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2話
『わたしで、出来る事でしたら何でもおっしゃって下さい。この前はご迷惑をお掛けしておりますので』
「ありがとうございます。篠田さんならお力になってくれると思ってました…実はですね、四国の山奥で木川という家族が殺された事件があったと思うんですが」
『四国…木川、ですか?えっと…ちょ、ちょっと待って下さいね』
がたっと物音がしたかと思うと、こつこつこつと足音が聞こえてきた。そして、すぐにドアが閉まるような音がした。
『もしもし…申し訳ありません、他の者には聞かれない方が良いかと思いまして…それで、その事件がどうしたんですか?』
「詳細を教えて頂けませんか?」
『何故ですか?』
篠田の声が少しだけ固いものになった。やはり、簡単には教えて貰えないか、とむつは思った。
「仕事です。その事件を調べて欲しいと…犬神憑きという一家だったそうで」
むつは篠田が食い付きそうな単語、犬神憑きという言葉だけは内緒話をするように小さな声で言った。




