38話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
真琴を救うために珍しい髪型をした子供を探している志乃は真琴が通ったであろう妖ノ郷から郵便局への道を調べてみるが特に手掛かりはなく、道の途中にある公園を見てみると子供達が遊んでいる。
志乃は子供同士なら何か見ていないかと思い子供の姿になって公園の子供達に話しかける。
志乃「ねえ、この辺であまり見ない子供を見た事は無い?」
子供1「どうしたの?」
志乃「えっと、友達とはぐれちゃったから探しているんだ。」
子供2「なら、あの子じゃない?」
志乃「それはどんな子?教えて。」
子供2「何かアニメでしか見ないような髪型していて、あれ何だっけ。黒い変な物持ってた。」
子供1「瓢箪だよ。水筒にしているとか珍しい事言ってたから覚えてる。」
志乃「どこ行ったか分かる?」
子供1「分かんない。いつの間にかいなくなってたもん。」
志乃「どんな格好してた?」
子供2「袖の無い白いシャツに半ズボンだよ。友達なのに何で知らないの?」
志乃「それが私の友達か確かめようと思って。」
子供2「そうなんだ。どうなの?」
志乃「多分そうだと思う。君達はその子に何か言われなかった?」
子供1「そう言えば楽しい場所があるって言ってた。」
志乃「行ったの?」
子供1「行ってないよ。お母さんからここから離れるなって言われてたから。」
志乃「そうか。私はその子を探してみるね。」
子供2「うん。見つかるといいね。」
志乃「うん。ありがとう。」
志乃は子供達の話を聞いて町中でその子供を探す。
するとさっきの子供から聞いた格好をしたおかっぱ頭の子供を見つける。
黒い瓢箪も持っているので間違いないだろう。
巧妙に隠しているのか元の妖力が少ないのか、妖気をあまり感じる事が出来ず、普通の子供とあまり変わりない。
その子供は向こうの道から歩いて来ているのですれ違いざまに霊縛符を背中に貼り、動きを止めて捕まえる。
志乃「かぶきり小僧だな。その妖呑の瓢箪を渡せ。」
かぶきり小僧「何だお前。これは渡せないんだ。」
かぶきり小僧は瓢箪を両手で掴んで離さない。
志乃「仕方ない。」
9号が短刀を持って来てもらい瓢箪を壊そうとするとかぶきり小僧が叫ぶ。
かぶきり小僧「ぎゃー殺されるー!助けてー!」
住宅街だったのでその声に人が集まって来る。
志乃は慌てて短刀を竹筒に戻し、かぶきり小僧を連れて人気のない場所へ行こうとするが続けてかぶきり小僧が叫ぶ。
かぶきり小僧「止めて、僕をどこに連れて行くの!」
その声に駆けつけた人は志乃を足止めし、その間にかぶきり小僧は霊縛符を外して逃げてしまう。
志乃「しまっ、、」
樹霧之介「志乃さん。あいつですか?」
志乃「ああ。追いかけてくれ。」
騒動を聞きつけて樹霧之介が来てくれていたので7号と一緒に山の方へ逃げたかぶきり小僧を任せて志乃は駆けつけた人達を撒いてから樹霧之介と合流する。
樹霧之介「志乃さんにしては珍しいミスですね。」
志乃「すまん。焦った。」
樹霧之介「真琴の命が掛かっているので分かります。」
かぶきり小僧「しつこい!」
かぶきり小僧が茂みに向かって石を投げると一匹の獣が怒って出てきた。
志乃「虎狼狸!?」
志乃は何かを準備する虎狼狸を見て管狐を竹筒に戻し、樹霧之介を突き飛ばすと虎狼狸は霧状の何かを噴き出して志乃はそれに包まれる。
樹霧之介「志乃さん!」
かぶきり小僧「吸ったな。そいつの息を吸えば病気になる。持って後3日の命だ。けけけ。」
そう勝ちを確信して足を止めたかぶきり小僧の後ろに志乃は回りこみ短刀で瓢箪を割る。
かぶきり小僧「お前、何で動ける。」
志乃「虎狼狸の息は私に効かないんだ。」
志乃は再度かぶきり小僧に霊縛符を貼り動きを封じると9号に縄を持って来てもらいそれで木に縛り付ける。
志乃「樹霧之介はあれ吸ってないか?」
樹霧之介「はい。大丈夫です。」
志乃「瓢箪を割ったから妖力は戻っていると思うが一応確認するか。」
志乃はスマホを取り出し真琴に電話を掛けると雫が電話に出た。
雫「浜名瀬さん?」
志乃「真琴はどうだ?」
雫「やっぱり浜名瀬さんが何かしてくれたのね。今真琴の妖力が戻って透けなくなったの。今は寝ているわ。」
志乃「良かった。それでこっちは元凶を樹霧之介と捕まえた。動機とか聞いて処理するつもりだ。」
雫「2人で大丈夫?」
志乃「もう動けないから大丈夫だ。」
雫「そう。後で詳しい事教えてね。」
志乃「ああ。」
真琴の無事を確認して志乃は電話を切る。
樹霧之介「真琴は大丈夫ですか?」
志乃「ああ。妖力が戻って今は寝ているらしい。」
かぶきり小僧「あの妖怪の仲間だったの?」
樹霧之介「そうです。何でこんなことしたんですか。」
かぶきり小僧「ごめんなさい。」
樹霧之介「え。」
かぶきり小僧「僕は人と仲良くなりたいのに妖力が足りなくて変化を長く保てないんです。」
かぶきり小僧は涙を流しながら事情を話し出す。
かぶきり小僧「前に変化が解けて人に元の姿がバレて怖がられて、石を投げられ追い払われたんです。」
樹霧之介「そ、そうだったんですか?」
かぶきり小僧「それから人前に出るのが怖くて、それであなた達のお仲間の妖力を使って変化を保とうと思ったんです。」
樹霧之介「志乃さん。何とかなりませんか?可哀そうですよ。」
志乃「はぁ。その茶番はいつまで続くんだ?」
樹霧之介「何を言っているんです?」
志乃は短刀をかぶきり小僧に突きつける。
樹霧之介「志乃さん!?」
志乃「変化を長く保てないなら何で瓢箪が割れてもまだ人の姿なんだ?」
かぶきり小僧「だってあなた人間でしょ。変化を解くのは怖いんですよ。」
志乃「罪悪感があるなら何故あそこまで真琴の妖力を奪った?」
かぶきり小僧「瓢箪の扱いにまだ慣れていなくて吸いすぎてしまったんです。」
志乃「虎狼狸の息は確実に人を殺す。何故あそこで襲わせた?」
かぶきり小僧「たまたまあそこにいたんです。あなただってピンピンしているじゃないですか。」
志乃「人と仲良くしたいと言うわりにはお前の殺意は高すぎる。」
かぶきり小僧「たまたまですって。」
志乃「お前、ムジナはムジナでもおおむじなだな。」
おおむじな「なんだ。バレてんなら隠しても仕方ないじゃないか。」
樹霧之介「どういうことですか?」
志乃「ムジナは幻覚を使って悪戯をする奴だがおおむじなは何人も人を殺している奴だ。」
おおむじなは変化を解いて獣の姿になり縄から抜けると志乃に襲い掛かり志乃はそれを短刀で受ける。
妖気は今まで隠していたようでそれを解放した今は強い力で食らいつく。
樹霧之介「志乃さん!」
おおむじな「弱いからって油断したな。そんな細腕へし折ってやる。」
おおむじなの牙は短刀で防いでいるが爪は志乃の腕に食い込んでいく。
樹霧之介は木の根を操りおおむじなを払い退け志乃から離す。
おおむじな「くそ。1対2とか卑怯だぞ。」
志乃「虎狼狸を利用したくせに何言ってる。」
おおむじな「それもお前が倒したんだろ。」
志乃「あいつは病気を撒くからな。」
樹霧之介「何でこんなことするんですか。」
おおむじな「俺は力が欲しい。それには奪うか人を殺すのが一番手っ取り早いんだ。」
樹霧之介「そんなことさせません。」
おおむじな「偉そうな事言うな!」
おおむじなは樹霧之介に飛びつくかと思ったがそのまま横に抜けて走り出した。
樹霧之介「え!?」
おおむじな「へへ。素直に相手してやると思ってたのか。」
逃げて拠点を変えようと思っていたおおむじなは志乃が予め張っておいた結界に阻まれる。
おおむじな「いった。何だこ、れ、、」
結界にぶつかったおおむじなの後ろから志乃が近づく。
志乃「お前が公園の子供を狙った時から逃がすつもりは無い。」
おおむじな「はは、冗談じゃないか。なあ?」
志乃「お前は放置できない。悪く思うなよ。」
志乃は短刀をおおむじなに振り下ろすがおおむじな素早い動きでそれを避ける。
おおむじな「これお前の術かよ。」
志乃「樹霧之介。結界の範囲内を枝で覆って捕まえてくれ。」
樹霧之介「はい。」
樹霧之介の枝は動きは遅いが設置罠として優秀で一度体の一部が絡まれば離すことは無い。
おおむじなは罠が張られる前に草むらの中に隠れたかと思うと中に隠していた白い瓢箪を持ち出す。
樹霧之介「瓢箪!まだ持っていたんですか!」
樹霧之介は妖力を吸い取られると思い警戒して術を止めてしまう。
おおむじな「これで術の事を忘れればこの壁も無くなるだろ。」
志乃「記呑の瓢箪そっちも持っていたのか。」
志乃は止めようとしたがおおむじなは瓢箪の蓋を開けて追って来た志乃に瓢箪の口を向けると志乃は動けなくなり、体からは白い糸のようなものが伸びてそれが瓢箪の口に吸い込まれていく。
樹霧之介「志乃さん!?」
志乃の異変に樹霧之介が気付くと木の根でおおむじなを攻撃するが大振りな攻撃は避けられてしまう。
その間にも志乃の目からは光が消えていき、志乃は膝をつく。
樹霧之介が焦っていると妖気を感じた風見が焔と茂蔵と一緒に駆けつけたが結界が張ってあって足止めされていた。
おおむじな「こいつの記憶どうなってんだ。」
おおむじながそう叫ぶと瓢箪が破裂してその衝撃でおおむじなは気絶する。
それと同時に志乃も意識を取り戻すが頭を抑えて様子がおかしい。
樹霧之介がおおむじなに止めを刺すとおおむじなは煙となって消え、樹霧之介は志乃に駆け寄る。
樹霧之介「志乃さん。大丈夫ですか!?」
志乃「大、丈夫、だけど、、黒丸に、しばらく、迷惑掛けるって、言っておいて、、」
そう言い残して志乃は気絶してしまった。
志乃が気絶すると同時に結界が解除されて風見達も集まって来る。
樹霧之介「志乃さん?志乃さん!」
どうすればいいか分からなかったが志乃が黒根の名前を出したことから妖ノ郷にある樹霧之介の家に志乃を運んで布団に寝かせてから黒根に相談する。
黒根「白い瓢箪か、なら記呑の瓢箪じゃな。」
樹霧之介「志乃さんも言っていました。それは何ですか?」
黒根「真琴の妖力を吸い取った黒い瓢箪が妖呑の瓢箪。そして記憶を吸い取る白い瓢箪が記呑の瓢箪じゃ。」
焔「なら今の志乃は記憶が無いのか?」
黒根「瓢箪が砕けたのなら真琴の妖力と同じく元に戻っているはずじゃ。」
茂蔵「このまま起きるのを待てばいいのか?」
黒根「じゃが志乃はわしに迷惑が掛かると言っておったのじゃろ?」
樹霧之介「はい。どういう意味か分かりますか?」
黒根「あの記呑の瓢箪が破裂するまで記憶を吸われたとなると、、」
志乃「ここは?」
樹霧之介「志乃さん。目覚めたんですか?」
志乃「坊や、どこの子?」
樹霧之介「え?」
焔「おい。記憶戻っているんじゃないのか?」
黒根「やはりか。」
樹霧之介「どういうことですか?」
黒根「志乃は何百年も生きてきたんじゃ。その記憶が一度に戻ると精神を壊しかねん。じゃから少しずつ記憶が戻るように自分の記憶を封印しておるんじゃろう。」
志乃「私にはあなたくらいの子供がいるんです。帰り道を教えてもらえませんか?」
志乃は樹霧之介に優しく微笑みかけている。
樹霧之介「え。えっと。」
いつもと違う志乃に樹霧之介は戸惑っている。
黒根「お主は倒れておったんじゃもうしばらくここにいなさい。」
志乃「え。小さい人?人間じゃ、ないですよね。」
樹霧之介「父さん、どういうことですか?」
黒根「多分夫と子供がいた時の記憶じゃろう。わしもこの頃の志乃の事は話でしか知らんがまだ人魚以外の妖怪と関りが無かったとは聞いたな。」
志乃「よく見たら狸と釜も立っているし、私どこに迷い込んだの?」
志乃が不思議そうにあたりを見回していると、心配した12号が竹筒から出てきた。
志乃「あなたはなあに?フワフワね。」
志乃は12号を笑顔で撫でている。
樹霧之介「志乃さんってこんなに感情豊かでした?」
黒根「わしもこんな志乃は知らん。」
志乃「そう言えば何で私の名前知ってるの?」
焔「志乃は志乃だろ。しっかりしろよ。」
志乃「はい。私はしのですが、お兄さんは?」
焔「俺は焔だ。忘れたのか?」
樹霧之介「焔。志乃さんは今記憶が無いんです。」
焔「だけど、こんなの志乃じゃない。」
黒根「焔。志乃の記憶が戻るまでわしと樹霧之介で見守る。お主は帰るんじゃ。」
焔「本当に戻るのか?」
黒根「あいつが大丈夫と言っておったんなら今回は大丈夫じゃろう。」
焔「、、分かった。」
黒根「風見と茂蔵。お主らもじゃ。」
風見「ワイも?」
茂蔵「おいら、手伝えることがあれば手伝うぜ。」
その時志乃がまた倒れる。
樹霧之介「志乃さん!」
黒根「次の記憶に移ったんじゃろう。順調に思い出している証拠じゃ。」
焔「大丈夫なんだよな。」
茂蔵「何かあったら呼んでくれよ。」
樹霧之介「その時はお願いします。」
焔と風見、茂蔵はそれぞれの家に帰って行った。
樹霧之介「これ、どのくらいかかるんでしょう?」
黒根「分からんがめんどくさい事になったのぅ。」
志乃「ここは?私こんなところに泊ったっけ?」
黒根「妖怪の知らない志乃の前にわしはあまり顔を出さん方がいいじゃろう。管狐、多分12号じゃろう。お主も竹筒へ入れ。」
黒根はそう言って押入れの中に隠れてしまい、12号も少し迷ってから竹筒へ入った。
樹霧之介「父さん!?」
志乃「昨日の記憶があまりないんだけど君は?」
樹霧之介「僕は樹霧之介といいます。志乃さん。今何していますか?」
志乃「何って今は旅してて、ここに泊めて貰ったんだよね?」
樹霧之介「あ、はいそうです。」
志乃「まだ小さいのにお手伝い?偉いね。」
樹霧之介「あ、ありがとうございます。」
志乃は起きると布団を畳み始める。
樹霧之介「志乃さん。布団はそのままで大丈夫ですよ。」
志乃「そうなの?じゃあ、私はもう行くね。」
樹霧之介「ちょ、ちょっと待ってください。」
志乃は扉に手を掛けようとすると扉が開いて雫と真琴がそこにいた。
雫「浜名瀬さん。無事だったのね。焔が不機嫌そうにあなたの悪口言ってたけどどうしたの?」
志乃「浜名瀬?人違いでは?」
雫「え?」
樹霧之介「志乃さん。話しがあるので少し待ってください。」
志乃「話し?」
樹霧之介「雫と真琴も今の状況を話します。入ってください。」
雫「う、うん。」
樹霧之介「すみません。志乃さん。この人達に話してからあなたにも聞いてほしい事があるので少し待っていてください。」
志乃「この2人とは知り合いなのね。泊めてもらったみたいだから少し待つくらいならいいよ。」
雫と真琴は部屋に入ると樹霧之介と円になって話し合い、志乃は部屋の隅に座ってそれが終わるのを待っている。
雫「焔から浜名瀬さんが違うって言っていたけど本当にどうしちゃったの?」
樹霧之介「まずは真琴が無事で良かったです。」
真琴「心配かけてごめん。樹霧之介と浜名瀬さんが助けてくれたって聞いたよ。ありがとう。」
雫「だけど代わりに浜名瀬さんが何かされたの?」
樹霧之介「それなんですが、、」
樹霧之介が志乃の記憶が瓢箪に吸われて一度に戻すと危ないから自ら封印している事を話してその間に志乃はまた倒れてしまい、それを見て黒根は押入れから出てくる。
雫「浜名瀬さんが倒れた時はびっくりしたけどそうだったのね。」
真琴「だけど私のせいよね。」
樹霧之介「違います。おおむじなのせいです。」
黒根「そうじゃそれに志乃がああなったのは志乃が油断したからじゃ。」
真琴「うん、、」
雫「それにしても電話では2人で大丈夫って言っていたのになんでこんな事になったのよ。」
樹霧之介「志乃さんは結界も用意して逃げられた時の対処はしていたんですが、瓢箪までは予想できてなかったみたいです。」
雫「まあ、いきなり出されたらそうなるわよね。」
樹霧之介「僕、志乃さんの記憶が取られているのに何もできませんでした。」
真琴「だけど倒せたのよね。」
樹霧之介「それは瓢箪が破裂したから、、志乃さんに言われた罠も瓢箪に妖力が取られるかもと思って手が止まってしまいました。あれが出来ていればもっと早く捕まえれたかもしれないのに、、」
黒根「まあ、樹霧之介はまだ木を操るのは苦手じゃしの。」
樹霧之介「はい、、」
樹霧之介は落ち込み、俯いてしまう。
黒根「あ、いや。伸びしろがあるって事じゃ、これから頑張ればよい。」
真琴「そうよ。この前だって子供達を守ったじゃない。」
樹霧之介「ですがそれは志乃さんが助けてくれなかったら僕も子供達も殺されてました。」
黒根「そう言えば今回志乃はまだ起きないのか?」
樹霧之介「さっきはすぐ起きていましたよね。」
樹霧之介が志乃の方を見るが志乃は横になって寝ている。
樹霧之介は心配になって志乃に触れてみる。
志乃「ほっといて。」
樹霧之介「志乃さん起きていたんですね。」
志乃「誰?何で私の名前を知っているの?」
樹霧之介「えっと、、」
志乃「まあ、どうでもいいよ。」
志乃は樹霧之介とは反対の方向を向いてまた寝てしまった。
樹霧之介「志乃さん、、」
黒根「柚子と出会う前の時じゃな。」
樹霧之介「人ってこんなにも変わってしまうんですか?」
黒根「、、わしも予想外じゃ。元からあの性格だと思っておったから。」
樹霧之介「変わらないと耐えられなかったんでしょうか?」
黒根「そうじゃろうな。」
真琴「浜名瀬さん、大丈夫なの?」
黒根「記憶が進めば元に戻るじゃろ。お主らは帰って大丈夫じゃ。」
真琴「でも、、」
雫「私達にできることは無いの?」
黒根「今はわしらも見守る事しか出来ん。」
真琴「そう、、なら帰るけど何かあったら呼んで。」
雫「私も、しばらく真琴と一緒にいるから。」
黒根「分かった。」
樹霧之介「はい。その時はお願いします。」
そして真琴と雫は樹霧之介の家を出て行った。
志乃「ここは?師匠の屋敷にいたはずじゃないの?」
樹霧之介「志乃さん。」
志乃「あなたは、柚子と同じ木霊だね。」
樹霧之介「はい。樹霧之介といいます。」
志乃「初めましてだよね?何で名前を知っているの?」
樹霧之介「初めましてではないですよ。」
志乃「そう言えば柚子に似てる。もしかして柚子と同じ木から生まれたの?」
樹霧之介「どういうことですか?」
志乃「柚子はご神木の挿し木って聞いたよ。ご神木が切られる時、反対した人の1人が枝を植えたって。柚子だけじゃなかったんだね。」
樹霧之介「そうなんですか?」
志乃「あれ。違うの?似てるのに。今度柚子と合った時に並んでみてほしいな。」
樹霧之介「父さん。本当ですか?」
黒根「ああ。本当じゃ。そうか、今の志乃はそういう考えになるのか。」
志乃「そっちも木霊だね。どうして、、」
そこまで言うと志乃はまた倒れてしまう。
樹霧之介「少し、戻りましたね。」
黒根「そうじゃな。」
樹霧之介「次の志乃さん、どうなるんでしょう。」
黒根「この調子じゃとわしと一緒に仕事している時じゃろうな。」
樹霧之介「その時の志乃さんが今の父さんを見たらどうなるんでしょう。」
黒根「まあ、あの時の志乃なら大丈夫じゃろ。」
志乃「うん?ここは?」
樹霧之介「志乃さん?」
志乃「君は?柚子に似てるけど?」
黒根「志乃。」
志乃「あれ。黒丸?どうしたんだ?その姿。」
黒根「分からんか?」
志乃「、、ああ。記憶が封印されてる。これ自分でやったな。」
黒根「そうじゃ。」
志乃「何だその喋り方。」
黒根「いいじゃろ。それくらい時間が経ったんじゃ。」
志乃「そうか。今は、、いや、いいや。しばらくすれば嫌でも分かる。」
黒根「そうじゃな。」
志乃「変わらないものなんて無いんだな。」
黒根「そうでもないぞ。」
志乃「そんな姿で言われてもな。」
黒根「これは仕方なかったんじゃ。」
志乃「私の中にあるものと関係あるのか?」
黒根「後で分かるじゃろ。」
志乃「それもそうか。」
樹霧之介「志乃さん。」
志乃「君は?多分知っているんだろうけど今は分からないんだ。ごめん。」
樹霧之介「大丈夫です。分かってますから。」
志乃「そうか。何があったかは分からないが一応謝っておく。ごめんな。」
樹霧之介「分からないのに謝るんですか?」
志乃「何か悲しそうに見えたから。」
樹霧之介「それは、、」
黒根「志乃。お前はまた無茶な戦い方をしたんじゃ。」
志乃「それまだ直ってないんだ。」
黒根「そうじゃぞ。もっと体を大事にしろと何回も言っておるじゃろ。」
志乃「はいはい。」
黒根「分かってないな。」
志乃「そろそろ時間だ。」
黒根「戻ったらまた言うぞ。」
志乃「ああ、、」
志乃はまた倒れてしまう。
黒根「これで後は戻るだけじゃろう。」
樹霧之介「はい。」
黒根「起きたら叱らんとな。」
樹霧之介「真琴のためだったんです。ほどほどにお願いします。」
黒根「それでも予想はできたはずじゃ。妖呑の瓢箪と記呑の瓢箪は対になっておるからの。」
樹霧之介「そうなんですか?」
黒根「こいつが知らんわけがない。いったい何を考えていたのか。」
樹霧之介と黒根が志乃が起きるのを待っていると急に志乃が苦しみ始める。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。




