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淡々後漢書  作者: ンバ
第十七、岑彭伝
40/102

四、朱鮪を説得する

4.

更始大將軍呂植將兵屯淇園,彭說降之,於是拜彭為刺奸大將軍,使督察眾營,授以常所持節,從平河北。光武即位,拜彭廷尉,歸德侯如故,行大將軍事。與大司馬吳漢,大司空王梁,建義大將軍朱祐,右將軍萬脩,執金吾賈復,驍騎將軍劉植,楊化將軍堅鐔,積射將軍侯進,偏將軍馮異、祭遵、王霸等,圍洛陽數月。朱鮪等堅守不肯下。帝以彭嘗為鮪校尉,令往說之。鮪在城上,彭在城下,相勞苦歡語如平生。彭因曰:『彭往者得執鞭侍從,蒙薦舉拔擢,常思有以報恩。今赤眉已得長安,更始為三王所反,皇帝受命,平定燕、趙,盡有幽、冀之地,百姓歸心,賢俊雲集,親率大兵,來攻洛陽。天下之事,逝其去矣。公雖嬰城固守,將何待乎?』鮪曰:『大司徒被害時,鮪與其謀,又諫更始無遣蕭王北伐,誠自知罪深。』彭還,具言於帝。帝曰:『夫建大事者,不忌小怨。鮪今若降,官爵可保,況誅罰乎?河水在此,吾不食言。』彭復往告鮪,鮪從城上下索曰:『必信,可乘此上。』彭趣索欲上。鮪見其誠,即許降。後五日,鮪將輕騎詣彭。顧敕諸部將曰:『堅守待我。我若不還,諸君徑將大兵上轘轅,歸郾王。』乃面縛,與彭俱詣河陽。帝即解其縛,召見之,復令彭夜送鮪歸城。明旦,悉其眾出降,拜鮪為平狄將軍,封扶溝侯。鮪,淮陽人,後為少府,傳封累代。

(訳)

更始帝の大将軍・呂植りょしょく

兵を率いて淇園きえんに駐屯すると、

岑彭は彼に降伏するように説いた。


こうして岑彭は拝されて刺奸しかん大将軍となり、

各幕営の督察を担当、

常に節を持する権限を与えられ、

河北平定に従軍した。


光武帝は即位すると岑彭を廷尉ていいに拝し、

帰徳侯の爵位は従来通りとして、

大将軍の事業を兼任させた。


大司馬の呉漢ごかん・大司空の王梁おうりょう

建義大将軍の朱祜しゅこ(朱祐)・右将軍の万修ばんしゅう

執金吾の賈復かふく・驍騎将軍の劉植りゅうしょく

楊化大将軍の堅鐔けんたん・積射将軍の侯進こうしん

偏将軍の馮異ふうい祭遵さいじゅん王覇おうはらとともに

洛陽を囲む事が数ヶ月に及んだが、

朱鮪らは固く守って下る事を肯んじなかった。


光武帝は、岑彭が嘗ては

朱鮪の校尉であった事から、

その説得に赴かせた。


朱鮪は城の上、岑彭は城の下にあって

互いの労苦について慨歎し、

平生の如くに語り合った。

岑彭はそこで述べた。


「彭は嘗て、常に御恩に

報いることを考えておりました。


今、赤眉がすでに長安を得て

更始帝は三王に反かれる所となり、

皇帝(劉秀)は命を受けられて

燕・趙を平定され、

幽州・冀州の地盡くを有し、

百姓は心を寄せ、賢人・俊傑が

雲霞の如くに集結し、おん自ら

大兵を率いて洛陽を攻められたのです。


天下の大事は

そちらから遠ざかっておりますぞ。

公は城に立て籠もり固く守っておいでですが、

何を期待されておるのですか?」


朱鮪は言った。


「大司徒(劉縯)が害に遭ったとき、

鮪はその謀略に与してしまっている。


更には、更始帝に

蕭王しょうおう(劉秀)を北伐に

派遣せぬよう諌めているのだぞ。


まこと、罪の深さについては自覚している

(だからこそ、降れない)」


岑彭は帰還し、具に光武帝に告げた。


光武帝が言うよう、


「そもそも大事を立てる者というのは

小さな怨恨を忌むことはせぬ。

朱鮪が今もし降ってくれれば、

官爵を保証しようと考えているのに

どうして誅罰など致そう?


河水はここに在り(黄河の流れに誓って?)

吾は言葉を違えたりしない」


岑彭が再び向かって朱鮪に次第を告げると、

朱鮪は城の上からなわを垂らしてこう言った。


「私を信じ切れるなら、

この索を上ってこれるだろう?」


岑彭はすぐに索に上ろうとし、

朱鮪は岑彭の誠心を目の当たりにすると

即座に降伏してきた。


五日後、朱鮪は軽騎にて

岑彭のもとを詣でようと考え、

諸将を顧みて勅語した。


「堅守して我を待っておれ。

我がもし帰ってこなかったら、

諸君らはすぐに大兵を率いて軒轅へ上り

えん王に身を寄せるように」


かくて朱鮪は面縛し、

岑彭とともに河陽かようへ向かった。


光武帝は即座に朱鮪の縄を解いてやり、

召し出して彼と見え、再度岑彭に命を下して

夜に朱鮪を送らせ、城へと帰した。


明朝にはその衆人の盡くが城を出て降伏し、

朱鮪は拝されて平狄へいてき将軍となり、

扶溝ふこう侯に封じられた。


朱鮪は淮陽わいようの人で、後に小府しょうふとなり、

封爵は代を累ねて伝えられた。


(註釈)


呉漢ごかん王梁おうりょう朱祜しゅこ(朱祐)・万修ばんしゅう

賈復かふく劉植りゅうしょく堅鐔けんたん侯進こうしん馮異ふうい

祭遵さいじゅん王覇おうは、そして岑彭と、

光武帝配下のオールスターみたいな面子で

洛陽攻撃に臨みます。


が、朱鮪しゅいも一廉の将、

そう簡単には落ちません。


また、朱鮪には

伯升兄貴を謀殺した負い目があり、

劉秀を排除するように暗躍していた事から

降伏しても100%殺されると考えており

とにかく徹底抗戦の道を

選ばざるを得なかったのです。


光武帝はそこで、もと

上司と部下の間柄であった

岑彭を朱鮪の説得に向かわせました。



岑彭

朱鮪しゅいどの、降伏してくれよ。

もと上司のあんたとは

やり合いたくないんだ」



朱鮪

「……………………」



岑彭

「更始帝は既に諸侯から背かれ、

天命はそちらから遠ざかっているぜ。

洛陽を固守したとて詮無いだろう?」



朱鮪

「それは出来ない相談だ。

そもそも俺は、更始帝に何度も何度も

蕭王(劉秀)を消すように進言してるんだぞ。


それに……俺は

蕭王にとっては兄の仇でもある。

赦されるわけがない……。

帰って、その旨を蕭王に伝えろ」


……………………



岑彭

「と、朱鮪は申しております」



劉秀

「そうか……。

大事を立てる者というのは

小さな怨恨に固執せぬもの。


今降伏してくれれば官職は保証するし、

兄上の事ならば、罪には問わないと

改めて朱鮪に伝えてくれないか」


…………………


岑彭

「との、陛下からのお達しだ。

朱鮪どの、どうか降ってほしい」



朱鮪

「くっ……………。

信じられるか、そんな事!」



岑彭

「朱鮪どの、男に二言はないぜ。

どうか俺の事を、信じてくれ」



朱鮪

「……ならば岑彭、

このはしごを登ってこれるか?


俺のことを信じ切れるなら、

登ってこれるはずだ」


(登れるわけがねぇ!

罠とわかっていて登れるわけが……)



岑彭

「おうとも」



朱鮪

「……………!!」



1秒たりとも迷わないとか

かっこよすぎかよ…………!

さすがの朱鮪もここまでされたら

観念するしかありません。

岑彭の態度を見て、

即座に降伏を選びました。


伯升兄貴が義によって岑彭を赦し、

その岑彭が、また義によって

仇敵の朱鮪を降伏させるのが

最高にエモいこの場面、

もっと広まって欲しいです。


公約通り、朱鮪は

光武帝の兄の仇でありながら

爵位に封じられ、その血脈は

後代へと伝えられました。


朱鮪の身のみでなく

心まで屈服させた

劉秀と岑彭の完全勝利です。


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