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淡々後漢書  作者: ンバ
第十六、寇恂伝
62/102

八、藺相如と廉頗のように

8.

執金吾賈復在汝南,部將殺人於潁川,恂捕得繫獄。時尚草創,軍營犯法,率多相容,恂乃戮之於市。復以為恥,嘆。還過潁川,謂左右曰:『吾與寇恂並列將帥,而今為其所陷,大丈夫豈有懷侵怨而不決之者乎?今見恂,必手劍之!』恂知其謀,不欲與相見。谷崇曰:『崇,將也,得帶劍侍側。卒有變,足以相當。』恂曰:『不然。昔藺相如不畏秦王而屈於廉頗者,為國也。區區之趙,尚有此義,吾安可以忘之乎?』乃敕屬縣盛供具,儲酒醪,執金吾軍入界,一人皆兼二人之饌。恂乃出迎於道,稱疾而還。賈復勒兵欲追之,而使士皆醉,遂過去。恂遣谷崇以狀聞,帝乃征恂。恂至引見,時復先在坐,欲起相避。帝曰:『天下未定,兩虎安得私鬥?今日朕分之。』於是並坐極歡,遂共車同出,結友而去。


(訳)

執金吾の賈復かふく汝南じょなんに在った際

その部将が潁川えいせんで人を殺したため

寇恂は捕えて獄に繋いだ。


時はなお草創期であり、

軍営で法を犯しても

大抵多くは相容れられたが

寇恂はそこで市に於いてこれを誅戮した。


賈復はこれを恥だと感じて嘆き、

戻って穎川を通過した際に

左右の者に謂った。


「吾は寇恂とともに将帥として

並び立っていたが、

今彼に貶められる事となった。


大丈夫がどうして怨恨を抱きながら

これを決さぬ事があろうか?


今度寇恂と見えたなら、必ずや

手ずからやつを斬り捨ててくれようぞ」


寇恂はその謀を知ると

互いに見えようとはしなかった。


谷崇は言った。


わたしは将にございまして

県を帯びて側に侍従する事が可能です。

たちまちに変事が起きても

互いに当たるに足りましょう」


寇恂は言った。


「ならぬ。

昔、藺相如りんしょうじょが秦王を畏れずに

廉頗れんぱに屈したのは、国家の為だ。


區區(小さな)たる趙にすら

なおこのような義が有るのに、

吾がどうしてこの事を忘れえようか」


そこで属県に勅語して

供具を盛んにし、酒醪を準備して

執金吾(賈復)軍の界域へ立ち入り、

全員に、一人につき二人の供食を兼ねさせた。


寇恂はそこで道に於いて出迎え

病疾と称して戻っていった。


賈復は兵を勒えてこれを追おうとしたが、

士卒がみな酔わされていたため

遂には過ぎ去っていった。


寇恂が谷崇を遣って状況を上聞すると

光武帝はかくて寇恂のもとへ征った。


寇恂が至り、引見された時、

賈復が先んじて座に在ったため

起ち上がってお互いに避けようとした。


光武帝は言った。


「天下がいまだ平定されておらぬのに

両虎がどうして私闘をして

よいということがあろうか。


今日のところは朕がその仲裁をしよう」


こうして両者とも座して

大いに交歓し、

結局は同乗して出てゆき

友誼を結んで去っていった。


(註釈)

汝南郡も豫州で、穎川郡のすぐ隣。

後漢末期に袁紹、袁術、許靖なんかを輩出した。


王朝の黎明期なので

ある程度の違法は容認されていたが、

穎川で殺人を犯した賈復の部下を

寇恂は容赦なく処断しちゃう。


誇り高い賈復は

「今度会ったら寇恂殺す」

と怒り心頭。


寇恂は藺相如りんしょうじょ廉頗れんぱの故事を

引き合いに出して彼との諍いを避ける。


戦国時代の趙において

前線で体を張り続けた廉頗は

戦功なくして高い地位にあった

藺相如の事を毛嫌いしていた。


藺相如は重臣である

自身と廉頗に不和が生じれば

国家の憂患となると考え

徹底して廉頗との接触を避けた。

個人の諍いよりも

国家への忠を重んじたのだ。


これを聞いた廉頗は恥入り、

肌ぬぎになって藺相如に謝罪。

以降二人は「刎頸の交わり」を

結んだのだという。


賈復と寇恂も一触即発だったけど

話を聞いた劉秀が仲裁し、

「両虎」は和解したのであった。


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