13、やっと、思い出したよ 《視点…リリィ&莉々谷悠月》
三栖先生の歌は確かにどこかで聞いたことがあった。それは間違いようの無い事実。だってその曲は
私が作ったものだから。…………じゃあ、私は、三栖先生と関係があったってことなの……?
じゃあ、私は、誰……?
自分に聞いてみた。答えは返ってこない。いや、返ってこないわけじゃない。
確かに答えは知っているはず。
のどまで出てきて言葉にならない言葉がそれが確かだと言うことをその言葉が物語っている。
ねぇ、私は、誰………、
「_____誰か、いるのか……?」
三栖先生が私の方を見た。
焦点の合っていない目が見えた。
でも、しっかりと何かを見つめようとしている、ものすごく真っ直ぐな瞳。
見覚えがあった。
その途端にのどで突っかかっていた言葉がほどけ、閉じられていた記憶の引き出しが開いた。
「_________結、」
そう、私は、悠月。
莉々谷悠月。
三栖先生は、私の大切な彼氏の結人。
泣きそうだった。
あの時守ってくれた彼が、ずっと会いたかった彼が、
ずっと探していた彼が、大好きな彼が、
目の前にいるから。
もはや、泣きそうになってしまうなんて、そんなの当たり前じゃないって思った。
しかし、結がまだ声の元を探している。
どうやらまだ幽霊になってしまった私が見えないらしかった。私は必死になって問いかける。
「結、私は、ここにいるよ…………?」
やっと、はっきりと結と目が合った。
私が泣きじゃくって結のがはっきり見えないのか、
結が泣きすぎて結がはっきり見えないのか、
どっちだかわからない。
でもそんなのは今はどうだったっていい。
やっと出会えた。
やっと見つけた。
「大好きだよ、ゆい。」
結が膝から崩れ落ちた。
泣きすぎてお互いに顔がぐちゃぐちゃだ。
透き通ってとても綺麗な夕日が薄暗かったはずの廊下をしっかりと照らしていた。




