宝箱の設置にあたって
毎度毎度読んでくださりありがとうございます。
魔物化植物運用プランを開始してからかれこれ数日が経ち、2層目の森林エリアはそろそろ魔物化した木でいっぱいになりそうだ。
逆に増やしすぎた気もしないでもないが、その時はまた1つ下に階層をつくって同じことん繰り返せば良いだろう。
下に行くにつれて攻略難易度も上げるつもりなので、次はただの雑草が襲ってくると言うプランも考えていたりする。
そう言う細かいところは後々やっていくとしてまだまだダンジョンの強化を進めていこうと思う。
具体的には階層を増やしつつトラップなどを充実させる訳だが、あまりにもトラップとかだと攻略に漕ぎ着けてくる冒険者諸君は大変詰まらないと感じるだろう。
「これより、宝箱を設置していく」
「わーい……前にもやらなかった?」
「うるさい」
今でも一度も開けられていない宝箱が迷宮エリアで眠っているが迷宮エリアだけでその中身も渋ければと今までの苦労は何だったのかとなる。
難易度の高い場所を攻略すればそれに応じたレアなお宝を渡すのは義務だと俺は思う。
不釣り合いな報酬なんて出したら2度と来てくれないだろうし、大事だぞ報酬。経営者の当たり前の義務である。
てな訳で、色々と宝箱なんかを設置していくわけだが……。
「森ってどう隠すべきだろうな」
迷宮エリアなんかはすぐに出来た。
例えば行き止まりと思わせておいて押せば普通に開く隠し扉の中にだったり、本当にただの行き止まりにこれ見よがしに宝箱を置いたりしてそれはもう楽しくやらせてもらった。
ただ森だ。森は無理だろう。
考えてもみてほしいが、草や木などの植物が鬱蒼と生い茂っている一見普通の森林にポツンと置かれている宝箱。
見るからに怪しいとは思わんかね?
胡散臭い上にこの宝箱の中身が外れとかではなくごく普通のアイテムなんかが入っていたとしても開けたくはない。
開ける奴も居るだろうけどそんなものは恐らくだが成り立てホヤホヤの冒険者君に違いない(偏見)。
逆にベテランで開けるならそれはそれで呆れると言うのもある。
「なんだかなぁ……景観を損ねると言うのは気が進まないんだよなぁ」
マスタールームのモニターでダンジョンの構造と設置する物の位置を色々と弄りながら思わず呟く。
「うんうん、やっぱり見た目って大事だもんね。クロトの頑張りが私の見た目になるんだからちゃんと考えてよ」
「見た目って言うか中身じゃね?」
隣で一緒にモニターを眺めているラビィが呟く。ダンジョンの見た目は外から見た場合だと思うんだ。言うなれば階層とかエリアなんかはそのダンジョンの臓器と言うか性格と言うかそう言う例えになると思う。
ふんふん、宝箱とかに入っている道具や武器などのアイテム類は謂わばダンジョンからの恵みと考えることもできる。
恵みはまぁそのまま言えば恩恵みたいなものと一緒だし、海からの恵みは塩とか魚介類などの水棲生物などの海の幸。
山の恵みならば渓流の魚や山菜、キノコとタケノコなどの山の幸が上げられる。
つまり何が言いたいかと言うとそう言う風情に合った様にアイテムをドロップさせたいのだ。
だってその方が面白いと思わない? 確かにダンジョンの作りは大事だ。ぶっちゃけ俺の命であるダンジョンコアを破壊されれば死ぬのだからその防衛装置である階層や罠は謂わば俺の命を外敵から守るプロテクターであり防弾チョッキ的な奴と同義だ。
死ぬのは嫌だが詰まらないのはもっと嫌な俺は驚くようなギミックを備えたダンジョンを作りたい。
俺が死ねばミストや他のアンデットモンスター、ホブゴブリンやオークなどのダンジョンの直接的な配下にしていない奴らは死なないとは思うがユキムラや十勇士達はどうなるのだろうか……たぶんラビィに関しては俺と消えそうだな。
おっと変なことを考え出してしまったな、ダンジョンダンジョン。
簡単に言ってしまえば詰まらないダンジョンを作って死ぬくらいなら攻略に来た奴らが一生忘れられないような記憶を植え付けるダンジョンにして散りたいのだ、だから内装はとことん拘る。
勿論、ただで死ぬつもりは全くないので本気でヤバかったらなりふり構わず殺るつもりです。
「あ、そうか森か」
「え、何が?」
ラビィの質問には答えずにモニターを弄っていく。まずは宝箱の種類を見ていく……あった!
ダンジョンの宝箱は見た目が数種類程あり、通常の宝箱からキラキラ無駄に輝いている宝、虫でも住んでんじゃねぇのこれ? と思わず言ってしまうような気持ちの悪い見た目の宝箱、それから貝殻の様な開けば真珠が中に入っていそうな宝箱など、その種類はかなり豊富だ。
そして驚くべきはその性能だ。
通常の宝箱の時点で一切の攻撃を受け付けることは無かった。
DPで出した『ただの剣』が速攻でポッキリ折れたときは思わず顔がひきつったし、その腹いせにミストに協力してもらい破壊してみようと思ったが新品同様にピカピカしやがったのでミストと地団駄を踏んだものだ。
防御面に優れていると言うのは理解できたが本質はもっと別だ。
クソみたいに取得DPの高い最上位よりも上の王級スキルである空間魔法。
その一部であり一角に過ぎないが収納魔法と言うものがあるのだが、この宝箱一つ一つにそれが付与されていると言うバグ機能が付いている。
とは言っても中に入れることの出来る物は1つだけと限定的だがその代わり重量制限も大きさの制限も無いわけで、普通の冒険者がそれを知れば間違いなく欲しがる類いの物であることは確実だ。
まぁそれは盗まれる心配は無い。
何故なら宝箱はダンジョンから持ち出せない仕様になっているし、こちらが設置すれば俺以外の第3者は動かす事が出来ないし移動すらも出来ないのだ。これで安全は確保されたも同然だ。
そんなぶっ壊れ宝箱さんで何をしようかと言うと、その形状を自由に選べると言う点を利用する。
貝殻の様な形があるのだとしたら必然的に……。
「じゃーん、木の実型宝箱だ!」
「それをどうするの?」
「察しの悪いやつだな」
「急に罵倒するの止めない!?」
これを大量に作ってと……中身を入れていく。
「ただの剣」「普通の盾」「見た目だけ鎧」等々、様々な物を仕込む。その数およそ30にも昇る。
そんな数を1つの層に置けば確実に乱獲されるがそこは心配いらない。
ちゃんとダミーで普通の果物も設置していき、見分けは一切付かなくする。
こうすることで簡単には見つけられないし、乱獲の心配はないと考えたい。バレたら赤字だ。
「これは我ながら素晴らしい作戦だと思うな……ふふふ」
そこからは順調に木に宝箱とダミー木の実を設置していき、端から見れば食べれるのか分からないけど木の実が生っている程度の物だと信じたい。
「ねぇクロト」
「なんだラビィ」
「そもそも木の実の中に武器が入るって考えるかな」
「あ」
◇◇◇
さて、次は墓地エリアだ。
森林エリアはどうしたって?
ちょっとナニイッテルカワカンナイナ。
墓地エリアもその場の風景に合ったアイテムの配置をしていくつもりだ。
「えーとドクロの形をさせて……墓の横に置いておくか」
「クロト、どんな冒険者が宝箱がこれだって気がつくの?」
「……」
あ、そうだ良いことを思い付いたぞ。
えーとドクロの死体(模造品)をDPで取り出して……墓の横に置いてと、それで手に「上質な剣」を持たせる。
「見ろ、これで行き倒れの冒険者の白骨死体の出来上がりだ!」
「さらっと無視したよね今」
聞こえない、ラビィの声なんて聞こえないんだから。
この白骨死体完全に遊びだ、遊び心は大事だからな。
このアイテムは最初にここまでこれた冒険者にプレゼントだ。サービスサービス。
だってこの階層を守る奴はミストとかウノーサノーがいるのだ。
少しでも良い武器は欲しいに違いないし、そもそも倒せるとは思えないのでこの武器も後でとった冒険者から回収します。
こうして、殆どの改装に宝箱を仕込むことは出来た。階層を増やしたり、それに平行して宝箱も増やしていくがそれは順次DPが溜まり次第やっていこうと思う。
うん、こうしてみるとダンジョンも少しずつだが大きくなっていってるな。
最終的にどうなるのか楽しみだ。
「クロトこの後はどうするの?」
「そうだなぁ……こっちの戦力を確認する事にするよ」
ラビィにそう告げ、俺は村エリアへと向かう事にした。
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