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風を感じるために生まれた  作者: 新井 逢心 (あらい あいみ)
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ペイフォワード㉘

それが言いたかった事なのだろう。西崎が満足そうに微笑んだ。


「川東のワンボックスカーがフェリーに乗船した時間が分かっています。風真君が証言してくれた時間とだいたい一致しています。二時間前の情報によると彼は自宅にはいないとの事です。

二神弁護士の見解は、川東がどこの誰と繋がっているかが明らかでない以上、深追いはリスクでしかないというのですが、」


「そうね。」「俺もそう思う。」「うん。」「その方がいいな。」

一同がそれぞれに同意を表した。


「では。そのように二神弁護士に伝えます。

それともう一つ報告がありまして、今日の午前中、二神弁護士は自転車協会の前橋会長の顧問弁護士と面談したそうです。」


「へぇ、」

伯方が身を乗り出した。


「佐倉 秀治さんと仰るのですが、その佐倉弁護士が弓削代議士の公設秘書、長井さんからの情報を伝えて来ました。」


佐倉弁護士と長井を引き合わせてはどうかと提案したのは他でもない俊葵である。

かつて、どちらかに罪や咎があったわけではないにせよ、いまだにしこりのようなものがある長井と西崎が直接連絡し合わなくても済むようにとの思い付きだったのだが、つい先ほど、『大物政治家と太いパイプができた』と佐倉本人からお礼の電話が入り、苦笑していたところだ。


「弓削代議士は、懇意にしている警察官僚や法務官僚と接触した模様でして、結論から言いますと、警察は今回のスペインの爆発事件に関してはいまだ動いていないとの事ですが、公安調査庁内にはわずかに動きが見られるようです。」


「警察庁は動いてなくて、公安調査庁が動いている...」

俊葵は呟いた。

「インターポールか、」


「ええ。恐らく、畠山君の動向に関してインターポールから打診があったのでしょう。」


「では、容疑が掛けられている訳ではないのか...」


「そうとも言えますし、そうでないとも言えます。インターポールが日本国内に繋がりを付けるのは、公安調査庁内部部局調査第二部ですが、第一部局の局員も県内に入っているとか、」


「第一...そいつは何を調べるところだ?」

と伯方。


「カルト宗教。極右翼、極左翼、テロ組織等の国内のセクト化した団体ですね。もちろん。今回とは別件で県内入りしている可能性はあります。」


「テロ...」

風真の顔から血の気が失せている。


「別件じゃない理由、何か掴んでるからそう言ってるんですよね?」

南雲だ。


西崎は頷いた。

「内部局は、東京の本庁舎にありますが、公安調査庁には地方組織もあるんです。全国に八か所。ですが県内にはありません。通常隣県にある支部が県内を管轄していますが、今回は第一部局の局員が直接入ってます。」


「そう言や、港の誰かが言ってたな。都会のシュッとした一見優男ってな。」

と、伯方。


「人員が足りなくて東京から応援に来たとかそういうんじゃない感じ?」

と、涼風。


「ええ。違いますね。私は内部部局の仕事がどういうのかは正確には知らないのですが、第一と第二の業務内容から考えるに、この二つが協力体制をとる事はほとんどないんじゃないかと、」


「国内対策と海外対策だもんな。インターポール様から打診が来るのが第二部で、片や第一部は第一って看板背負ってるってのに、第二の手足のように動くをよしとするとは到底思えねぇな。」

伯方は自分で言って自分に返事をするようにコクコク頷いている。


「そうですね。派閥争いのような性格は確かにあると思いますが、もっと俯瞰で見ると、同じ派閥争いもまた、違って見えてくるんですよ。」


俯瞰ふかん?」

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