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淡々後漢書  作者: ンバ
第十五、鄧晨伝
18/102

二、妻子と家を失う

2.

及漢兵起,晨將賓客會棘陽。漢兵敗小長安,諸將多亡家屬,光武單馬遁走。遇女弟伯姬,與共騎而奔。前行復見元,超令上馬。元以手撝曰:『行矣,不能相救,無為兩沒也。』會追兵至,元及三女皆遇害。漢兵退保棘陽,而新野宰乃汙晨宅,焚其冢墓。宗族皆恚怒,曰:『家自富足,何故隨婦家人入湯鑊中?』最終無恨色。


(訳)

漢兵が決起するに及び

鄧晨は賓客を率いて棘陽きょくようで合流した。


漢兵は小長安にて敗れ、

諸将の多くは家属を亡くした。


光武帝は単騎で遁走するなか

妹のりゅう伯姫はくきと遇い、ともに騎乗して奔った。


前行すると、今度は

姉の劉元りゅうげんと見えた。

光武帝は進み出て

馬に乗せようとしたが

劉元は手を以てさしまねき、こう言った。


「行きなさい!

お互いを救う事はできない、

(私に構っていて)

共倒れになる事はないわ!」


ちょうど追撃の兵が至り、

劉元及び三人の娘は全員殺害された。


漢兵は退却して棘陽を保ったが、

新野の宰守(太守)はそこで

鄧晨の家宅をけがし(破壊し)、

その冢墓(お墓)を焼き払ってしまった。


宗族は皆恚怒(いど)し、言った。


「家はもとより満ち足りていたのに、

何故婦人の家族にしたがって

湯鑊とうかくの中へ入ってしまったのだ!」


(※煮えたぎる湯釜)


鄧晨は終に恨みの色を表さなかった。



(註釈)

朝廷に反乱を起こすからには

家族を家に残してくるわけにいかないので

こうして一緒に従軍していましたが、

敗戦してしまえば当然

たちまちに危険に晒されてしまいます。


小長安で敗戦を喫した劉秀は

妹の伯姫を救出し、続いて遭遇した

姉の劉元と3人の娘たちも

馬に乗せようとしますが、

6人も乗れるわけがありません。


劉元は同乗を拒否し、娘たち諸共

官軍に殺されてしまいました。


更に次兄の劉仲も殺害され、

母親まで病死するという

劉秀にとって過酷すぎる展開に。


姉婿の鄧晨も、この一戦で

嫁さんと娘を失った事になり、

家と先祖の墓まで破壊され

親族からもボロクソ言われますが

それでも劉秀達に恨み言を言いませんでした。


このあと親族の鄧奉とうほう

(主に呉漢ごかんのせいで)

劉秀に反旗を翻す事になります。

鄧晨の立場はつらい。


李通と鄧晨は、

予言を信じて家族を失ったけど、

最終的には勝ち馬に乗れた……

という点が共通しています。

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