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淡々後漢書  作者: ンバ
第十五、李通伝
2/102

一、南陽の富家

1.

李通,字次元,南陽宛人也。世以貸殖著姓。父守,身長九尺,容貌絕異,為人嚴毅,居家如官廷。初事劉歆,好星曆讖記,為王莽宗卿師。通亦為五威將軍從事,出補巫丞,有能名。莽未,百姓愁怨,通素聞守說讖云『劉氏復興,李氏為輔』,私常懷之。且居家富逸,為閭里雄,以此不樂為吏,乃自免歸。


(訳)

李通りつうは字を次元じげん南陽なんよう郡の宛の人である。


李氏は世世財産を殖やして著名であった。

父の李守りしゅは身長九尺、

容貌は極めて立派であり、

人となりは剛毅で

家宅は官廷の如くであった。

(在宅時も宮廷にあるかのように

厳粛だった、かも)


当初は劉歆りゅうきんに事えていたが

星歴による讖記(星占い、予言)を好み

王莽の宗卿師そうけいすいとなった。


李通は一方で五威将軍従事となり、

転出して巫の丞に補され

よく名を知られた。


王莽の末年、

(政治の混乱から)

百姓は憂愁・怨嗟していた。


李通は素より父の李守から


「劉氏が再び興り、李氏が補佐を為す」


という讖記について聞かされており、

常にこの予言を胸中に抱いていた。


かつ、李通の実家の財産は潤沢で

閭里(郷土)の雄であったので、

(新王朝の)

吏人として甘んじてはおれぬと考え、

そこで自ら退職し、帰郷した。



(註釈)


李通登場。


字が「次元じげん」なので

脳内イメージが

モンキーパンチ先生の作画に……。



時は西暦22年ごろ。

前漢王朝が、外戚の王莽おうもうに乗っ取られて

滅んでから十数年が

経過した時期に当たります。


200年の歴史を誇る漢に代わった

王莽の「新」王朝ですが……

周王朝の典範に則ろうとして

現実を無視した政策を

多く執り行ったために民心を失い、

赤眉せきび」と呼ばれる農民集団の

大規模な反乱などが起きています。

結局その命脈は15年で尽きてしまいました。


当時は、「讖緯しんい」と呼ばれる

予言が流行っておりまして、

王莽も光武帝もこれを即位の口実に

利用しております。


李通もまた、親父殿から

「劉氏が復興し、李氏が補佐する」

という予言について聞かされており、

新王朝から離叛する機会を

窺っている状況にありました。


ある日劉秀は、姉婿の鄧晨とうしんとともに

図讖に詳しい

蔡少公のもとを通りかかります。


「劉秀、まさに天子となるべし!!」


という予言があり、

国師公の劉歆りゅうきんという人物が

これに準え、「劉秀」に改名していました。


「この『劉秀』というのは、

国師公の劉秀さんのことよね?」


誰かが疑問を呈したところで


「どうして僕でないとわかるんだい??」


と、劉秀がユーモアたっぷりに答えます。


その場にいた者はほぼ全員

「お前が天子になれるわけないだろ!」

と爆笑の渦に包まれますが……

本当に彼が天子になってしまうとはっ。



「富逸」は、

財産が「散逸する」と

いう意味かと思いましたが、

文脈的に、財産が「すぐれている」

という意味のが適切ですかね。

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