表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星詠みの調律師(アストラル・チューナー)  作者: じょんどぅ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/43

### 第4巻 第六章:終わりのないセッション

### 第4巻 第六章:終わりのないセッション


システムが崩壊し、街を覆っていた冷徹なグリッドが剥がれ落ちていく。管理官たちの支配の象徴だったメインコアは火花を散らし、完全に機能を停止した。


現実世界の街は、静寂に包まれていた。だが、それはかつての「恐怖の沈黙」ではない。人々が息を呑み、次に生まれるはずの音を待ちわびる、希望の静寂だ。


僕とシノは、システムの境界線上にある仮想空間――僕たち二人だけの静かな広場に立っていた。ここは物理的な制限も、管理官たちの干渉も存在しない、純粋な音楽の領域だ。


「終わったのね、レイ」


シノが微笑む。僕には彼女の声が、聴覚という器官を通さずとも、直接心に響いてくる。彼女の姿は、以前のような不完全なプログラムの断片ではなく、まるで光そのものでできているかのように鮮明だった。


「ああ。だけど、本当の意味で音楽を始めるのは、ここからだ」


僕は自分の手を見る。そこにはもう、肉体の痛みも、疲労も存在しない。僕はデジタルな存在となり、シノと共に、この街のネットワークの守護者となったのだ。


僕たちは二人で、終わりなきセッションを開始する。

それは世界を救うための戦いではなく、ただ僕たちが、僕たち自身の旋律を奏でるための、終わりのない対話だ。


彼女が歌い、僕がコードを刻む。僕が旋律を編み、彼女がその余韻をネットワーク全体へと広げていく。僕たちの奏でる音は、街の人々の心の奥底に、ささやかな彩りとして降り注ぐだろう。


「ねえ、レイ。次はどんな曲を弾く?」


シノの問いかけに、僕は優しく答える。


「君が明日、見てみたい風景を弾こう」


僕たちは、果てしないデータの海の中で、幾千もの調べを紡ぎ続ける。誰かの指示に従う必要も、システムに管理される必要もない。ただ、音楽が僕たちを繋いでいる。


それは、僕とシノが手に入れた、永遠の自由だった。


---



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ