魔物の強化にあたって(軌道修正)
うーむおかしい、更新頻度があがらない。
『ヘルプ』さんがあんなこと言うから脳内キャパがオーバーしてゴーホームしようとしたらユキムラにドクターストップ食らった。
因みにユキムラはドクターではない。
「そうそう、実験だったな。勿論忘れてなんか無いさ、俺がユキムラのことを忘れる訳が無いだろ? ユキムラを試したのさ」
などと宣ってみる。
「やはりそうで御座いましたか! いやはや、主の考えを理解するのはこの某程度には無理と言うのが口惜しいですぞ!」
チョロい。
なんて事を思いつつ本題に入るとしよう。忘れてなんか無い。
ダンジョン強化の重要なファクターである3つ目の魔物の強化だが、俺の持っている権限の『スキル付与』を使おうと思っている。
これはDPを消費してスキルを覚えるために必要な魔導書を交換し、それを配下の魔物に付与する事が出来るとか。
「これって普通じゃないか?」
そもそもスキルを覚えるためには魔導書が必要だがその魔導書を読む訳でもないし暗記しなければいけない訳でもない、ただ魔力を流すだけでスキルは覚えられる訳で権限が有っても無くても何も変わらないと思うんだが。
何かのミスか?
「なぁユキムラ、お前達はスキルって覚えてるか?」
「スキルですかな? はい、魔物にはそれぞれ種族ごとに固有のスキルをもっております」
「種族ごとに?」
「はい、そうですが……」
「ユキムラにしかないスキルって無いのか?」
「はっはっは、そんなものはありませんぞ主よ、そんな芸当が可能なのは人間だけでございまする」
ん? 人間だけ?
……ヘルプ
魔物について詳しく。
『解、魔物とは大きく解釈するなら体内に魔力を保有する生物の総称であり強い個体ほど保有する魔力量も高い』
魔物の固有スキルって?
『解、魔物が種族ごとに備わるスキルであり、一種の特徴とも言うべき能力。スライムならば【捕食】【伸縮】などが上げられる』
なるほど持っているスキルは種族によって違うが同じ種族なら所持しているスキルは同じと言うことか……スライムってそんな能力持ってたんだ。知らなかったなぁ。
種族ごとにってことは個別にスキルが発生することは無いのか?
『解、魔物には種族としてのスキル以外のスキルを自力で覚える事は出来ません。進化などをしても種族スキルの範疇に収まり、逸脱したスキルが芽生えることはありません』
つまりスライムはどんなに頑張っても【捕食】とか【伸縮】等のスキルしか覚える事が出来ないってことか。
あれ? でもサスケやサイゾウは早いし隠密も出来てるけどあれはスキルじゃないのか?
『解、見よう見まねの模造品に過ぎません。本来のスキルと比べれば驚異的ではありますがそれでも本来のスキル名【隠密】等には遠く及びません』
ヘルプ口が悪くない?
それはともかく、サスケやサイゾウのやってた事はパクりと言うかただの真似事だったわけだな。
あれ、じゃあなんで他の奴らは出来ないんだ?
『解、個体差です』
個体差かぁ、そうだよな世の中得意不得意なんて当たり前にあるもんなぁ、人間でも有るんだし魔物に有っても可笑しくはないか。
とまあ、色々ヘルプに聞いてみて分かったことは魔物は人間の様に後付けでスキルを覚える事が出来ず、種族スキルも伸びはするがあくまでも延長線上になると言うわけらしい。
「うん、ぶっ壊れ権限だな」
何せ配下であれば種族スキル以外のスキルを覚えさせる事が出来ると言うことだ。DPを消費して魔導書と交換する必要は出てくるがそれは謂わば先行投資、ユキムラ達の戦闘能力の向上を考えれば後々必ずプラスの収支になる。
冒険者達にとって魔物の情報と言うのは間違いなく価千金だ、種族スキルの情報を知っておけばその対策としてアイテムや装備などを揃えて戦闘を着実に有利に進める事が出来るのだから。
だがこのスキル付与があればその情報の価値は道端に落ちたガムほどに価値のない物になるはず。そして所謂初見殺しを見事に成し遂げる事が出来るわけだ。
俺は罠として第1層からの初見殺しは控えてはいるが何れは作られるであろうボス部屋、そこに配置する魔物には必ず初見殺しをさせようとは考えている。
だって仲間死ぬのとか嫌じゃん。
そんなこと言っていたら俺のダンジョンの難易度って大分ガバガバじゃね? とか思ったがそんなものは後々修正して行けば良いだろう。大事なのはまずはやってみることだ。成功の秘訣って山田が言ってた。
「主、先程から何やら考え事をしている様ですが……」
しまった、ユキムラの事をすっかり忘れていた。
「そうだな、ユキムラはどんなスキルが欲しいとかあるか?」
「む、某が考えても宜しいのですか!?」
「あぁ、ユキムラの力になるんだ。合わないスキルなんて勿体無いからな」
DP的に。
「うーむ、しかし某はスキルの名前と言うのは知識に御座いませぬゆえ……どうしたものか」
「そう言えばそうだな。じゃあ、こんな事が出来れば良いとかで考えてみたらどうだ? やりたいことを明確にするんだ。そしたら俺がその系統のスキルを出そう」
我ながら良い提案だと思う。
これなら無駄な消費もないだろうし、何よりユキムラに合ったスキルが選ばれる事は戦力アップの上で非常に重要だろう。
近距離戦闘が得意な者に遠距離用の能力があっても宝の持ち腐れだし、何よりユキムラや十勇士は個性がバラバラだから長所を伸ばす方が強いと思うし。
殺られる前に殺れってな。
「うーむ」
まだ迷っている様だ。
何か気がかりでもあるのだろうか。
「ユキムラの得意な戦い方はあるか?」
「某のですかな? とは言っても某達スライムは基本的に攻撃パターンとやらは似たり寄ったりですからなぁ。なかなかこれだと言うものは……」
ユキムラの言う通り、スライムの基本的な動きは撹乱からの体当たりがセオリーであり、それ以外の動きと言うのは出ない。
ミストやウノーサノーは人の形をしているのでやはり動きとしては最適だろうしやれる幅が広いとは思うな。
今はスライム達にあった能力を見つけるのが先決だな。
「うーん攻撃の多様性を増やした方が良いかもな」
「多様性ですかな?」
「そう、例えば武器を持ってみるとか意外性が有って良くないか?」
「ふむ……なるほど、確かに某達は体当たりのみで戦いますし一歩間違えれば負傷の危険性もありますな」
どこか遠い目をする(多分)ユキムラ、おそらく良く戦ってるミストに実体験が有るのかもしれない。
「それにホブゴブリンやオーク達も素手より武器を持った方が行動に迷いが少ないと某も思いますぞ」
行動に迷いがない、それは戦いにおいては結構厄介だったりする。何故なら自分でこれだと言う行動はある程度決まっていればあとは体を動かすだけで、無駄な思考はせず目の前に集中することが出来るからだ。
例えば剣ならば切る、突く、受け流すなど色々と派生はするものの根本的にはやることは制限されている。だが、それは選択が早くもなるわけで回答もシンプルに出せるだろう。
一方、自由すぎると相手が何をしてきてもその対処を考えすぎて1度思考に入ってしまうので、数瞬の遅れが生じてしまい1歩間違えれば形勢が一気に悪くなるだろう。
行動が自由なのは良いがある程度は縛っていた方が戦いにおいて不利に回ることは無いだろう。
「ユキムラはどんな武器が欲しい?」
「某、ミスト殿との戦闘で思ったことがあるのですが距離が近すぎるとしっくり来ないのです」
「なるほど……ユキムラは中距離が強いのかも知れないな」
中距離武器と言えば斧、ハルバードに槍とかだろうか?
「槍一択だな」
「主?」
いや、ほらロマンじゃん。
◇◇◇
なんてこった、槍って意外と長いのな。
「うぐぐ、持ちにくいですぞ……!」
スライムの大きさは両手で抱えられる位のもので、普通に人間よりも長い槍を持つのは真ん中を持ったところで取り回し辛いのは目に見えて分かりました。おい、石突き引きずってるからちょっと置きなさい。
「長いなら短くすれば良いじゃない」
取り出しますわお手頃DPで手に入れたNOKOGIRIで真ん中当たりからギコギコと……あ、やべ重心がおかしくなった。
「よし、これでどうよ」
「これは……良いものですぞ!」
結構短くなったがスライムサイズに有った槍を完成させることが出来た。なんか可愛いぞ。
これで武器は完成したし、槍にはユキムラが慣れてくれれば良いだろう。あとは槍に関連するスキルをちょちょいと選んでいこう。
「主に任せれば万事解決ですぞ!」
などと煽てられ、俺はスキル選びでユキムラは槍の取り回しを練習している。
スキルには幾つか種類がある。
まずは修得するだけで常時その力を発揮できるパッシブスキル。
それと任意で発動することが出来る普通のスキルだ。
他にもあるが大まかにはこの二つが基本だ。
そんな訳でユキムラにはパッシブスキルである【槍術】と……げ、【武器軽量化】とかあるのかよ骨折り損じゃん。
その事をユキムラに相談してみる。
「長いと軽くても引き摺ってしまいますからな、充分ですぞ!」
と言われた、エエ子やで。
そんな訳でユキムラに色々とスキルをつけてみた。
名前:ユキムラ
スキル:【槍術】【付与:火】【気迫】【根性】
【槍術】
槍の扱いに長ける。その技は先日までの腕前が嘘のよう、まるで達人の如く。
【付与:火】
武器、または自分自身に火属性を付与することにより攻撃力が増す。
【気迫】
気合いの一喝により己を鼓舞する。周囲にも伝播する。
【根性】
その負けん気は下克上をも容易く行う。気持ちで負けぬものは敗北など呼ばないのだ。
結構抽象的な説明もあるがこれはどういうことなのだろうか……見えない力とかそんな感じか? でもユキムラに合ってそうなので良いかなと言う感じで付けた。
「ほほぅ! 先程とはうって変わり槍が使いやすいですぞ主!」
「へぇ、そんなに変わるものなんだな……付けて良かった」
うんうん、満足しているようだし一応は成功か。
魔物が普通は覚える事が不可能なスキルをあっさりと付与出来ちゃうあたり、壊れた権限だよ全く。
最初使えなさそうなんて思ってゴメンね?
「では早速他の奴らに自慢してきますぞ!」
「え、あ、うん。分かった」
矢継ぎ早に言葉を残してあっと言う間に去っていった……そんなに嬉しいのだろうか。
「おーい、ダブル族長。生きてるか?」
「な、なんとか……な」
「強すぎるでごわすよ……」
あらま、随分と泥だらけだこと。
ユキムラめ手加減を知らないな?
「今日の所は休んだ方が良いな、あとで差し入れでも持ってくるよ」
「感謝するぜマスター」
「正直動けないでごわすけど……」
それから族長達が動けるようになるまで話し相手になりつつ時間を潰して、回復してきた所でさっさと帰した。
「さてと、俺も帰るかな」
ラビィがまたイチゴミルクを飲みすぎて腹がたぷんたぷんにならないように注意しなければ。
転移をしようとした瞬間、地響きの様な揺れが起こる。地震なんて珍しいな。あれ? どんどん近くなっているような。
後ろを振り向いてみると、砂煙を上げながら集団が押し寄せて……。
「ご主人様! あれはなんなんですか!?」
「おいおい旦那、あれはズルくないか?!」
「主様!? あのスライムをこれ以上強くしてどうするんですか?!」
「ガッハッハ! どういうことか聞かせてもらうぜ主殿?」
「ご……ご主人さん、説明お願いしますっ!」
「主君! ズルいじゃないか、あのスライム凄い有頂天なんだけど!?」
「陛下! 一体何を成されたのですか!?」
「あらあら、旦那様? 私を差し置いてあんな奴にプレゼントだなんて……どういうことかしら?」
「我が君! 今度は一体どんな神秘を!」
「ボスー、ユキムラさん調子に乗っててうるさいんだけど……」
「ひぇ……」
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