金貨1枚だ。他は銀貨や銅貨だ。
出したい時は、 金額を思ったまま‥その金額部分に指を当てると、手のひらに現れる・・という仕組みだ。しかも手のひらを‥軽く握った形なら、その内側に出るので、正直わざわざ‥指を当てなくても、鞄の中に手を入れて金額を願えば出る・・と、何度か試して見つけたので、これで良しとする。
さて、少し休もう。
夜になったら、また手帳の続きを読む事にした。
【 主人公 】14歳・女/150cm リモーネ(男装時・リモン)※体の方
家出娘・母の病を治す為の薬が作れるという薬師を探している。旅立つ前に寄った場所で不慮の事故に遭い亡くなる。3つ下に、弟・アチェロ。
[ 主人公2 ] 30歳・女/160cm 松原 凛※魂の方
夜の雨の中で、不慮の事故に遭う。気づくと、見慣れない場所のベッドで目覚める。手帳から体の少女の目的くらいは果たそうと旅立つ。基本的に、戦いたがりません。世界の法律で男装する事になり、身バレに気を付けつつ行動します。早々に商人となる。
【チェントロ国】(イタリア語・中心)
世界全土で見た時に、丁度中央に位置している国。4つの州で出来ている。
【エキャルラット州】(フランス語・緋色)
商人が多く、他国との交流も盛んな土地。様々な職業の人が行き交う。
【アルドルの町】(ラテン語・情熱)
赤い屋根に赤っぽい柱が特徴的な、白壁の家々。それと、赤いレンガの道が整備されている。様々なお店などが立ち並ぶ、活気のある町。町の奥に、主人公の家がある。
次回、装備を整え、食事して、商人になって・・・




