39話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
記憶をなくした志乃が最後の記憶を取り戻す時、志乃は突然苦しみ始めた。
樹霧之介「志乃さん?父さん、これどういうことですか?」
黒根「これは、、そうか呪いの記憶か。」
樹霧之介「え?」
黒根「呪いの記憶も思い出しておるんじゃ。」
樹霧之介「そんなの忘れたままでいいじゃないですか。」
黒根「それはそうじゃが瓢箪が割れたんじゃ、そんな事はできん。」
樹霧之介「これって見ているしかないんですか?」
そんな事を話しているうちに志乃は静かになって、寝息をたてはじめる。
樹霧之介「もう終わったんでしょうか?」
黒根「心配したが大丈夫そうじゃな。」
樹霧之介「良かったです。」
それからしばらく経ったが志乃は中々起きない。
樹霧之介「今回は遅いですね。」
黒根「そうじゃな。」
樹霧之介「まさか呪いの影響で何かあったんでしょうか?」
黒根「何度も乗り越えておるから大丈夫じゃとは思うが、、」
樹霧之介「このまま起きない事はないですよね。」
志乃「あれ?私、どれくらい寝てた?」
樹霧之介「志乃さん!」
黒根「他の時より少し長かっただけじゃ。」
志乃「黒丸、あれからどれくらい経った?」
黒根「お主がここに来てから3時間程じゃ。」
志乃「なら何で樹霧之介は心配していたんだ?」
樹霧之介「だって志乃さん、苦しそうだったんですよ。」
志乃「え。覚えてない。」
黒根「多分呪いの記憶を思い出しておったんじゃ。覚えてないならそれでいい。」
志乃「そうか。心配かけてごめん。」
黒根「本当じゃ。何故記呑の瓢箪を予想できんだんじゃ。」
志乃「まさか結界内の茂みにあるなんて思ってなかったんだ。」
黒根「何を考えておったんじゃ?」
志乃「確かに戦闘以外の事も考えてたけど、私だってたまにミスくらいするさ。」
樹霧之介「だけど無事記憶が戻って良かったです。」
志乃「そうだ。迷惑かけてないか?」
樹霧之介「覚えて無いんですか?」
志乃「おおむじなのところまでしか覚えて無い。」
樹霧之介「志乃さん、昔の事は覚えていますか?」
志乃「昔ってどのくらい昔の話だ?」
樹霧之介「あ、えっと、、まだ志乃さんの家族が生きていた頃です。」
志乃「覚えてる。その頃まで遡っていたのか。」
樹霧之介「はい。志乃さんがなんで死にたがっているのかなんか分かった気がします。」
志乃「分からなくてもいい。」
黒根「志乃、その時焔達もいたんじゃ。心配しておるじゃろうから顔を見せに行ってやれ。」
志乃「そうだったのか、分かった。今どこに居るんだ?」
樹霧之介「雫は真琴と一緒に居るって言ってましたし、焔も居るんじゃないですか?」
志乃「そう言えば電話で無事は確認したが真琴は大丈夫だったのか?」
樹霧之介「はい。元気そうでした。」
志乃「良かった。だけど樹霧之介がそう言えるって事は真琴も来てたのか?」
樹霧之介「はい。旅をしている最中の志乃さんの時に来ました。」
志乃「旅、、そうか。まあ、まずは電話でどこにいるか聞いてみるか。」
志乃は真琴に電話をかけるが出ず、代わりにバタバタと外から音が聞こえる。
真琴「電話するって事は何かあったの?」
そこには真琴をはじめ、雫や焔、茂蔵と風見もいる。
志乃「記憶が戻ったから報告しようと思ったんだ。」
焔「志乃なんだな。あの変な感じの志乃じゃないんだな。」
志乃「そんなに変だったのか?」
焔「だって管狐撫でて笑ってたんだぞ。」
志乃「今だって管狐は撫でるぞ。」
雫「どんな浜名瀬さんでも浜名瀬さんは浜名瀬さんでしょ。失礼な事言わないの。」
焔「だってあんな顔の志乃見た事なかったんだ。」
志乃「どんな顔だったんだ?」
焔「覚えてないのか?」
志乃「記憶が戻る間の記憶は無いんだ。」
茂蔵「だけど一応あれは昔のお前なんだよな。その頃の自分も覚えてないのか?」
志乃「何してたとかは覚えているがどんな顔していたかまでは覚えてない。」
真琴「まあ、いいじゃない。無事に戻ったんだから。」
志乃「真琴はあれから体に異常は無いか?」
真琴「ええ。ありがとう。お陰で調子はいいわ。」
志乃「なら良かった。」
真琴「だけど私のせいで浜名瀬さんに何かあったら嫌だからね。」
志乃「ごめん。」
樹霧之介「今回志乃さんらしくないミス多かったですよね。」
志乃「焦ってたんだ。」
黒根「真琴の無事を確認した後もかの?」
志乃「もう終わったんだからいいだろ。」
黒根「そうじゃの。」
真琴「だけどおおむじなの事聞いてもいい?」
風見「ワイも、聞きたい。どうやって見つけたんだ?」
志乃「それなら座って話そうか。」
志乃は今回あった事を話した。
黒根「虎狼狸も出たんか。」
志乃「前の大量発生は大変だったよな。」
黒根「そうじゃな。あの時はお主が1日動けずわし1人で対処しておったからの。」
志乃「後から合流したからいいだろ。」
樹霧之介「その時の志乃さんどうしたんですか?」
黒根「虎狼狸の息にやられたんじゃ。」
樹霧之介「え。だけど今回志乃さん平気そうでしたよ。」
志乃「毒や重い病気を最初に受けた時は症状が出るんだ。その後は耐性ができて効かなくなる。」
黒根「その時もそう言って自ら受けに行ってたな。」
志乃「でないと動けないくらい多かったじゃないか。」
黒根「だからって自分から飛び込むか?病の気を防ぐ手ぬぐいもあったのに。」
志乃「そのおかげで今回だっておおむじなを捕まえれたんだろ。」
黒根「そいつがおおむじなだと分かっておるならその時点で倒さんか。」
志乃「分かってはいたが木に縛られた子供を刺すことができなかったんだ。」
黒根「お主、陽葵には妖怪は見た目じゃないとよく言っておるじゃないか。」
志乃「それはどんな見た目でも油断するなって意味で言っているんだ。」
黒根「昔は幻覚や変化を使うやつはそれを解いてから倒しておったが、今のお主にそんな余裕はあるんか?」
志乃「私のやり方に文句あるのか?」
黒根「心配しておるんじゃ。これからこんな敵が出てきた時に対処できるのかと。」
志乃「やらなきゃいけない時はやるさ。」
黒根「確かにお主に頼らないといけない時はある。じゃが無理はしてほしくない。」
志乃「被害が広がる前に止めないといけないことはある。」
黒根「分かっとる。じゃがわしはここを動けん。じゃから不安なんじゃよ。今回も意識の無いお前が運び込まれて、何もできんかった事がもどかしいんじゃ。」
志乃「それは悪かった。」
黒根「本当に反省しとるんか?」
志乃「今回は自分からしたことじゃない。」
黒根「もう油断するなよ。」
志乃「ああ。」
樹霧之介「志乃さん。」
志乃「何だ?」
樹霧之介「僕、強くなりたいんです。見てくれませんか?」
志乃「それなら黒丸の方が分かるんじゃないのか?」
黒根「わしは言葉で伝えることはできても実際に見てやることは出来ん。」
樹霧之介「実際に父さんと戦ってきた志乃さんなら分かる事があると思うんです。」
志乃「だけど木を動かす事なんて分からないぞ。」
黒根「それでも一度見てくれんか?お主なら気付くことがあるかもしれん。」
志乃「分かった。じっくり見る機会はなかったからな。」
焔「なら俺も!技が増えたから見てほしい!」
志乃「そう言えば最近火球しか見てないな。」
雫「こいつはいいわよ。先に樹霧之介を見てあげて。」
焔「えー。」
雫「それに今日はもう遅いし、解散しましょ。」
志乃「修行するなら明日以降だとは思っていたけど。雫はいいのか?」
雫「私?」
志乃「ああ。少しもったいないと思っていたんだ。」
雫「だけど、あまり迷惑をかけるわけにはいかないわ。」
志乃「あの雨を降らす技だが状態異常を付与するだけじゃなく結界を作るのにも使えるのは知っているのか?」
雫「え。何それ。」
志乃「安全な場所を作れるなら治療も安心して行える。覚える気はないか?」
雫「そんなことができるならしたいわよ。」
志乃「なら明日一緒に来ないか?」
雫「一緒って大丈夫なの?」
志乃「まだ使ったことがないならコツを教えて後は雫しだいだからな。雫が練習している間に樹霧之介を見る事はできる。」
雫「樹霧之介はいいの?」
樹霧之介「構いませんよ。」
雫「浜名瀬さんも水を使えないのに私に教えれるの?」
志乃「結界は得意だからな。他にも出来る事があるのにそれを教えられないのが残念だけど。」
雫「他って?」
志乃「戦闘に参加する気はあるか?」
雫「、、今はいいわ。支援するのが私の役目だから。」
志乃「分かった。」
焔「雫ずるいぞ。俺が先に言っていたのに。」
志乃「なら焔は今から見せてもらおうか?」
雫「浜名瀬さん疲れているでしょ。」
志乃「見るだけだろ?炎なら少し暗い方が見やすいし今からでもいいんじゃないか?それに3号も新しい事を覚えたんだ。」
焔「見たい!」
志乃「なら燃える物が無い場所に移動するか。」
雫「浜名瀬さんがいいならいいけど、、」
それから工場跡地に移動して焔の技を皆で見ることになった。
焔「紅羽。」
焔が出した炎から蝶の形の炎が次々に舞い上がる。
焔「これ、触れたら爆発するんだぜ。」
志乃「へー。」
志乃はそれを聞いて1匹の蝶に触れようとするが樹霧之介に止められる。
樹霧之介「爆発するって聞いて触ろうとしないでください。」
志乃「だけど触らないと分からないだろ。」
焔「爆発が見たいならさせるぞ。」
志乃「触れた時にどう爆破するか見たいんだが、石を当ててなら良いか?」
樹霧之介「良いですが当てられるんですか?」
志乃は落ちている石を1つ拾って投げ、蝶の1匹に正確に当てると蝶を爆発させる。
志乃「なるほどこれなら相手の足を止めるのに使えそうだな。」
焔「そうだろ。」
志乃「前の火鼠もそうだが生き物が想像しやすいんだな。」
焔「他にもあるぞ。火翔。」
焔の手から炎のトンボが出てきて素早く真っすぐ飛んで行って近くの木に当たり木を焦がす。
雫「燃やさないでよね。」
焔「大丈夫だって。」
志乃「威力は低いけど使いやすそうだな。」
焔「なあ、さっき言ってた管狐の新しい事って何なんだ?」
志乃「そうだね。戦闘向きではないけど綺麗だから見てもらおうか。3号、お願い。」
3号は竹筒から出てくるとカラフルな火花を出す。
焔「火って色を付けれるのか!?」
志乃「3号、火花じゃなく火の色を変えれるか?」
それを聞いて3号は普通の炎を出した後それの色を順番に変える。
雫「綺麗だけど何に使えるの?」
志乃「確かに遠くの仲間に合図を送るくらいしか思いつかないな。」
焔「だけど派手な技も作れそうじゃないか?」
志乃「焔なら蝶やネズミに色を付けて惑わす事も出来そうだな。」
焔「やってみる!」
そう言って焔は座って集中し始めた。
雫「もう、ここは私が見るから浜名瀬さん達は帰ってもいいわよ。」
志乃「大丈夫なのか?」
雫「あれ見てコツ掴んだみたいだから大丈夫よ。」
志乃「いや、雫は明日練習するなら休んだ方が良いんじゃないのか?」
雫「長くなりそうなら引っ張って帰るわ。」
志乃「そうか、無理はするなよ。」
雫「浜名瀬さんには言われたくないわね。」
志乃「まあ、また明日。」
雫「ええ。」
それから解散して雫も遅くならないうちに焔を引きずって帰る。
次の日、志乃は妖ノ郷にある樹霧之介の家へ行くとそこには雫も待っていた。
樹霧之介「志乃さん。待っていましたよ。」
雫「今日はどこに行くの?」
志乃「隠狐山に行こうと思う。」
樹霧之介「そこは昔志乃さん達が拠点にしていた所ですよね。」
志乃「ああ。黒丸もそこで修行していたから比べやすいかなと思うんだ。それに開けた場所もあるから雫の練習もしやすいだろう。」
雫「開けた場所がやりやすいの?」
志乃「結界は空間に何もない方が張りやすいんだ。」
雫「そうなのね。」
志乃「それじゃ移動するか。」
志乃達は隠狐山の近くの出入り口から出て、拠点のあった場所へ歩いて移動する。
志乃「やっぱり懐かしいな。」
樹霧之介「志乃さんはここで母さんや父さんと出会ったんですよね。」
志乃「そうだ。今から行く所に山小屋が建っていてそこで柚子に声を掛けられたんだ。」
樹霧之介「あの、暗い志乃さんの時ですよね。」
志乃「その時の私も出てきてたのか。」
樹霧之介「話では聞いてましたが実際に見ると、何て言うか、、」
志乃「柚子のお陰で見てこなかった世界を見ることができた。今は大丈夫だ。」
樹霧之介「はい。」
もうしばらく歩くと志乃が話し出す。
志乃「そうそう、ここら辺で黒丸に襲われたんだ。」
樹霧之介「え。」
志乃「前に言っただろ。柚子と歩いている私を男性だと勘違いして戦闘になったんだ。」
雫「そんなことがあったの?」
志乃「雫は話した時いなかったんだっけ。」
雫「ええ。初耳よ。何で浜名瀬さんを男性だと思うのよ。」
志乃「その頃は舐められないように男装していたんだ。」
雫「へー。それでその時はどっちが勝ったの?」
志乃「柚子が間に入って勝負はつかなかった。」
雫「そうなのね。」
樹霧之介「だけど父さんと志乃さん、戦ったらどっちが強いんでしょう?」
志乃「勝利条件にもよるけど私の方が霊力を使う分有利だな。」
雫「勝つとは言わないのね。」
志乃「あの頃の黒丸は妖力も強くてどこから出てくるか分からない木の根を避けるのは難しかったからな。」
樹霧之介「素早く動かせるならそんな戦略もあるんですね。」
志乃「まあ、黒丸の本領は妖力で強化した木の根での攻撃だったから当てる為にそこら辺を磨いたってところがあるね。」
樹霧之介「僕それもよく分からないんですよね。」
志乃「柚子はそういう事できなかったから得意不得意はあるよ。今日はそれも見よう。」
樹霧之介「はい。」
それからもうしばらく歩くと開けた場所へ出た。
志乃「先に雫の方から教えるな。」
雫「お願いするわ。」
志乃「結界は拒否する気持ちが大事だ。壁を作るイメージなんだが、雨でそのイメージは難しい。なので、、」
志乃が雫に結界の説明をして雫はそれを実践してみているのでその間に志乃は樹霧之介を見る。
志乃は9号にボールをいくつか持って来てもらい、それをふくらましている。
樹霧之介「何しているんですか?」
志乃「今からボールを投げるから地面に着く前に木の根を当てて。」
樹霧之介「え。」
志乃は樹霧之介の前にボールを投げるが樹霧之介はボールに木の根を当てることはできない。
樹霧之介「動いている敵は苦手なんです。」
志乃「それは見た後に認識してから動かしているからだ。」
樹霧之介「他にどうしろって言うんですか?」
志乃「まずはボールの軌道を予想して当てる事を考えようか。」
樹霧之介「できるんでしょうか。」
志乃「やらないと強くなれないよ。」
樹霧之介「はい。」
それから少しだけボールに当たるようになったがボールに木の根の先は当たらない。
志乃「前から思ってたんだけど。怖い?」
樹霧之介「え?」
志乃「敵を傷つける事。」
樹霧之介「…。」
志乃「私も最初は自分が振り下ろした刀の結果を考えて力が入らない事があった。」
樹霧之介「志乃さんが?」
志乃「昔の私を見たなら分かるだろ。」
樹霧之介「はい、、」
志乃「だけど私が躊躇して誰かが傷つくのも嫌だった。」
樹霧之介「志乃さんはどうしていたんですか?」
志乃「私は後悔しないように戦う敵の事を知ろうとした。弱点を知る為でもあったけど、その妖怪がどうしてこんな事したかを知ると戦いやすかったんだ。」
樹霧之介「どうしてですか?」
志乃「その妖怪が凶悪であれば心置きなく倒せるし、他に解決法があればそれを試せる。それでもどうしようもない事もあるけど、精一杯やった結果なら後悔も少ないから。」
樹霧之介「それで物知りなんですね。」
志乃「臆病だった分色々と知る事ができた。」
樹霧之介「僕も後悔しないようにできるんでしょうか?」
志乃「その気があっても力が無ければ後悔する事がある。樹霧之介はそれが嫌で強くなりたいんだろ。」
樹霧之介「そうです。」
志乃「なら続けようか。」
樹霧之介「はい。」
それから迷いが無くなったのか木の根のスピードが上がり、ボールの1つを割る事ができた。
樹霧之介「志乃さんやりましたよ。」
志乃「なら次はもう少し早くしてみようか。」
樹霧之介「はい。」
それからボールの投げ方を変えながら樹霧之介の反応速度と木の根の速度を高めていく。
志乃「少し休憩しよう。」
樹霧之介「はい。」
志乃と樹霧之介は木陰に座り少し休む事にした。
樹霧之介「父さんって志乃さんと一緒に強くなったんですか?」
志乃「いや、黒丸は私と出会う前から強かった。」
樹霧之介「そうなんですか?」
志乃「黒丸は柚子と出会うまで1人で森を守ってきたらしいから。」
樹霧之介「初めて聞きました。」
志乃「私も柚子からは聞いたけど本人からは聞いてないんだよね。」
樹霧之介「何で言わないんでしょう?」
志乃「黒丸も私と同じで柚子と出会う前は荒れていたみたいだから言いたくないんだろう。」
樹霧之介「父さんが?」
志乃「私が知っているのも知らないと思う。だから私が言った事は秘密にしてくれるか?」
樹霧之介「はい。」
志乃「黒丸がいた森は木材確保の為に大量の木材が切り出されていたから黒丸はそれを止めさせる為に攻撃したんだ。」
樹霧之介「いきなりですか?」
志乃「忠告はしたが止めなかったらしい。最後の忠告も無視されて実力行使に出たみたいだ。ただ不幸だったのがその木材確保の目的が結構偉い人の城の建築の為みたいでそいつの威厳を保つため黒丸が悪霊とされて討伐隊が組まれ、それを頼れるものがいない中1人で戦っていた。だから強くならざるおえなかったんだ。」
樹霧之介「1人で戦っていた事があったんですね。ずっと志乃さんと一緒に戦っていたんだと思っていました。」
志乃「まあ、私といた方が時間的には長いけど。」
樹霧之介「だけど何で父さんは森を出たんですか?」
志乃「黒丸に敵わないと思った人間は最終手段に出たんだ。」
樹霧之介「何をしたんですか?」
志乃「一目連を呼び出し森を壊滅させた。」
樹霧之介「一目連?」
志乃「風を操る片目を失った龍神だ。わざと暴走させて森に連れて来たらしく、暴風が吹き荒れて木々は倒され雨も降り土砂崩れも起きたらしい。」
樹霧之介「酷い。」
志乃「黒丸は抵抗しようとしたけど土砂と折れた木の下敷きになって気がついたら全てが終わった後だった。そこで調査に来た柚子と出会ったみたいだ。」
樹霧之介「それなら父さんって人間を恨んでいるんですか?」
志乃「私と組んだ時はあからさまな態度は無かったけど最初は柚子に言われたから仕方なくって感じだった。私以外の人間と組む事が無かったのもそれがあったからだろうな。」
樹霧之介「父さんと志乃さんって最初は仲良く無かったんですね。」
志乃「一緒に戦う中で徐々に心を許すようになったって感じだ。黒丸も私も。」
樹霧之介「志乃さんも?」
志乃「私もあの時は柚子と師匠以外、誰も信じてなかったから。」
樹霧之介「似たもの同士だったんですね。」
志乃「そうだな。だけど樹霧之介には信じられる仲間がいる。大事にしろよ。」
樹霧之介「勿論です。」
志乃「黒丸が強くなった理由はこんなものだな。樹霧之介に真似しろとは言えないからもう少し頑張るか。」
樹霧之介「はい。」
それから木の根の他にも枝の罠なども練習した後、雫の様子を見に行くとそこには一部だけ雲が出て雨が降っている。
霧雨の様な細かい雨が降っていて、中は不自然にもやが掛かっていて見えない。
志乃「いい感じだな。雫、中に入ってもいい?」
雫「ええ、いいわよ。」
志乃と樹霧之介が雨の中に入ると雨は外側だけで中には降っていない。
そしてその真ん中に雫が座っている。
雫「浜名瀬さん。これ維持するの結構大変よ。」
志乃「維持するじゃなくて必要な妖力を先に注いで設置するようにできたらいいな。」
雫「それは慣れが必要ね。」
志乃「それでこの結界、外から攻撃してみてもいいか?」
雫「いいけど、お手柔らかに頼むわよ。」
志乃「どうしようかな。」
雫「え、不安なんだけど。」
志乃「なら私が出たら全力で拒否してくれ。」
雫「いいのね?」
志乃「ああ。」
それから志乃は結界の外に出てもう一度入ろうとするが雨に弾かれる。
そして3号と10号を出して火の玉と風の刃で攻撃するが雨に触れると消えた。
志乃は少し考えてから大百足を出すと大百足は結界に巻き付いて徐々に力を強めながら締め付けると結界が破れる。
雫「それは無理でしょ。」
志乃「だけど強度は十分だな。初めてにしてはよくできている。」
雫「破っておいてそれは無いんじゃないの。」
志乃「大百足の締め付けにしばらく耐えたんだから十分だ。」
雫「そう言う浜名瀬さんはどうなの?」
志乃「昔は耐えれたんだが今だと全力を出されたら無理だな。」
雫「そうなのね。」
志乃「だから次は維持しなくても消えないようにできるようにしよう。」
雫「そんな簡単に言わないでよ。」
志乃「ここまでくれば後は簡単だ。前私の屋敷に来た時に雨を降らしただろ。」
雫「あれは普通の雨よ。」
志乃「だけどお前がいなくなっても降っていた。だからそれを結界の雨に変えるだけだ。」
雫「簡単に言ってくれるわね。でも分かったわ、やってみる。」
それから陽が落ちるまで樹霧之介と雫の練習は続いた。
志乃は夏休みの間、陽葵がいないのでちょくちょく妖ノ郷に顔を出しては進捗を確認する。
黒根までとはいかなないが樹霧之介の攻撃速度はあがり、雫もまだ時間は短いが何もしなくても結界を維持することができるようになった。
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