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浜名瀬志乃の学び舎日誌  作者: 火乃香


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85/92

78話

この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。

オリジナルの妖怪が登場することもあります。

素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。

篁音(たかね)「それで、志乃(しの)さんはこちらで管理するという事で良いですか?言いたいことは言ったようですし。」

志乃(しの)「いや、なんでそうなる。」

篁音(たかね)「なら少し布団を捲っても良いですか?」

志乃(しの)「別に良いが何か関係があるのか?」

篁音(たかね)「見てもらえば分かります。」

篁音(たかね)が布団を捲ると志乃(しの)は寝間用の浴衣に着替えさせられていて、足が見えるようになっている。

篁音(たかね)が鏡を持って志乃(しの)に足の方を見せてくれた。

そしてその足には鱗が生え、布団の上には鱗が何枚か落ちている。

篁音(たかね)「あれから丸1日経っています。足首より下は戻っているようですがそこまで変わりありません。あ、着替えは私と真琴(まこと)さん、(しずく)さんだけでしているので心配しないでくださいね。」

志乃(しの)「それはいい。」

篁音(たかね)「一応です。」

志乃(しの)「痛みは軽くなっている。」

篁音(たかね)「鱗だけ最後に戻るのでしょうか?」

黒根(くろね)「嘘はついておらんよな。」

風見(かざみ)「呼吸は安定しているから痛みが軽くなったのは本当だと思う。」

黒根(くろね)「そうか。」

篁音(たかね)「いつ治るかは分かりますか?」

志乃(しの)「まだ2回目だからな。前は鱗が数枚生えただけで1時間程だったか、、なあ、少し足をさすってくれないか?」

篁音(たかね)「大丈夫ですか?触ったら痛いんじゃ無いんですか?」

志乃(しの)「痛かったら言う。鱗で手を切らないよう気をつけてやってくれ。」

篁音(たかね)志乃(しの)さんが言うのなら、、」

篁音(たかね)志乃(しの)の足に手を乗せる。

篁音(たかね)「痛くないですか?」

志乃(しの)「、、少し、だけど大丈夫だ。続けてくれ。」

篁音(たかね)が手を動かすとポロポロと鱗が取れていく。

篁音(たかね)「えっと、大丈夫ですか?」

志乃(しの)「ああ、続けてくれ。」

篁音(たかね)がしばらく続けていると鱗は所々禿げていく。

篁音(たかね)「本当に大丈夫なんですか?」

志乃(しの)「ああ。少し楽になった。」

そう言って志乃(しの)は軽く足を動かす。

篁音(たかね)「え?」

志乃(しの)「前も鱗が落ちたら痛みが減ったんだ。」

篁音(たかね)「つまり私は志乃(しの)さんが動けるように手助けしたって事ですか。まあ、良いですが。」

(ほむら)「つまりその鱗全部取っちまえば良いのか?」

篁音(たかね)「触ったところ、まだ剥がれそうにない物もありました。」

(しずく)「無理に剥がすのは、駄目よね。」

志乃(しの)「少しやってみても、、」

樹霧之介(きりのすけ)「駄目ですよ!」

志乃(しの)「気になる事があるんだがな。」

篁音(たかね)「それは何でしょう?」

志乃(しの)「大体の妖怪の体は妖力が無くなれば消えるはずなのにこの鱗、剥がれても残っているだろ。」

樹霧之介(きりのすけ)「そう言えば、この鱗って志乃(しの)さんが妖怪になったから生えているんですよね。」

篁音(たかね)「取れて楽になったのもこれに妖力が集まっていたからでしょうか?」

志乃(しの)「調べてみないと分からないな。」

志乃(しの)は後ろの壁にもたれかかりながら上半身を起こす。

樹霧之介(きりのすけ)「大丈夫ですか?」

志乃(しの)「今痛いのは足だけだからな。」

そして竹筒から管狐(くだぎつね)が顔を出して一番最初に12号が出てきて志乃(しの)の肩に乗る。

それから次々と出てきて殆どの管狐(くだぎつね)が飛び回っている中、5号は志乃(しの)の足と鱗を交互に嗅いで9号は鱗を志乃(しの)に渡している。

篁音(たかね)「結構回復したんですね。」

志乃(しの)「お陰でな。」

(ほむら)「ならやっぱりその鱗取った方が良いんじゃないか?」

(しずく)「何であんたはそんなに鱗を取りたがるのよ。」

茂蔵(もぞう)「魚っぽいから美味しそうとかか?」

(しずく)「鱗だけなのにそれは無いわよ。」

(ほむら)「駄目なのか?」

(しずく)「え。」

それを聞いて志乃(しの)は持っている鱗の匂いを嗅いで口に入れてみる。

樹霧之介(きりのすけ)「ちょっと、何してるんですか!?」

志乃(しの)「硬くて食べることは無理そうだな。」

そう言って志乃(しの)は口から鱗を出す。

(ほむら)「俺なら多少硬くても平気だぞ。」

(しずく)「止めなさい。」

手を伸ばす(ほむら)(しずく)が止める。

志乃(しの)(ほむら)、お前が美味しそうって思うのはいつも食べ物じゃないよな。」

(しずく)「こいつが馬鹿なのは知っているけどいきなりそんな事言わなくてもいいでしょ。」

志乃(しの)火車(かしゃ)が食べるのは人の死体だ。特に罪を犯している人の死体を食べている。お前、あまり人の食べ物には食欲湧かないだろ。」

(ほむら)「だけど一応腹は膨れるぞ。」

(しずく)「なら何で美味しそうなんて言うの?」

(ほむら)「美味しそうなものは美味しそうなんだ。」

志乃(しの)「惣領は何人もの人間や妖怪を犠牲にしている悪人だ。お前が反応しているのは惣領が関わったものなんじゃないか?」

(ほむら)「そうなのか?」

志乃(しの)「あの分身にも何か感じただろ。」

(ほむら)「え、いや、、別に、、」

(しずく)「本当分かりやすいわね。素直に言いなさいよ。」

(ほむら)「、、気持ち悪いだろ?あの肉の塊を美味しそうと思ったんだぜ。」

(しずく)「あんたにもそんな感情あったのね。」

志乃(しの)「それは種族によるものだ。特にそんな風には思わないな。」

(ほむら)「だけど樹霧之介(きりのすけ)茂蔵(もぞう)も触っただけで気持ちわるそうにしていた奴を食べたいと思ったんだぞ。それもずっとだ。」

(しずく)「あんたが変わっているのは今更でしょ。」

風見(かざみ)「と言うかここには変わったものしかいないぜ。」

(しずく)「そうね。似たようなものはいても同じものなんていないわ。」

(ほむら)「それでも気持ち悪くはないのか?」

(しずく)「だから今更なのよ。そんな事でうじうじ悩んでいるくらいなら相談しなさい。そんな事で仲間を嫌うものはここにはいないんだから。」

(ほむら)(しずく)~。」

(しずく)「うざい。あんた人型だとデカくて重いんだから自重しなさい!」

(ほむら)(しずく)に抱きつき、(しずく)は迷惑そうに突き放す。

志乃(しの)「どちらにしろあれは呪いの塊だ。食べるなよ。」

樹霧之介(きりのすけ)「鱗を口に含んだ志乃(しの)さんはどうなんですか?」

志乃(しの)「別にいいだろ。」

篁音(たかね)「それで(ほむら)さんは惣領の気配が分かるという事で良いのでしょうか?」

(しずく)「もしかして浜名瀬(はまなせ)さんがこの事言い出したのってその為?」

志乃(しの)(ほむら)が悩んでいたことも考えずにすまなかったな。だけどあいつの本体の場所が分からないんだ。」

(ほむら)「俺は気にしてないぜ。解決したんだからな。」

(しずく)「そうね。能天気なこいつがこんな悩み抱えているなんて私も知らなかったし。」

(ほむら)「能天気ってなんだよ。まあいいさ。役に立つなら何でもするぜ。」

風見(かざみ)「ワイの十八番、、」

茂蔵(もぞう)「今回は仕方ないだろ。」

篁音(たかね)「良いお仲間ですね。」

志乃(しの)「あと問題なのはあいつが妖力を無効化するって事だな。」

真琴(まこと)「やっぱりそうよね。」

樹霧之介(きりのすけ)「あれってどうなっているんですか?」

志乃(しの)「私もできるが霊力を妖力で発動させた術に流すと無力化できるんだ。だがあいつは樹霧之介(きりのすけ)の中に入っている間は使わなかった、というより霊力自体使えないんだと思う。」

篁音(たかね)「あの分身の中でしか使えないという事ですか。何故そう言い切れるんです?」

志乃(しの)「言霊を使う時に名前を間違えれば術を返される危険がある。あいつはそれをしなかった。」

樹霧之介(きりのすけ)「そんな危険があるって分かっていたのにあんな事したんですか!?」

黒根(くろね)「何をしたんじゃ?」

樹霧之介(きりのすけ)「惣領の名前を当てずっぽうでいくつか言っていました。」

志乃(しの)「言っただけで術は掛けてない。当たりの名前だけ言い直しただろ。」

樹霧之介(きりのすけ)「そう言われてみればそうだった気もします。」

篁音(たかね)「それであの分身だけは霊力を使うという事で良いですか?」

志乃(しの)「ああ。だからあれだけは私が相手しないといけないと思う。」

篁音(たかね)「それなら志乃(しの)さんを閉じ込めるのは良くありませんね。」

志乃(しの)「そうだろ。」

黒根(くろね)「じゃがお前だって呪いを掛けられれば動けんくなるんじゃぞ。」

志乃(しの)「あいつが呪いを掛けるにはあの玉を呑み込ませる必要がある。今回だって解呪の為に受けたが掛からないように気を付けることはできる。」

黒根(くろね)「何故今回はしなかったんじゃ。」

志乃(しの)「閉じ込められて解呪しないと解放されないと思ったんだ。」

黒根(くろね)「お主なら周りの木を3号で焼くなり、大百足(おおむかで)の毒で枯らすなりできたじゃろ。」

志乃(しの)「...。」

黒根(くろね)「お主の気持ちも分かるが篁音(たかね)が来なければどうなっていたか分からんのじゃぞ。」

志乃(しの)「、、分身が消えた事で油断していた。あれがまた地面から出てくるなんて思ってもいなかったんだ。」

黒根(くろね)「5号で気配を探れなかったのか?」

志乃(しの)「意識が樹霧之介(きりのすけ)に移った途端に無くなった。だが匂いは残っていたから次は油断しない。」

黒根(くろね)「そうか。」

篁音(たかね)「次があって良かったですね。その機会を作ったのは誰ですか?」

志乃(しの)「、、今度は何すればいいんだ?」

篁音(たかね)「いえ、その鱗を何枚か貰えればいいですよ。」

志乃(しの)「それくらいなら別に良いが、本当にそれだけか?」

篁音(たかね)「いいと言いたいところですが、あれの本体が見つかったら場所は教えていただきたいですね。」

志乃(しの)「近くの烏にでも言えばいいのか?」

篁音(たかね)「それで構いません。」

志乃(しの)「もし言えない状況だったら?」

篁音(たかね)「仕方のない状況であればいいです。そちらを優先してください。」

志乃(しの)「いいのか?」

篁音(たかね)「あなたに考えがあり、もう無理をしないのであればこれ以上は何も言いませんよ。」

志乃(しの)「そうか、、」

篁音(たかね)「もしも、私達の説得も聞かずに無理をしそうなのであれば野々香(ののか)に連絡しようと思っていましたが、必要なさそうですね。」

志乃(しの)「そんな事考えていたのか。」

篁音(たかね)「はい。あの子とその烏の追跡能力と執念は知っているでしょう?」

志乃(しの)「自分の子供を脅迫に使うな。」

篁音(たかね)「ですが効果はあるでしょう。」

志乃(しの)は図星を突かれて目線を逸らし、何も言えなかった。

篁音(たかね)「それじゃ、私はそろそろお暇しますね。」

篁音(たかね)は鱗を何枚か拾って巾着袋に詰めるとそれを懐にしまい出て行った。

樹霧之介(きりのすけ)「あの鱗、何に使うつもりでしょうか。」

志乃(しの)「それは分からないが一応あいつも敵討ちの為に動いているからな。手掛かりは多い方が良いんだろ。」

(しずく)「この鱗って何なの?」

志乃(しの)「私もよく分かって無い。まあ、人魚の鱗なんだろうなとは思う。」

真琴(まこと)「何か効果はあるの?あの惣領と言われている奴はこれを取り込んで体が少し戻ったって言っていたけど。」

志乃(しの)「足りないのは人魚だと言っていたからな。あいつの呪いに干渉していても不思議じゃない。」

樹霧之介(きりのすけ)「なのに他の人間に呪いを掛けて取り込んでいたんですね。」

志乃(しの)「それであの呪いが出来たから無駄では無かったみたいだがな。」

樹霧之介(きりのすけ)「酷いですよね。人を実験の道具みたいに、、」

志乃(しの)「前にもいただろ。」

樹霧之介(きりのすけ)「確かにあれも酷かったですけど、、」

黒根(くろね)「こういう自分勝手な奴は一定数出てくる。そいつらを放ってはおけん。」

樹霧之介(きりのすけ)「そうですね。今回も解決しましょう。」

(しずく)「だけど、今回の相手は不死身なのよね。」

真琴(まこと)「封印するしかないの?」

志乃(しの)「それか不安定な呪いのようだからいっその事暴走させるか。」

真琴(まこと)「そんな事できるの?」

山姥(やまんば)「あいつは呪いの大半は制御できているようだった。それは難しいぞ。」

そう言いながら山姥(やまんば)が扉を開けて入って来た。

志乃(しの)「体はもう平気なのか?」

山姥(やまんば)志乃(しの)の足を見てため息を吐いた。

山姥(やまんば)「お前ほどじゃない。もう平気だ。お前こそ起きていて良いのか?」

志乃(しの)「今はそこまで痛みはない。」

樹霧之介(きりのすけ)「それでもまだ足は痛いんですよね。安静にはしていてください。」

志乃(しの)「立つ事はできないんだから心配するな。」

樹霧之介(きりのすけ)「逆に心配ですよ。」

山姥(やまんば)「お前は本当に、、」

志乃(しの)「何で責められているんだ?」

山姥(やまんば)「もういい。それで呪いを暴走させる事だがどんな事が起こるか分からん。止めておけ。」

志乃(しの)「少し言ってみただけだ。そんな事すれば呪いがばら撒かれるだけだからな。」

山姥(やまんば)「たとえあいつが血縁であろうともお前に責任はない。あまり思い詰めるな。」

黒根(くろね)「そうじゃ。その事を気にしてる奴なんてここにはお主以外おらん。」

志乃(しの)「分かってはいる。」

山姥(やまんば)「いや、分かっていない。」

志乃(しの)「何故そう思う。」

山姥(やまんば)「ならなんでお前は本気を出さなかった。」

志乃(しの)「何の話だ。」

山姥(やまんば)「お前、呪いを封印しているから霊力を全て使えないと聞いたぞ。しばらく霊力が使えなかったのに何故、何もないんだ?」

樹霧之介(きりのすけ)「あれ?そう言えばそうです。封印しきれない時は体の一部が灰になっていませんでした?」

山姥(やまんば)「わざわざまだ使えないふりをして何をしようとしている。」

志乃(しの)「それは、、」

山姥(やまんば)「誤魔化しても無駄だぞ。惣領の付けた印の方の封印はお前が寝ている間に私が施した。その時にそれが無くなっている事は確認済みだ。」

志乃(しの)「…。」

黒根(くろね)「やはり烏天狗(からすてんぐ)に預けた方が良かったか?」

山姥(やまんば)「そんな話になっていたのか。そこはここよりも安全な空間なのか?」

志乃(しの)隠里(かくれざと)じゃない。人間のいる場所から離れた山の中だ。」

山姥(やまんば)「ならここの方が安全じゃないか?何故そんな話が出てきたんだ?」

黒根(くろね)「あっちには夢籠(むかご)というこいつを閉じ込めておける物があるからな。」

山姥(やまんば)「ああ。」

志乃(しの)「何故それで納得する。」

山姥(やまんば)「お前が何かを企んでいるからだろ。」

志乃(しの)「企んでなんかない。」

山姥(やまんば)「なら何をしようとしていた。いつ解呪を終わらせた。」

志乃(しの)「…。」

山姥(やまんば)「今回も封印に協力的だと思っていたのに勝手に解呪したよな。」

志乃(しの)「、、すまない。」

山姥(やまんば)「はあ。今回はそこまで深くは聞かないが行動は制限させてもらうぞ。」

志乃(しの)「また山に籠るのか?」

山姥(やまんば)「それだと私が目を離した隙に何するか分からない。だからお前ら。」

樹霧之介(きりのすけ)「僕達ですか?」

山姥(やまんば)「ああ、お前らは妖力に頼り過ぎだ。このままでは惣領に太刀打ちできないから武器を使えるようになれ。」

樹霧之介(きりのすけ)「武器ですか。」

山姥(やまんば)「そうだ。それで志乃(しの)、動けるようになったら見てやれ。」

志乃(しの)「そういう事か。」

山姥(やまんば)「こいつらに教えるとなると勝手な事はできなくなるだろ。」

志乃(しの)「、、分かった。教えるのであれば手加減はしないからな。」

それから樹霧之介(きりのすけ)にたまに足を撫でてもらい鱗が殆ど落ちて志乃(しの)が歩けるようになると樹霧之介(きりのすけ)達は志乃(しの)の屋敷の道場に来ていた。

まだ立ったままだと辛いので志乃(しの)は椅子に座って指示を出している。

志乃(しの)「まずは武器を決めるぞ。」

志乃(しの)がそう言うと管狐(くだぎつね)達が奥から様々な武器を持って来て床に並べた。

(しずく)「凄い種類ね。」

志乃(しの)「殆どは私の師匠が集めたり作ってもらった物だけどな。」

(ほむら)「なあ、俺も刀使えるようになるか?」

志乃(しの)「使いたいなら教えるがお前なら短剣かこっちの方が良いかもな。」

そう言って志乃(しの)(ほむら)に1つの武器を渡す。

(ほむら)「これどうするんだ?」

志乃(しの)「鉄爪だ。手に付けて使う。お前の焔爪(えんそう)に似ているから使いやすいと思う。」

(ほむら)「だけどこれ重いし切れ味もよく無さそうだ。」

志乃(しの)「使い方は違うと思うがお前の型には合っていると思うぞ。」

(ほむら)志乃(しの)が言うなら使ってみる。」

志乃(しの)「他にも触ってみて使ってみたい武器があったら言ってくれ。」

真琴(まこと)「私これ使ってみたいんだけどいい?」

志乃(しの)「薙刀か。」

(ほむら)「だけど真琴(まこと)は紙で槍作ってなかったか?」

真琴(まこと)「確かに紙で槍は作っているけど、あれ飛ばしているのよね。」

志乃(しの)「投げ槍もあるが荷物が多くなるな。」

真琴(まこと)「私も浜名瀬(はまなせ)さんみたいに棒手裏剣とか使った方が良い?」

志乃(しの)「あれは術の発動のための補助に使っている。慣れないと刺さらないし痛手を与えるには向かないからな。それでも使ってみたいなら教えるぞ。相手の注意を逸らしたりするのには使えるからな。」

真琴(まこと)「そうね。」

志乃(しの)「まあ、向き不向きは使いながら見るか。」

真琴(まこと)「お願いするわ。」

志乃(しの)「他に気になった物はあるか?」

風見(かざみ)「なあ、これも武器なのか?」

風見(かざみ)は様々な武器が並ぶ場所にある煙管を指差す。

志乃(しの)「喧嘩煙管だな。打撃武器にもなるがそれには刃物が仕込んである。」

風見(かざみ)「へー。一応武器なんだな。」

茂蔵(もぞう)「そう言えばそれ大将が持っていた気がするな。」

志乃(しの)「それって刑部狸(ぎょうぶだぬき)だろ。前に来たときは見なかったな。」

茂蔵(もぞう)「先代の時に見たんだ。皆集めた時にカンッて鳴らして注目を集めるんだ。」

志乃(しの)「多分それは普通の煙管だな。」

茂蔵(もぞう)「だけど、威厳があってその時はまだ子供だったけどカッコいいと思ったんだ。おいらこれ使えないかな?」

志乃(しの)「これは大きいからな。仕込みは無いが少し小さいものがあるからそれで練習してみるか?」

茂蔵(もぞう)が持とうとしている喧嘩煙管は大きく、小柄な茂蔵(もぞう)と並ぶと喧嘩煙管の方が10cmほど大きい。

茂蔵(もぞう)「いや、これを使わせてくれないか?」

そう言いながら茂蔵(もぞう)はその喧嘩煙管を持ってみるが少しよろよろとしている。

志乃(しの)「打撃を与えるために重くしてある。それだと仕込み刀を抜く事も出来ないだろ。」

茂蔵(もぞう)「おいら変化できるからその時にも使いたいんだ。」

志乃(しの)「そうか、ならそれ持ってこっち来てくれないか?」

茂蔵(もぞう)「お、おう。」

茂蔵(もぞう)志乃(しの)に言われた通り少しよろめきながらもその喧嘩煙管を持って志乃(しの)の元へ行くと志乃(しの)は喧嘩煙管を受け取りそれを茂蔵(もぞう)の背中に括りつける。

志乃(しの)「武器を運ぶ事も考えなくてはいけない。このままこの屋敷を走って問題なく走れるようになったら使い方を教える。」

茂蔵(もぞう)「これでか!?、、まあそうだよな。やってやる!」

そう言って茂蔵(もぞう)は走って行ってしまった。

志乃(しの)「蔵には入るなよ!」

真琴(まこと)「ねえ、ここには常闇(とこやみ)の封印とかあるのよね。」

志乃(しの)「そっちは封印を強化して解こうとしない限り解けないようにしてある。危ない物は蔵に集めてあるから大丈夫だ。」

真琴(まこと)「じゃあ、私達も外出ても大丈夫?」

志乃(しの)「ああ。走り込みは全員してもらうからな。」

真琴(まこと)「私達も?」

志乃(しの)「武器を持って走る感覚は全員覚えてもらいたいからな。」

真琴(まこと)「まあそうよね。これ持って走るの結構大変そうだし、いきなり実戦でやれは厳しいわよね。私も走って来ようかな。」

志乃(しの)「なら縄貸すぞ。両手は使えた方がいい。」

真琴(まこと)「ありがとう。」

真琴(まこと)も薙刀を背負って外に出て行った。

その一連の流れを見ていた(しずく)(ほむら)に聞く。

(しずく)「あんたは行かなくても良いの?」

(ほむら)「俺は(しずく)と行きたい。なあ、何を選ぶんだ?」

(しずく)「そうは言っても私は支援が主なのよね。」

志乃(しの)「なら自分を守れるような物を選ぶか?結界もあいつなら無効化してくるだろう。」

(しずく)「そうね。」

(ほむら)(しずく)なら俺が守ってやるぞ。」

(しずく)「できない時もあるでしょ。それに自分で守れた方があんたも安心でしょ。」

(ほむら)「そうだな。」

志乃(しの)「護、盾、雨、、これとかどうだろう。」

志乃(しの)が奥の方を見ると3匹の管狐(くだぎつね)が何かを持って来て(しずく)はそれを受け取る。

(しずく)「これ傘?重いわね。」

志乃(しの)「鉄製だからな。」

(しずく)「閉じれば棍棒、開けば盾って事?」

志乃(しの)「そうだがその様子だと無理そうだな。もっと軽い物にするか。」

(しずく)は傘を振り回そうとして引きずっている。

(しずく)「そうしてもらえると助かるわ。」

風見(かざみ)「ワイも戦わないんだけどどうしよう?」

志乃(しの)風見(かざみ)も重い武器は向かないよな。飛び道具とか合いそうだがこれとかどうだ?」

管狐(くだぎつね)は小型の銃を持って来る。

風見(かざみ)「これ、、」

志乃(しの)「前に押収した物を改造したものだ。」

風見(かざみ)「大丈夫なのか?」

志乃(しの)「試し撃ちはしてあるからこれ自体は問題ない。」

風見(かざみ)「ワイに扱えるかの心配なんだけどな。」

志乃(しの)「そうだな、1回撃ってみるか。」

風見(かざみ)「う、うん。」

風見(かざみ)志乃(しの)は中庭に移動し、志乃(しの)は縁側に座ってそれを見る。

風見(かざみ)志乃(しの)の指示で一発撃ってみるが反動で転がってしまった。

志乃(しの)「大丈夫か?」

風見(かざみ)「ワイは平気だけど、これは向いてないな。」

志乃(しの)「みたいだな。」

風見(かざみ)「、、なあ、この筒だけってあるか?」

志乃(しの)「あるぞ。」

風見(かざみ)「それ貰ってもいか?」

志乃(しの)「ああ。」

管狐(くだぎつね)に筒を持って来てもらい風見(かざみ)は受け取るとその筒に玉を入れて風で飛ばしてみるが威力が足りずに落ちてしまう。

志乃(しの)「吹き矢ならあるがそれだと妖力を使わないという趣旨とは違うんじゃないか?」

風見(かざみ)「やっぱり駄目か?」

志乃(しの)「いや、飛ばした後なら関係ないか。近付かれた時は筒の方で応戦できるから良いんじゃないか?」

風見(かざみ)「良かった。」

志乃(しの)「筒も大きさを調整しよう。飛ばす矢には毒を塗る事も多いからその辺も覚えてもらうぞ。」

風見(かざみ)「分かった。」

風見(かざみ)の武器が決まったので2人が道場へ戻り、志乃(しの)は椅子に座る。

道場では(しずく)がまだ悩んでいて樹霧之介(きりのすけ)は様々な武器を試していた。

志乃(しの)「まだ決まらないか?」

(しずく)「私に扱えそうな物が無くて、、」

志乃(しの)(しずく)は武器は向いてないのかもな。」

(ほむら)(しずく)は参加しないのか?」

志乃(しの)「いや、少し待ってくれ。9号。」

9号「なんだなんだ?」

志乃(しの)「奥に籠手があっただろ。取って来てくれないか?」

9号「任せろ。」

志乃(しの)は9号から籠手を受け取り(しずく)に渡す。

9号「また呼んでくれよ。一走りしてやるぜ。」

志乃(しの)「ありがとう。」

(しずく)管狐(くだぎつね)達が喋るのまだ慣れないわね。」

志乃(しの)「私にとってはこっちが本来の姿だけどな。それでこれは武器とは違うが攻撃を受ける時には使えると思うんだがどうだ?」

(しずく)「自衛はできるって事ね。だけどこれ少し派手な色じゃない?虎?」

志乃(しの)「鬼から貰った虎の皮だな。丈夫だから籠手に加工したが気になるなら染めるか?」

(しずく)「そうね。できれば地味な色にして欲しいわ。」

志乃(しの)「大きさも調整しないといけないからな。その時に色も変えるか、黒でいいか?」

(しずく)「ええ。だけど動けるようになってからで良いのよ。」

志乃(しの)「4号は染物もできる。補助はするがそこまで負担はない。」

(しずく)「それなら良いけど、、言い出しといてあれだけど無理はしないでね。」

志乃(しの)「ああ。(しずく)は決まったな。あとは樹霧之介(きりのすけ)だが、これで良いだろ。」

志乃(しの)は近くに置いてあった(じょう)を投げて渡す。

樹霧之介(きりのすけ)「僕だけ適当じゃないですか?」

志乃(しの)「違うぞ。木の棒ならお前なら木があれば何処でも調達できる。妖力が使えるなら伸ばして攻撃もできるからお前に合っていると思ったんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「そうだったんですね。」

志乃(しの)「もう少し小さい物を携帯していれば木のない場所でも戦えるしな。」

樹霧之介(きりのすけ)「確かに。僕これにします。」

志乃(しの)「気に入ってもらって良かったよ。それじゃ全員走り込みに行ってもらおうかな。私が動けない間はそれを繰り返してもらうぞ。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

樹霧之介(きりのすけ)(じょう)を腰に付けられるくらいの大きさにして腰に付けて走りに行き、(ほむら)も鉄爪を腰に付けて走る。

(しずく)風見(かざみ)は武器の調整が済むまで何も付けずに走り、志乃(しの)は縁側でそれを眺めていた。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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