聖夜⭐︎クリスマスくるしみますだよ! 前編
「やあ、アッシはハオちゃんだよ。遂にこの日がやってきたんだよ」
── ええ、やってきました。
長き物語の先に辿り着いたのです。
さあ、魔砲少女。 お行きなさい。
「フライドチキン、メガバケツセット頂戴だよ!」
今日はクリスマス•イヴ! ハオちゃんは今夜のクリスマスパーティの為に、フライドチキン屋さんに来ていました!
「ハオちゃん、サラダも頼むのですわ!」
不摂生に一石を投じるメオちゃん。ですが、焼け石に水ですね!
一年で一番HOTなイヴェントの準備は万端です!
「今夜はチキンとピザを食べるよ。コーラも飲むよ。楽しみだよ」
なんてHOTな組み合わせ! 背徳感なんて捨ててしまえ!聖なる夜より不摂生なる夜こそ、人類に与えられた福音に他なりません!
「ハオちゃん、ウチはピザを買って来るのよね」
「じゃあ、僕は飲み物とケーキを調達して行くよ。後で黒レ騎士の家に集合だな」
コヅエちゃんとハンムラビくんのチームプレー! これが、激闘を共に乗り越えてきた強固な結束力ですね!
こうして、魔砲少女たちは黒レ騎士のアパートに転がり込みました。
「よくきたな。ところで、イヴなのにこんなむさ苦しい所でいいのか?」
黒レ騎士のアパートは築30年。歴史を感じる内装に、華やかな飾り付けが違和感を醸し出しています。
「いいんだよ! これ以上登場キャラが増えると収拾がつかなくなるんだよ!」
こうして、パーティは始まりました。
テーブル一杯のご馳走に皆の笑顔が弾けます。
しかし、黒レ騎士は一切手をつけてませんね?
ダイエット中でしょうか?
「どうしたんだ? さっきから全然食べてないじゃないか? っていうか、そのフルアーマー脱いだらどうなんだ?」
ハンムラビくんのネタ振りに対し黒レ騎士は
「ふっ、俺は食事を摂る必要がないからな。それに、この鎧は脱げないのさ」と、寂しそうに答えます。
「風呂キャン界隈なんだよ! でも、臭くないんだよ?」
「黒レ騎士さんって、不思議な存在ですわ。呪いのせいで死なない身体になったって言ってましたが、どういうことですわ?」
黒レ騎士は自分の手のひらを眺めながら言いました。
「実は俺には既に実態はない。いわば、この鎧が実態そのものなんだ」
なんて事?! ってことは黒レ騎士は幽霊?!
「…… そうか。長いあいだ呪いに囚われているんだな。白巫女を救って欲しいと言っていたが、つまりは二人で成仏したいということか」
ハンムラビくんはピザを食べる手を止めて視線を天井に向け「静かになってしまったな…」と、呟きます。
「せっかくのパーティなのよね! 暗い話はここまでにしておくのよね。 大丈夫、ウチらが全部まとめて救ってやるのよね!」
コヅエちゃんの言葉に、みんなの頬がほころびます。
そんな感動の中、場違いな声が、開け放たれた玄関から聞こえてきたのです!
『ぐへへへ。オイラはノロワ=レイル様の手先、クリスマスのノロイだぁ。ケーキが潰れてしまうノロイいで、クリスマスを阿鼻叫喚の地獄に変えてやるぜぇ?!』
──まあ! なんという事でしょう!
みんなが楽しみにしていた、聖なる夜を台無しにする輩が、いつのまにかパーティに混ざっていました!!
「なんてこったいだよ? ノロイ、表に出ろだよ!! 勝負だよ!」
外に飛び出す魔砲少女たち。しかし、そこにはケーキが潰れる呪いの他にも……。
『シングル•ヘール シングル•ヘール♪ クルシミマース♪ ♪ ククク、オラはクリスマスボッチのノロイ。リア充爆発しろぉ!!』
なんと!クリぼっちのノロイまで!
これは、『こっちは任せろ!もう一体は任せる!』的なバトルになりそうです!
『おおおおハオよ。ワシらはハンムラビとバディ変身じゃあ!』
『メオちゃん! 僕たちはコヅエちゃんとバディで行くよ!』
勾玉の髪留めと赤い首飾りが発光し、辺りを包みます。
「みんな、バディ変身だよ! 黒レ騎士はケーキを死守してほしいんだよ!!」
おさまった光の中、変身を終えた皆んなの姿は!
「アッシはプロレスラーなんだよ!」
「僕は実況解説者だね」
燃える闘魂なハオちゃんと、マイクを握りしめるハンムラビくん! マイクを使って! あ、あ。愛の告白が遂にッ!
「しません」
さてもう一方は。
「メオはユーチューバーですわ」
「コヅエは……。 ユーチューバー御用達のリングライトって! またこんなのよねぇぇぇ!!」
聖夜に相応しい変身にノロイたちは『な…なんでやねん?!』と、尻もちをつきます。アスファルトの底冷えが容赦なく彼のお尻を責め立てて、先制攻撃は成功です!
さあ、次回はハオレスラーと実況者vsケーキのノロイ。
メオチューバーとリングライトvsクリぼっちのノロイという、激闘が始まります!
お楽しみに!
── つづく。
【 ジカイ ヨコク 】
やっぱり、ハオちゃんたちを見守るのは楽しいわ。
この世界を守っていきたい。
これは紛れもなく『私』の意識。
私という存在が虚構だとしても、ハオちゃん達の物語は楽しいものにしなきゃ。




