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空飛ぶ艦隊  作者: osagi
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<ヒゲワシ>

 基地前のバス停を降り、基地の正門へ行くとチャックが衛兵と話しながら俺たちを待っていた。


 「おう、来たか」

 「いったい何なんですか?」


 ルノカが挨拶もそこそこにチャックに呼び出された理由を聞いてみるがチャックは「見ればわかる」とだけ言い、俺たち二人を率いて歩く。そして数多くある格納庫の一つに入ると、そこには小さい戦艦が中にあった。


 今まで、飛行戦艦や飛行母艦は民間の飛行船を含め一つの骨組みを原型にして作っていた。そのため外見の違いはあっても大きさの違いはなく、民間の飛行船を買い取って飛行戦艦に改造することもできたのだ。それが今目の前にあるのは飛行船が発明されたときのような小型なものであり、戦艦のような砲塔がついているのだ。


 「新しい飛行戦闘艦だそうだ。目の前にあるのが巡洋艦といって、巡洋艦の向こう側にあるもっと小さいのが駆逐艦というらしい」


 その後、レイン隊長と合流すると、今回呼ばれたのは新しく採用となった飛行戦闘艦や飛行機についての説明を受けるためだということらしい。しばらくすると整備兵から書類を渡されて細かな説明をされる。


 「簡単に申しますと―――」


 簡単に言えば巡洋艦は戦艦よりも低予算低資源で作ったものであり、駆逐艦は艦隊の防空のために作られた飛行戦闘艦ということだ。どちらも銃座や対空機銃を増やし、駆逐艦には空気中の音を聞き取ることによって敵機がどの辺にいるか探す空中聴音機というラッパのようなものを装備しているらしい。


 そして飛行戦闘艦全体の話として、今回の大規模改装や新造では防御力を向上させるために気嚢内に十字の区画を設けたのだという。四つの区画のうち一つに穴が開いたとしても気嚢全体から気体が抜けるということはなくなり、そのうえ区画を分けたのを利用して気嚢上部の対空監視所と艦橋をつなげることが出来たそうだ。また対空監視所自体が銃座にもなっていて従来の戦艦や飛行母艦も同じように改装していく予定だという。


 「次に新型飛行機、通称ラマガーについて説明させていただきます。ラマガーは、現在ニューイーグルが対飛行機戦闘、ファルコンが対艦戦闘というものを担当しているのに対して両方に対して攻撃する能力を持つようにして考えられたものであり、万能飛行機という位置づけのものになります」


 しかし、飛行戦闘艦の説明は終わったがその次からが問題だった。飛行機に至っては今までの機種は全て廃止され、新しく空戦用の7.7㎜機銃二梃と対艦爆弾を二発搭載した飛行機を空軍で統一して使うことになるという。確かラマガーというのは獲物を岩などにぶつけて食べるヒゲワシのことだったと思うが、話通りだとすると今までの戦い方とは全く違うことになるのは間違いないだろう。


 「そして今回、同調装置というもの初めて採用することになりました―――」


 装置名だけ言われても全く分からないのが俺たちである。今まで機首にある機銃はプロペラを撃ち抜かないようにプロペラ自身に金具をつけていたうえ、12.7mm機銃では威力がありすぎてそれができなかったため命中率が悪くなる翼に装備するしかなかった。しかし、この同調装置というものがあればプロペラを撃つことがないように羽と羽の間でタイミングよく弾を撃てるのだという。


 空の話では等間隔に機銃で撃たれた穴があるにもかかわらず敵のプロペラに当たったのかコクピットだけ弾が当たらなかったというのはまれにある話だ。逆を言えばこういった話は敵にもあるわけで、この装置によってそういったことが無くなる。


 新型機ラマガー、確かに四機すべてが飛行機と敵艦に対応できるということは有利だと思う。だが、俺にとっては慣れない対飛行機戦闘を行なうことになるうえ、今までの対艦攻撃の方法も変わり対艦爆弾は高度が低すぎると気嚢を貫けず、高度が高すぎると当てられないという攻撃になる。新しい攻撃法の訓練などの手間を考えると現実的なのかと疑問がわいてしまうが仕方がない、新しい機体には何とか慣れるしかないだろう。


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