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淡々後漢書  作者: ンバ
第十六、寇恂伝
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東観漢記、寇恂伝後

7.

執金吾賈復在汝南,部將殺人潁川,捕得,寇恂乃戮之於市。復以為恥,過潁川,謂左右曰:「吾今見恂,必手劍之。」恂知其謀,不欲與相見。恂曰:「昔藺相如屈於廉頗者,為國也。」乃刔屬縣盛供具,一人皆兼二人之饌。恂乃出迎於道,稱疾還。賈復勒兵欲追之,而吏士皆醉,遂過去。恂遣谷崇以狀聞,上乃徵恂。恂至引見,時復先在座,欲起相避。上曰:「

8.

天下未定,兩虎安得私鬥?今日朕分之。」於是受賜,極歡宴,遂同載車出,相與結厚。


(訳)

執金吾の賈復かふく汝南じょなんに在った際

部将が潁川えいせんで人を殺したため

捕われ、寇恂はそこで

市に於いてこれを誅戮した。


賈復はこれを恥だと感じ、

穎川を通過した際に

左右の者に謂った。


「吾が今度寇恂に見えたなら

手ずからやつを斬り捨ててくれようぞ」


寇恂はその謀を知ると

互いに見えようとはしなかった。


寇恂は言った。


「昔、藺相如りんしょうじょ廉頗れんぱに屈したのは国家の為だ」


そこで属県に命じて供具を盛んにし、

全員に、一人につき二人の供食を兼ねさせた。


寇恂はそこで道に於いて出迎え

病疾と称して戻っていった。


賈復は兵を勒えてこれを追おうとしたが、

士卒がみな酔わされていたため

遂には過ぎ去っていった。


寇恂が谷崇を遣って状況を上聞すると

お上はかくて寇恂を徵した。


寇恂が至り、引見された時、

賈復が先んじて座に在ったため

起ち上がってお互いに避けようとした。


お上は言った。


「天下がいまだ平定されておらぬのに

両虎がどうして私闘をして

よいということがあろうか。


今日のところは朕がその仲裁をしよう」


こうして受賜すると

大いに宴を楽しみ、

結局は同乗して出てゆき

互いに厚誼を結んだ。



9.

寇恂為潁川守,郡中政理,賊不入界。


(訳)

寇恂が穎川の(太)守となると

郡中の政情はおさまり、

賊は界域に入ってこなかった。


10.

寇恂為河內太守,徵入為金吾,潁川盜賊群起。車駕南征,恂從至潁川,盜賊悉降。百姓遮道曰:「願從陛下復借寇君一年。」上乃留恂。


(訳)

寇恂は河内太守、

徵されて入朝し執金吾しつきんごとなった。


穎川で盗賊が蜂起すると

車駕は南征し、

寇恂が追従して穎川へ至ると

盗賊は悉く降伏した。


百姓が道を遮って言うよう、


「願わくば陛下より

復た寇君を一年間

お借りしとうございます」


お上はそこで寇恂を留めた。


11.

隗囂死,其將高峻擁兵據高平,帝入關,將自征之。寇恂時從。上議遣使降之,帝乃謂恂曰:「卿前止吾此舉,今為吾行也。若峻不即降,引耿弇等五營擊之。」恂奉璽書至高平,峻遣軍師皇甫文謁,辭禮不屈。恂怒,將誅文。諸將諫曰:「高峻精兵萬人,卒多強弩,西遮隴道,連年不下。今欲降之,反戮其使,無乃不可乎?」恂不應,遂斬之,遣其副歸告峻曰:「軍師無禮,已戮之矣。欲降,急降;不欲,固守。」峻惶恐,即日開城降。諸將皆賀,因曰:「敢問戮其使而降城,何也?」恂曰:「皇甫文,峻之腹心,其所計事者也。今來不屈,無心降耳。」諸將皆曰:「非所及也。」

(訳)

隗囂が死ぬと、その部将の高峻こうしゅん

兵を擁して高平こうへいに據った。


帝は入関し、親征しようとした。

寇恂はこの時従軍していた。


光武帝は使者を遣わして

これを降伏させる事について議し、

そこで寇恂に対して言った。


「卿は以前、吾のこうした挙動を諫止した。

今度は、吾の為に(降伏の使者として)

行って欲しいのだ。


もし高峻が即座に降伏せぬなら

耿弇らに五つの陣営を率いさせて

これを撃たせる」


寇恂が璽書を奉じて高平へ至ると

高峻は軍師の皇甫文を謁見に出したが、

辞礼にへり下る様子はなかった。


寇恂が怒って

皇甫文を誅殺しようとすると、

諸将が諌めて言った。


「高峻の精兵は万人であり、

強弩を多く率いて

西は隴道を遮り、年を重ねても

下す事ができていません。


今、これを投降させようと

しておりますのに、反対に

その使者を誅戮されてしまっては

(計画が)白紙になりかねませんぞ」


寇恂は応じず、とうとう

これ(皇甫文)を斬ってしまった。


その副次を帰らせ、

高峻に告げさせていわく、


「軍師が無礼であったため

已に彼は誅戮した。


降りたくば、急ぎ降るがよい。


そうでなければ、固守するがよい」


高峻は恐惶し、

即日城門を開いて降伏した。


諸将は皆慶賀したが、

その場に託けて言った。


「敢えて訊ねるが、

その使者を殺しておきながら

彼の城が降ってきたのは、何故だ?」


寇恂は言った。


「皇甫文は高峻の腹心であり

その事業を取り計らう所である。


こうしてやって来たが屈する様子がなく

降伏する腹積りなどは

なかったであろう」


諸将は皆言った。


「(我々の)及ぶ所ではない」



(註釈)

こうして比べてみると

范曄後漢書は

ブラッシュアップされて

かなりわかりやすくなってるんだなあ。


以上で寇恂伝をおわります。

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