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淡々後漢書  作者: ンバ
第十五、王常伝
13/102

四、肉袒する王常、受容する劉秀

4.

更始敗,建武二年夏,常將妻子詣洛陽,肉袒自歸。光武見常甚歡,勞之曰:『王廷尉良苦。每念往時共更艱厄,何日忘之。莫往莫來,豈違平生之言乎?』常頓首謝曰:『臣蒙大命,得以鞭策托身陛下。始遇宜秋,後會昆陽,幸賴靈武,輒成斷金。更始不量愚臣,任以南州。赤眉之難,喪心失望,以為天下復失綱紀。聞陛下即位河北,心開目明,今得見闕庭,死於遺恨。』帝笑曰:『吾與廷尉戲耳。吾見廷尉,不憂南方矣。』乃召公卿將軍以下大會,具為群臣言:『常以匹夫興義兵,明於知天命,故更始封為知命侯。與吾相遇兵中,尤相厚善。』特加賞賜,拜為左曹,封山桑侯。


(訳)

更始帝は敗れ、建武二年(26)夏に

王常は妻子を連れて洛陽を詣で、

※肉袒して帰順した。


(※肌脱ぎ、鞭で打ってくれて構わないという

心からの謝罪の意を表現したもの)


光武帝は王常と見えると甚だ歎息し、

彼を慰労して、こう言った。


「王廷尉がそこまで苦心していたとは。


往時に共に艱難を乗り越えた事を

いつも想念しているというのに、

どうしてそれを忘れたなどと言おう。


往来する事がなかったとて

どうして平生の言葉を違えようか?」


王常は頓首し、謝意を述べた。


「臣は大命を蒙り、

鞭策を以て躬らを陛下に託しました。


初めは宜秋ぎしゅうでお遇いして

後に昆陽こんように会同いたしまして

幸甚にも霊武を頼みとして

輒ち※断金を成しました。

(※金を断ち切るほどの交わり)


更始帝は臣の愚昧を量らずに

南州に任用されましたが、

赤眉せきびの難により

人心、輿望を喪失し、

天下の綱紀は再び失われてしまいました。


聞けば陛下は河北にて帝位に即かれ

心を開かれ目を明らかにされています。

今こうして闕庭(宮廷)にて見え、

遺恨に死する所存です」


光武帝は笑って言った。


「吾と廷尉は戯れるのみ。

(私と君の仲じゃないか!)


吾は廷尉に見えて

南方の憂いがなくなったよ」


そこで公卿、将軍以下を招いて

大いに会同し、具に群臣に告げた。


「王常は匹夫を以て義兵を興し、

天命を知ること明らかにして

かつて更始帝から知命侯に封じられた。


吾とは互いに兵中にて遇い

最も親善であった」


特別に賞賜を加えられて

拝されて左曹さそうとなり、山桑さんそう侯に封じられた。


(註釈)

訳全然自信ない。



昆陽こんようの戦いで大勝利を収めたあと、

劉秀が手を下すまでもなく

王莽おうもうは討ち取られ、

その首はえんまで届けられました。


肝心のボスキャラが

モブにやられちゃうというのが

どうにもしまらない展開です。


兄の劉縯は昆陽の戦いと並行して

えんを陥落させており、

劉秀・劉縯兄弟の名望は

ますます高まっていきます。


これに恐れを為した

更始帝こうしてい朱鮪しゅいは劉縯を謀殺。

劉秀は兄を討ち取られた悔しさと屈辱を

胸にしまい込み、警戒を解くために

更始帝のもとへ謝罪に向かいました。


仮痴不癲を貫いた劉秀は

やがて河北へと出向し、

地元の豪族や部将と連合して

基盤を固めていくことになります。


更始帝は長安へと移り、

次代の盟主として歓迎された……

かに思いましたが、

服装がメチャクチャだったり

奢侈に走るようになったり

疑心暗鬼に陥る等で信望を失い、

その政権はあっという間に瓦解。

一時は帰順を申し入れた赤眉せきび軍から

待遇に不満があるとして攻撃され、

更始帝は戦乱の中に命を落としました。


一方の劉秀は、河北の王郎おうろう

銅馬どうばに勝利を収めて帰還。

25年には臣下から請われて

皇帝に即位します。

このとき、31歳でした。


更始帝政権下で

南陽なんようの統治に当たっていた王常は

河北から戻ってきた劉秀に見え、

平身低頭謝ってきました。


「伯升アニキを死なせちゃってゴメン、

更始帝に寝返ったみたいでゴメン、

赤眉軍から守れなくてゴメン、

文叔さんに見えて、私はいま

慚愧で死にたくなりました」


という感じの王常に対して、


劉秀

「僕は君に見えて憂いがなくなったけどね」



この返しがすごく「らしい」です。


「どうして僕でないとわかるんだい?」や

馬援に向けての刺客と説客の話など

ジョークが好きな男です。

そして、度量が大きい!!

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