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僕は完璧でありたいのである  作者: いとう
第三章 ナスフォ街の天才美少女
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閑話 ばか




「で、またダリアちゃんにまけたの?」


「そうだね。いままでになく惜しかったんだけど…」


「うそだぁ!だってレオにゃんよりダリアちゃんの方が若いし、だんだん差が開くはずだもん!」


「な、なかなかストレートにいうね…」


「だってゆきぴょんもそう思うでしょー?」


 真夏の14時。部屋の外はオーブン並みに暑いことでしょう。幸い私は氷魔術が使えるので暑さとは無縁です。


 ――が、氷魔術で冷やせるのは物理的な温度だけです。うるさい人たちに囲まれていると暑苦しく感じますが、対処法はありません。


「そうですね。絶対に勝てないとわかってるからダリアさんに勝つことを条件にしたんです」


「うっわぁ!ひっどいはなし!」


 そうです。私は婚約者であるレオニア・ヨン・パドリクスに旅行に行こうと誘われました。ある日突然、なんとか休みを作るから2人で旅行に行きたいと言い出したのです。

 彼が言うには私は世界を知らなすぎるそうです。いろいろなものを見せてあげたいしどうたらこうたらと言っていました。


 まあ、私にしてみれば大きなお世話です。他人の記憶を見ることのできる私が見たことのない景色なんてほとんどありませんから。


 だからその条件に『槍の試合でダリア・ヨン・ペグロに勝つこと』を提示しました。つまり私は旅行に行く気がないということです。


「多分レオにゃんはゆきぴょんの水着が見たいんだと思うんだよね。どう私の推理は?」


「見たくないと言えば嘘になるね」


「うわっ!じゃあさじゃあさ、私の水着も見たい!?」


「見たいと言えば嘘になるよ」


「うっわぁ!!」


「…人が本を読んでる時くらい静かにできないんですか?」


 一体なんの話をしてるんですか、まったく。

 レオニアが水着になんて興味あるはずないじゃないですか。

 この男は王国のことしか考えられないんですから、女性に興味関心なんて…………………



 え?



「み、見たいんです…か?」


「見たくはないよ?確かにカレンは美人だけど私はスノウ一筋だからね」


「カレンじゃなくて!」


「スノウのってこと?」


「いけレオにゃん!なんか唐突にチャンスが来たよ!」


「ちょっと黙っててください!」


 レオニアが私の水着を見たい?

 聞き間違えじゃなければ確実にそう言いました。


 彼は私に対して絶対に嘘をつきません。見たいと言ったのなら見たいのでしょう。


 だけど、なぜ?


「見たいよ。私はスノウが水着を着ているところを見たい」


「…ああ、なるほど。私が元気に太陽の下にいるところを見たいと言うわけですか」


 この人は私のことを屋敷に囚われた可哀想な人か何かだと思っていますから、年相応に遊んでいるところでも見たいと思ったのでしょう。


「……違うよ。軽蔑しないで欲しいんだけど、スノウがその……む、難しいな。私は恋愛を経験しないで生きてきたからどうやってこの気持ちを伝えればいいのかがわからないんだ」


「『あいしてる』でいいんだよ!」


 黙っててくださいって言いましたよね、私?



「え?そ、そうだね。――私はスノウを愛してる。いろんな理由をつけたけど、正直君ともっと仲良くなりたいから旅行に行きたいんだ。家だといつも君は本を読んでしまうからね。それに、君が肌を露出させているところを見たいという邪な気持ちもあったよ、黙っててごめん」



「」



「照れてるよこれ!レオにゃんやるじゃん!てか、レオにゃんにも男の子らしいところあったんだね!――あ!なのに私の水着に興味がないってどういうこと!?」


「私が興味のある女性はスノウだけだからね」


「じゃあさじゃあさ、ゆきぴょんとえっちなことしたいと思う!?私は思うと思う!!」


「か、かれん!!ほんとに怒りますよ!?!?」


「そ――」


「レオニアも答えないでください!!!!!」


 な、なにを!な、な、な、


「えー??ちなみに私はえっちなことにちょっとばかりの興味があるよ!ゆきぴょんはどう?」


「な、な、な、な、」


「ゆきぴょんって達観してるようで意外にお子ちゃまだよねー。『私の仕事は強い子供を産むことですわ』とか言ってたのに、これじゃ先が思いやられるよまったく。女の子だってそういうことに興味があっていいんだよ?うちのメイドちゃん達だって最近はその手の話題で大盛り上がりしてるし!『1にお菓子で2が洋服、3.4なくて5にえっち』くらいが丁度いい女の子ってもんよ!」


「す、少なくとも男性がいないところでするべき話です!!」


「レオにゃんなんだから今更でしょ。むしろ私はレオにゃんはゆきぴょんと同じくらいお子ちゃまだから一緒に話すべきだと思うよ。私がいないと2人とも一生進まないじゃーん!あ、でも安心して!いない方が良さそうなタイミングになったら風のように消えるから」


「大きなお世話です!!!」


「ねぇ知ってるー?ゆきぴょんて前のおしりに小さいほくろが2つあるんだよ?」


「!!!?!??」


「ま、前のお尻…?」


「レオニア!耳を塞ぎなさい!!!」


「ゆきぴょんは生えてないからよく見えるのよ」


「カレンっ!!!!!!!!!!」


「きゃーーにげろーーーー!」



 ほ、本当に風のように消えました!!


 あの子はほんとに!ほんっっっとに!!!!









「ばかーーーーーっ!!!!!!!」



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