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39話

この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。

オリジナルの妖怪が登場することもあります。

素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。

記憶をなくした志乃(しの)が最後の記憶を取り戻す時、志乃(しの)は突然苦しみ始めた。

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さん?父さん、これどういうことですか?」

黒根(くろね)「これは、、そうか呪いの記憶か。」

樹霧之介(きりのすけ)「え?」

黒根(くろね)「呪いの記憶も思い出しておるんじゃ。」

樹霧之介(きりのすけ)「そんなの忘れたままでいいじゃないですか。」

黒根(くろね)「それはそうじゃが瓢箪が割れたんじゃ、そんな事はできん。」

樹霧之介(きりのすけ)「これって見ているしかないんですか?」

そんな事を話しているうちに志乃(しの)は静かになって、寝息をたてはじめる。

樹霧之介(きりのすけ)「もう終わったんでしょうか?」

黒根(くろね)「心配したが大丈夫そうじゃな。」

樹霧之介(きりのすけ)「良かったです。」

それからしばらく経ったが志乃(しの)は中々起きない。

樹霧之介(きりのすけ)「今回は遅いですね。」

黒根(くろね)「そうじゃな。」

樹霧之介(きりのすけ)「まさか呪いの影響で何かあったんでしょうか?」

黒根(くろね)「何度も乗り越えておるから大丈夫じゃとは思うが、、」

樹霧之介(きりのすけ)「このまま起きない事はないですよね。」

志乃(しの)「あれ?私、どれくらい寝てた?」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さん!」

黒根(くろね)「他の時より少し長かっただけじゃ。」

志乃(しの)黒丸(くろまる)、あれからどれくらい経った?」

黒根(くろね)「お主がここに来てから3時間程じゃ。」

志乃(しの)「なら何で樹霧之介(きりのすけ)は心配していたんだ?」

樹霧之介(きりのすけ)「だって志乃(しの)さん、苦しそうだったんですよ。」

志乃(しの)「え。覚えてない。」

黒根(くろね)「多分呪いの記憶を思い出しておったんじゃ。覚えてないならそれでいい。」

志乃(しの)「そうか。心配かけてごめん。」

黒根(くろね)「本当じゃ。何故記呑(きどん)瓢箪(ひょうたん)を予想できんだんじゃ。」

志乃(しの)「まさか結界内の茂みにあるなんて思ってなかったんだ。」

黒根(くろね)「何を考えておったんじゃ?」

志乃(しの)「確かに戦闘以外の事も考えてたけど、私だってたまにミスくらいするさ。」

樹霧之介(きりのすけ)「だけど無事記憶が戻って良かったです。」

志乃(しの)「そうだ。迷惑かけてないか?」

樹霧之介(きりのすけ)「覚えて無いんですか?」

志乃(しの)「おおむじなのところまでしか覚えて無い。」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さん、昔の事は覚えていますか?」

志乃(しの)「昔ってどのくらい昔の話だ?」

樹霧之介(きりのすけ)「あ、えっと、、まだ志乃(しの)さんの家族が生きていた頃です。」

志乃(しの)「覚えてる。その頃まで遡っていたのか。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。志乃(しの)さんがなんで死にたがっているのかなんか分かった気がします。」

志乃(しの)「分からなくてもいい。」

黒根(くろね)志乃(しの)、その時(ほむら)達もいたんじゃ。心配しておるじゃろうから顔を見せに行ってやれ。」

志乃(しの)「そうだったのか、分かった。今どこに居るんだ?」

樹霧之介(きりのすけ)(しずく)真琴(まこと)と一緒に居るって言ってましたし、(ほむら)も居るんじゃないですか?」

志乃(しの)「そう言えば電話で無事は確認したが真琴(まこと)は大丈夫だったのか?」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。元気そうでした。」

志乃(しの)「良かった。だけど樹霧之介(きりのすけ)がそう言えるって事は真琴(まこと)も来てたのか?」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。旅をしている最中の志乃(しの)さんの時に来ました。」

志乃(しの)「旅、、そうか。まあ、まずは電話でどこにいるか聞いてみるか。」

志乃(しの)真琴(まこと)に電話をかけるが出ず、代わりにバタバタと外から音が聞こえる。

真琴(まこと)「電話するって事は何かあったの?」

そこには真琴(まこと)をはじめ、(しずく)(ほむら)茂蔵(もぞう)風見(かざみ)もいる。

志乃(しの)「記憶が戻ったから報告しようと思ったんだ。」

(ほむら)志乃(しの)なんだな。あの変な感じの志乃(しの)じゃないんだな。」

志乃(しの)「そんなに変だったのか?」

(ほむら)「だって管狐(くだぎつね)撫でて笑ってたんだぞ。」

志乃(しの)「今だって管狐(くだぎつね)は撫でるぞ。」

(しずく)「どんな浜名瀬(はまなせ)さんでも浜名瀬(はまなせ)さんは浜名瀬(はまなせ)さんでしょ。失礼な事言わないの。」

(ほむら)「だってあんな顔の志乃(しの)見た事なかったんだ。」

志乃(しの)「どんな顔だったんだ?」

(ほむら)「覚えてないのか?」

志乃(しの)「記憶が戻る間の記憶は無いんだ。」

茂蔵(もぞう)「だけど一応あれは昔のお前なんだよな。その頃の自分も覚えてないのか?」

志乃(しの)「何してたとかは覚えているがどんな顔していたかまでは覚えてない。」

真琴(まこと)「まあ、いいじゃない。無事に戻ったんだから。」

志乃(しの)真琴(まこと)はあれから体に異常は無いか?」

真琴(まこと)「ええ。ありがとう。お陰で調子はいいわ。」

志乃(しの)「なら良かった。」

真琴(まこと)「だけど私のせいで浜名瀬(はまなせ)さんに何かあったら嫌だからね。」

志乃(しの)「ごめん。」

樹霧之介(きりのすけ)「今回志乃(しの)さんらしくないミス多かったですよね。」

志乃(しの)「焦ってたんだ。」

黒根(くろね)真琴(まこと)の無事を確認した後もかの?」

志乃(しの)「もう終わったんだからいいだろ。」

黒根(くろね)「そうじゃの。」

真琴(まこと)「だけどおおむじなの事聞いてもいい?」

風見(かざみ)「ワイも、聞きたい。どうやって見つけたんだ?」

志乃(しの)「それなら座って話そうか。」

志乃(しの)は今回あった事を話した。

黒根(くろね)虎狼狸(ころうり)も出たんか。」

志乃(しの)「前の大量発生は大変だったよな。」

黒根(くろね)「そうじゃな。あの時はお主が1日動けずわし1人で対処しておったからの。」

志乃(しの)「後から合流したからいいだろ。」

樹霧之介(きりのすけ)「その時の志乃(しの)さんどうしたんですか?」

黒根(くろね)虎狼狸(ころうり)の息にやられたんじゃ。」

樹霧之介(きりのすけ)「え。だけど今回志乃(しの)さん平気そうでしたよ。」

志乃(しの)「毒や重い病気を最初に受けた時は症状が出るんだ。その後は耐性ができて効かなくなる。」

黒根(くろね)「その時もそう言って自ら受けに行ってたな。」

志乃(しの)「でないと動けないくらい多かったじゃないか。」

黒根(くろね)「だからって自分から飛び込むか?病の気を防ぐ手ぬぐいもあったのに。」

志乃(しの)「そのおかげで今回だっておおむじなを捕まえれたんだろ。」

黒根(くろね)「そいつがおおむじなだと分かっておるならその時点で倒さんか。」

志乃(しの)「分かってはいたが木に縛られた子供を刺すことができなかったんだ。」

黒根(くろね)「お主、陽葵(ひまり)には妖怪は見た目じゃないとよく言っておるじゃないか。」

志乃(しの)「それはどんな見た目でも油断するなって意味で言っているんだ。」

黒根(くろね)「昔は幻覚や変化(へんげ)を使うやつはそれを解いてから倒しておったが、今のお主にそんな余裕はあるんか?」

志乃(しの)「私のやり方に文句あるのか?」

黒根(くろね)「心配しておるんじゃ。これからこんな敵が出てきた時に対処できるのかと。」

志乃(しの)「やらなきゃいけない時はやるさ。」

黒根(くろね)「確かにお主に頼らないといけない時はある。じゃが無理はしてほしくない。」

志乃(しの)「被害が広がる前に止めないといけないことはある。」

黒根(くろね)「分かっとる。じゃがわしはここを動けん。じゃから不安なんじゃよ。今回も意識の無いお前が運び込まれて、何もできんかった事がもどかしいんじゃ。」

志乃(しの)「それは悪かった。」

黒根(くろね)「本当に反省しとるんか?」

志乃(しの)「今回は自分からしたことじゃない。」

黒根(くろね)「もう油断するなよ。」

志乃(しの)「ああ。」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さん。」

志乃(しの)「何だ?」

樹霧之介(きりのすけ)「僕、強くなりたいんです。見てくれませんか?」

志乃(しの)「それなら黒丸(くろまる)の方が分かるんじゃないのか?」

黒根(くろね)「わしは言葉で伝えることはできても実際に見てやることは出来ん。」

樹霧之介(きりのすけ)「実際に父さんと戦ってきた志乃(しの)さんなら分かる事があると思うんです。」

志乃(しの)「だけど木を動かす事なんて分からないぞ。」

黒根(くろね)「それでも一度見てくれんか?お主なら気付くことがあるかもしれん。」

志乃(しの)「分かった。じっくり見る機会はなかったからな。」

(ほむら)「なら俺も!技が増えたから見てほしい!」

志乃(しの)「そう言えば最近火球しか見てないな。」

(しずく)「こいつはいいわよ。先に樹霧之介(きりのすけ)を見てあげて。」

(ほむら)「えー。」

(しずく)「それに今日はもう遅いし、解散しましょ。」

志乃(しの)「修行するなら明日以降だとは思っていたけど。(しずく)はいいのか?」

(しずく)「私?」

志乃(しの)「ああ。少しもったいないと思っていたんだ。」

(しずく)「だけど、あまり迷惑をかけるわけにはいかないわ。」

志乃(しの)「あの雨を降らす技だが状態異常を付与するだけじゃなく結界を作るのにも使えるのは知っているのか?」

(しずく)「え。何それ。」

志乃(しの)「安全な場所を作れるなら治療も安心して行える。覚える気はないか?」

(しずく)「そんなことができるならしたいわよ。」

志乃(しの)「なら明日一緒に来ないか?」

(しずく)「一緒って大丈夫なの?」

志乃(しの)「まだ使ったことがないならコツを教えて後は(しずく)しだいだからな。(しずく)が練習している間に樹霧之介(きりのすけ)を見る事はできる。」

(しずく)樹霧之介(きりのすけ)はいいの?」

樹霧之介(きりのすけ)「構いませんよ。」

(しずく)浜名瀬(はまなせ)さんも水を使えないのに私に教えれるの?」

志乃(しの)「結界は得意だからな。他にも出来る事があるのにそれを教えられないのが残念だけど。」

(しずく)「他って?」

志乃(しの)「戦闘に参加する気はあるか?」

(しずく)「、、今はいいわ。支援するのが私の役目だから。」

志乃(しの)「分かった。」

(ほむら)(しずく)ずるいぞ。俺が先に言っていたのに。」

志乃(しの)「なら(ほむら)は今から見せてもらおうか?」

(しずく)浜名瀬(はまなせ)さん疲れているでしょ。」

志乃(しの)「見るだけだろ?炎なら少し暗い方が見やすいし今からでもいいんじゃないか?それに3号も新しい事を覚えたんだ。」

(ほむら)「見たい!」

志乃(しの)「なら燃える物が無い場所に移動するか。」

(しずく)浜名瀬(はまなせ)さんがいいならいいけど、、」

それから工場跡地に移動して(ほむら)の技を皆で見ることになった。

(ほむら)紅羽(くれは)。」

(ほむら)が出した炎から蝶の形の炎が次々に舞い上がる。

(ほむら)「これ、触れたら爆発するんだぜ。」

志乃(しの)「へー。」

志乃(しの)はそれを聞いて1匹の蝶に触れようとするが樹霧之介(きりのすけ)に止められる。

樹霧之介(きりのすけ)「爆発するって聞いて触ろうとしないでください。」

志乃(しの)「だけど触らないと分からないだろ。」

(ほむら)「爆発が見たいならさせるぞ。」

志乃(しの)「触れた時にどう爆破するか見たいんだが、石を当ててなら良いか?」

樹霧之介(きりのすけ)「良いですが当てられるんですか?」

志乃(しの)は落ちている石を1つ拾って投げ、蝶の1匹に正確に当てると蝶を爆発させる。

志乃(しの)「なるほどこれなら相手の足を止めるのに使えそうだな。」

(ほむら)「そうだろ。」

志乃(しの)「前の火鼠(ひねずみ)もそうだが生き物が想像しやすいんだな。」

(ほむら)「他にもあるぞ。火翔(かしょう)。」

(ほむら)の手から炎のトンボが出てきて素早く真っすぐ飛んで行って近くの木に当たり木を焦がす。

(しずく)「燃やさないでよね。」

(ほむら)「大丈夫だって。」

志乃(しの)「威力は低いけど使いやすそうだな。」

(ほむら)「なあ、さっき言ってた管狐(くだぎつね)の新しい事って何なんだ?」

志乃(しの)「そうだね。戦闘向きではないけど綺麗だから見てもらおうか。3号、お願い。」

3号は竹筒から出てくるとカラフルな火花を出す。

(ほむら)「火って色を付けれるのか!?」

志乃(しの)「3号、火花じゃなく火の色を変えれるか?」

それを聞いて3号は普通の炎を出した後それの色を順番に変える。

(しずく)「綺麗だけど何に使えるの?」

志乃(しの)「確かに遠くの仲間に合図を送るくらいしか思いつかないな。」

(ほむら)「だけど派手な技も作れそうじゃないか?」

志乃(しの)(ほむら)なら蝶やネズミに色を付けて惑わす事も出来そうだな。」

(ほむら)「やってみる!」

そう言って(ほむら)は座って集中し始めた。

(しずく)「もう、ここは私が見るから浜名瀬(はまなせ)さん達は帰ってもいいわよ。」

志乃(しの)「大丈夫なのか?」

(しずく)「あれ見てコツ掴んだみたいだから大丈夫よ。」

志乃(しの)「いや、(しずく)は明日練習するなら休んだ方が良いんじゃないのか?」

(しずく)「長くなりそうなら引っ張って帰るわ。」

志乃(しの)「そうか、無理はするなよ。」

(しずく)浜名瀬(はまなせ)さんには言われたくないわね。」

志乃(しの)「まあ、また明日。」

(しずく)「ええ。」

それから解散して(しずく)も遅くならないうちに(ほむら)を引きずって帰る。

次の日、志乃(しの)妖ノ郷(あやかしのさと)にある樹霧之介(きりのすけ)の家へ行くとそこには(しずく)も待っていた。

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さん。待っていましたよ。」

(しずく)「今日はどこに行くの?」

志乃(しの)隠狐山(いんこざん)に行こうと思う。」

樹霧之介(きりのすけ)「そこは昔志乃(しの)さん達が拠点にしていた所ですよね。」

志乃(しの)「ああ。黒丸(くろまる)もそこで修行していたから比べやすいかなと思うんだ。それに開けた場所もあるから(しずく)の練習もしやすいだろう。」

(しずく)「開けた場所がやりやすいの?」

志乃(しの)「結界は空間に何もない方が張りやすいんだ。」

(しずく)「そうなのね。」

志乃(しの)「それじゃ移動するか。」

志乃(しの)達は隠狐山(いんこざん)の近くの出入り口から出て、拠点のあった場所へ歩いて移動する。

志乃(しの)「やっぱり懐かしいな。」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さんはここで母さんや父さんと出会ったんですよね。」

志乃(しの)「そうだ。今から行く所に山小屋が建っていてそこで柚子(ゆず)に声を掛けられたんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「あの、暗い志乃(しの)さんの時ですよね。」

志乃(しの)「その時の私も出てきてたのか。」

樹霧之介(きりのすけ)「話では聞いてましたが実際に見ると、何て言うか、、」

志乃(しの)柚子(ゆず)のお陰で見てこなかった世界を見ることができた。今は大丈夫だ。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

もうしばらく歩くと志乃(しの)が話し出す。

志乃(しの)「そうそう、ここら辺で黒丸(くろまる)に襲われたんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「え。」

志乃(しの)「前に言っただろ。柚子(ゆず)と歩いている私を男性だと勘違いして戦闘になったんだ。」

(しずく)「そんなことがあったの?」

志乃(しの)(しずく)は話した時いなかったんだっけ。」

(しずく)「ええ。初耳よ。何で浜名瀬(はまなせ)さんを男性だと思うのよ。」

志乃(しの)「その頃は舐められないように男装していたんだ。」

(しずく)「へー。それでその時はどっちが勝ったの?」

志乃(しの)柚子(ゆず)が間に入って勝負はつかなかった。」

(しずく)「そうなのね。」

樹霧之介(きりのすけ)「だけど父さんと志乃(しの)さん、戦ったらどっちが強いんでしょう?」

志乃(しの)「勝利条件にもよるけど私の方が霊力を使う分有利だな。」

(しずく)「勝つとは言わないのね。」

志乃(しの)「あの頃の黒丸(くろまる)は妖力も強くてどこから出てくるか分からない木の根を避けるのは難しかったからな。」

樹霧之介(きりのすけ)「素早く動かせるならそんな戦略もあるんですね。」

志乃(しの)「まあ、黒丸(くろまる)の本領は妖力で強化した木の根での攻撃だったから当てる為にそこら辺を磨いたってところがあるね。」

樹霧之介(きりのすけ)「僕それもよく分からないんですよね。」

志乃(しの)柚子(ゆず)はそういう事できなかったから得意不得意はあるよ。今日はそれも見よう。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

それからもうしばらく歩くと開けた場所へ出た。

志乃(しの)「先に(しずく)の方から教えるな。」

(しずく)「お願いするわ。」

志乃(しの)「結界は拒否する気持ちが大事だ。壁を作るイメージなんだが、雨でそのイメージは難しい。なので、、」

志乃(しの)(しずく)に結界の説明をして(しずく)はそれを実践してみているのでその間に志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)を見る。

志乃(しの)は9号にボールをいくつか持って来てもらい、それをふくらましている。

樹霧之介(きりのすけ)「何しているんですか?」

志乃(しの)「今からボールを投げるから地面に着く前に木の根を当てて。」

樹霧之介(きりのすけ)「え。」

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)の前にボールを投げるが樹霧之介(きりのすけ)はボールに木の根を当てることはできない。

樹霧之介(きりのすけ)「動いている敵は苦手なんです。」

志乃(しの)「それは見た後に認識してから動かしているからだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「他にどうしろって言うんですか?」

志乃(しの)「まずはボールの軌道を予想して当てる事を考えようか。」

樹霧之介(きりのすけ)「できるんでしょうか。」

志乃(しの)「やらないと強くなれないよ。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

それから少しだけボールに当たるようになったがボールに木の根の先は当たらない。

志乃(しの)「前から思ってたんだけど。怖い?」

樹霧之介(きりのすけ)「え?」

志乃(しの)「敵を傷つける事。」

樹霧之介(きりのすけ)「…。」

志乃(しの)「私も最初は自分が振り下ろした刀の結果を考えて力が入らない事があった。」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さんが?」

志乃(しの)「昔の私を見たなら分かるだろ。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい、、」

志乃(しの)「だけど私が躊躇して誰かが傷つくのも嫌だった。」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さんはどうしていたんですか?」

志乃(しの)「私は後悔しないように戦う敵の事を知ろうとした。弱点を知る為でもあったけど、その妖怪がどうしてこんな事したかを知ると戦いやすかったんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「どうしてですか?」

志乃(しの)「その妖怪が凶悪であれば心置きなく倒せるし、他に解決法があればそれを試せる。それでもどうしようもない事もあるけど、精一杯やった結果なら後悔も少ないから。」

樹霧之介(きりのすけ)「それで物知りなんですね。」

志乃(しの)「臆病だった分色々と知る事ができた。」

樹霧之介(きりのすけ)「僕も後悔しないようにできるんでしょうか?」

志乃(しの)「その気があっても力が無ければ後悔する事がある。樹霧之介(きりのすけ)はそれが嫌で強くなりたいんだろ。」

樹霧之介(きりのすけ)「そうです。」

志乃(しの)「なら続けようか。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

それから迷いが無くなったのか木の根のスピードが上がり、ボールの1つを割る事ができた。

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さんやりましたよ。」

志乃(しの)「なら次はもう少し早くしてみようか。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

それからボールの投げ方を変えながら樹霧之介(きりのすけ)の反応速度と木の根の速度を高めていく。

志乃(しの)「少し休憩しよう。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)は木陰に座り少し休む事にした。

樹霧之介(きりのすけ)「父さんって志乃(しの)さんと一緒に強くなったんですか?」

志乃(しの)「いや、黒丸(くろまる)は私と出会う前から強かった。」

樹霧之介(きりのすけ)「そうなんですか?」

志乃(しの)黒丸(くろまる)柚子(ゆず)と出会うまで1人で森を守ってきたらしいから。」

樹霧之介(きりのすけ)「初めて聞きました。」

志乃(しの)「私も柚子(ゆず)からは聞いたけど本人からは聞いてないんだよね。」

樹霧之介(きりのすけ)「何で言わないんでしょう?」

志乃(しの)黒丸(くろまる)も私と同じで柚子(ゆず)と出会う前は荒れていたみたいだから言いたくないんだろう。」

樹霧之介(きりのすけ)「父さんが?」

志乃(しの)「私が知っているのも知らないと思う。だから私が言った事は秘密にしてくれるか?」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

志乃(しの)黒丸(くろまる)がいた森は木材確保の為に大量の木材が切り出されていたから黒丸(くろまる)はそれを止めさせる為に攻撃したんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「いきなりですか?」

志乃(しの)「忠告はしたが止めなかったらしい。最後の忠告も無視されて実力行使に出たみたいだ。ただ不幸だったのがその木材確保の目的が結構偉い人の城の建築の為みたいでそいつの威厳を保つため黒丸(くろまる)が悪霊とされて討伐隊が組まれ、それを頼れるものがいない中1人で戦っていた。だから強くならざるおえなかったんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「1人で戦っていた事があったんですね。ずっと志乃(しの)さんと一緒に戦っていたんだと思っていました。」

志乃(しの)「まあ、私といた方が時間的には長いけど。」

樹霧之介(きりのすけ)「だけど何で父さんは森を出たんですか?」

志乃(しの)黒丸(くろまる)に敵わないと思った人間は最終手段に出たんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「何をしたんですか?」

志乃(しの)一目連(いちもくれん)を呼び出し森を壊滅させた。」

樹霧之介(きりのすけ)一目連(いちもくれん)?」

志乃(しの)「風を操る片目を失った龍神だ。わざと暴走させて森に連れて来たらしく、暴風が吹き荒れて木々は倒され雨も降り土砂崩れも起きたらしい。」

樹霧之介(きりのすけ)「酷い。」

志乃(しの)黒丸(くろまる)は抵抗しようとしたけど土砂と折れた木の下敷きになって気がついたら全てが終わった後だった。そこで調査に来た柚子(ゆず)と出会ったみたいだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「それなら父さんって人間を恨んでいるんですか?」

志乃(しの)「私と組んだ時はあからさまな態度は無かったけど最初は柚子(ゆず)に言われたから仕方なくって感じだった。私以外の人間と組む事が無かったのもそれがあったからだろうな。」

樹霧之介(きりのすけ)「父さんと志乃(しの)さんって最初は仲良く無かったんですね。」

志乃(しの)「一緒に戦う中で徐々に心を許すようになったって感じだ。黒丸(くろまる)も私も。」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さんも?」

志乃(しの)「私もあの時は柚子(ゆず)と師匠以外、誰も信じてなかったから。」

樹霧之介(きりのすけ)「似たもの同士だったんですね。」

志乃(しの)「そうだな。だけど樹霧之介(きりのすけ)には信じられる仲間がいる。大事にしろよ。」

樹霧之介(きりのすけ)「勿論です。」

志乃(しの)黒丸(くろまる)が強くなった理由はこんなものだな。樹霧之介(きりのすけ)に真似しろとは言えないからもう少し頑張るか。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

それから木の根の他にも枝の罠なども練習した後、(しずく)の様子を見に行くとそこには一部だけ雲が出て雨が降っている。

霧雨の様な細かい雨が降っていて、中は不自然にもやが掛かっていて見えない。

志乃(しの)「いい感じだな。(しずく)、中に入ってもいい?」

(しずく)「ええ、いいわよ。」

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)が雨の中に入ると雨は外側だけで中には降っていない。

そしてその真ん中に(しずく)が座っている。

(しずく)浜名瀬(はまなせ)さん。これ維持するの結構大変よ。」

志乃(しの)「維持するじゃなくて必要な妖力を先に注いで設置するようにできたらいいな。」

(しずく)「それは慣れが必要ね。」

志乃(しの)「それでこの結界、外から攻撃してみてもいいか?」

(しずく)「いいけど、お手柔らかに頼むわよ。」

志乃(しの)「どうしようかな。」

(しずく)「え、不安なんだけど。」

志乃(しの)「なら私が出たら全力で拒否してくれ。」

(しずく)「いいのね?」

志乃(しの)「ああ。」

それから志乃(しの)は結界の外に出てもう一度入ろうとするが雨に弾かれる。

そして3号と10号を出して火の玉と風の刃で攻撃するが雨に触れると消えた。

志乃(しの)は少し考えてから大百足(おおむかで)を出すと大百足(おおむかで)は結界に巻き付いて徐々に力を強めながら締め付けると結界が破れる。

(しずく)「それは無理でしょ。」

志乃(しの)「だけど強度は十分だな。初めてにしてはよくできている。」

(しずく)「破っておいてそれは無いんじゃないの。」

志乃(しの)大百足(おおむかで)の締め付けにしばらく耐えたんだから十分だ。」

(しずく)「そう言う浜名瀬(はまなせ)さんはどうなの?」

志乃(しの)「昔は耐えれたんだが今だと全力を出されたら無理だな。」

(しずく)「そうなのね。」

志乃(しの)「だから次は維持しなくても消えないようにできるようにしよう。」

(しずく)「そんな簡単に言わないでよ。」

志乃(しの)「ここまでくれば後は簡単だ。前私の屋敷に来た時に雨を降らしただろ。」

(しずく)「あれは普通の雨よ。」

志乃(しの)「だけどお前がいなくなっても降っていた。だからそれを結界の雨に変えるだけだ。」

(しずく)「簡単に言ってくれるわね。でも分かったわ、やってみる。」

それから陽が落ちるまで樹霧之介(きりのすけ)(しずく)の練習は続いた。

志乃(しの)は夏休みの間、陽葵(ひまり)がいないのでちょくちょく妖ノ郷(あやかしのさと)に顔を出しては進捗を確認する。

黒根(くろね)までとはいかなないが樹霧之介(きりのすけ)の攻撃速度はあがり、(しずく)もまだ時間は短いが何もしなくても結界を維持することができるようになった。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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