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淡々後漢書  作者: ンバ
第十七、岑彭伝
38/102

一・二、信義の男/得難き義人

雲台28将、6位の岑彭です。

1.

岑彭字君然,南陽棘陽人也。王莽時,守本縣長。漢兵起,攻拔棘陽,彭將家屬奔前隊大夫甄阜。阜怒彭不能固守,拘彭母妻,令效功自襯。彭將賓客戰鬥甚力。及甄阜死,彭被創,亡歸宛,與前隊貳嚴說共城守。漢兵攻之數月,城中糧盡,人相食,彭乃與說舉城降。

(訳)

岑彭しんほうは字を君然くんぜん南陽なんよう棘陽(きょくよう)県の人である。


王莽おうもうの時代、

本県の長を代行した。


漢が挙兵して棘陽を攻伐すると

岑彭は家属を率いて

前隊大夫の甄阜しんふのもとへ奔った。


甄阜は岑彭が

棘陽を固守出来なかった事に怒り、

岑彭の母や妻を拘束して

自ずから功を為すように仕向けた。


岑彭は賓客を率いて大いに力戦した。


甄阜の戦死に及んで岑彭は創を被り、

逃亡して宛へと帰還、

※前隊の副官である

厳説げんせつと共に城を守った。


( ※前隊(甄阜)にそむく者を

頑として説き、共に城を守った?)


漢兵が宛を攻めて数ヶ月で

城中の食糧が尽きてしまい

人々は互いに喰らいあった。

岑彭はそこで城を挙げての降伏を説いた。


(註釈)

岑彭しんほう、はじめは劉秀の敵として登場します。


ホームの棘陽きょくようの長官でしたが

南陽の反乱軍が攻め寄せてくると

家族を連れて避難。


上司の甄阜しんふ

岑彭が棘陽を放棄して逃げた事に怒り、

彼の家族を捕えて発奮を促します。


こうして背水の陣で臨んだ次の戦が、

劉秀が姉や兄を失うことになる

小長安の戦でした。

霧の中で視界が悪く、反乱軍側は

前後の連携が上手く取れてなかった模様。

劉秀のキャリアには珍しいボロ負けでした。


反乱軍によって甄阜が討ち取られると

岑彭たちはえんへと逃げ、抵抗を続けます。

厄介な上司がいなくなったから

さっさと敵に寝返るという考えは

持っていなかったのです。


劉秀の兄、劉縯りゅうえんと更始帝ら

反乱軍の首魁グループが宛の攻略に現れ、

食糧が尽きてしまった岑彭は

降伏を申し入れました。


同時期、劉秀は昆陽こんよう

43万VS8千の不利を覆して勝っています。


2.

諸將欲誅之,大司徒伯升曰:『彭,郡之大吏,執心堅守,是其節也。今舉大事,當表義士,不如封之,以勸其後。』更始乃封彭為歸德侯,令屬伯升。及伯升遇害,彭復為大司馬朱鮪校尉,從鮪擊王莽楊州牧李聖,殺之,定淮陽城。鮪薦彭為淮陽都尉。更始遣立威王張卬與將軍徭偉鎮淮陽。偉反,擊走卬。彭引兵攻偉,破之。遷潁川太守。

(訳)

諸将が岑彭を誅殺しようとすると

大司徒の劉縯りゅうえんが言った。


岑彭しんほうは郡の大吏であり

堅く守る事に執心していたが、

これは彼の節義というものだろう。


今、大事を挙げたからには

義人を表彰するべきであって、

彼を封侯する事で、その後続にも

(帰順を)勧めるに越した事はあるまい」


更始帝はそこで岑彭を帰徳きとく侯に封じて

劉縯に配属させた。


劉縯が殺害されるに及んで

今度は大司馬の朱鮪しゅいの校尉となり、

朱鮪が王莽側の揚州刺史・李聖りせい

攻撃した際に従軍し、

これを殺して淮陽わいよう城を平定。

朱鮪は岑彭を淮陽都尉に推薦した。


更始帝が威王の張卬ちょうごう

将軍の徭偉よういを淮陽の鎮守に差し向けると、

徭偉が反き、張卬を攻撃して敗走させた。


岑彭は兵を引き連れて徭偉を攻め、

これを破った。

潁川えいせん太守に遷った。


(註釈)

宛の攻防戦、

岑彭は力一杯戦ってから降伏しました。


諸将は岑彭を処刑しようとしますが、

劉秀の兄、劉縯りゅうえん(あざなは伯升はくしょう)は

固く守り続けた岑彭を立派であるとして

彼を釈放してやりました。


伯升兄からみると、

岑彭は、姉と弟の

仇みたいなものなんですが

ここは度量を見せました。


新王朝のために力戦した岑彭を

褒賞することで、これから戦う官軍相手にも

帰順を促しやすくするという

狙いもあったようです。


岑彭は大変に感じ入り、

この日の恩をいつか返す事を

誓ったのですが、その伯升兄貴は

更始帝と朱鮪しゅいに危険視され

謀殺されてしまうのでした。


劉縯→朱鮪と配属先が変更され、

しばらくは更始帝の配下として活躍。


やがて、劉秀と会見の機会を得てから

岑彭の運命が変わり始めます。

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