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空飛ぶ艦隊  作者: osagi
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<油沼爆撃>

 共和国の油沼付近。ルノカを先頭にした制空隊がV字編隊で、そしてその後ろを爆撃隊が同じような編隊を作って飛んでいる。作戦としては前列のルノカたちが油沼上空に飛行機が飛んでいた場合にそれを撃墜し、後列の爆撃隊が油沼へ焼夷弾を投下するのだ。


 そして、俺はそんな編隊から少し距離を取って飛んでいる。攻撃は一撃離脱とし、一気に駆け抜けることになっているのだが、接近を察知されて戦闘態勢を取られた場合、俺の機体が囮になる予定なのだ。しかし、それも杞憂だったようだ。


 共和国側は、低空飛行していたにも関わらずいち早く俺たちの接近にいち早く気が付いたようだが、その後は俺のすぐ下で当たりもしない高射砲を撃ちまくっている。一番の脅威であった対空機銃は一基もなかったのだ。それにしても共和国の連中は高射砲の正しい使い方も知らないのだろうか、奴らの撃った砲弾ははるか上空で炸裂している。そのうえ、湖の水が汚染されすぎて工業製品の質も落ちていると聞いていたが、撃つどころか爆発して砲身が花のように開くものや、砲身が根元から吹っ飛ぶものすらある。


 湖が汚れたために戦争を起こし、その戦争のためにさらに湖を汚すという矛盾に気付かず、自然の声に耳を傾けないでただ汚染と破壊を行なうだけの国のみじめな姿なのだろう。

 作戦はほんの数十秒で終わった。油沼上空通り過ぎると油沼全体が炎に包まれる。きっとそのまま油沼に接している精製工場も燃えてくれるだろう。



・・・・・



 敵機の追撃に警戒しながら艦隊への帰投を急ぐ編隊は油沼から離れるにつれて高度を上げていく。真っ黒な煙が次から次へと空へと押し上げられ空を黒く染めていく様子は作戦の成功をはっきりと表している。


 しかし小高い山を越え、艦隊を目視できるところまで来た時に俺は目を疑った。本当ならば艦隊は低空で待機して飛行機との合流後に行動するはずなのだが、艦隊の周囲には民間の飛行船が三隻いて、砲撃戦行なっていたのだ。民間の飛行船を改造し、そのまま民間飛行船と偽ってだまし討ちをするなど共和国しかしない。


 煙幕で見え隠れしているため味方にどれぐらいの被害が出ているのかわからない。しかし煙の間から飛行甲板と気嚢の一番前の区画に穴が開いているのが見える。何とか持ちこたえているといったところだが急いだほうがいいだろう。


 もともと飛行戦艦は自分と同じ高度か低い高度しか攻撃できない。砲塔が艦底にあるのだから仕方ないが、普通ならば最大限まで高度を上げ、そうでないときは敵艦を発見後すぐに高度を上げる。どうやら敵地に近く隠れるために低く停泊していたのが裏目に出たようだ。


 こうなったら俺たちが対応するしかない。俺は編隊の一番後ろから一番前に出ると部隊を攻撃と護衛、周囲の警戒の三つに分けることにする。ルノカとゴリガンに偽装船への攻撃を、ジャックとスカイにはそのまま爆撃隊の護衛、ローラには俺についてくるよう命じる。


 ブウウオォォォォォォ――――――


 すると、待ってましたといわんばかりに俺の横をルノカの機体が一気に通り過ぎ、慌ててゴリガンもそのあとについていく。早い二人がどんどん編隊を引き離して上昇して攻撃しやすい位置まで上がっていくのを確認すると、俺はローラを連れて砲撃戦をしている艦隊の周りを周回するコースに入る。


 そして俺が円を四分の一描いたころ、ルノカたちは上空から一気に降下して飛行船へと銃撃を加えた。細長い気嚢に対して縦に一直線に銃撃を加えられた偽装船。ルノカの撃った一隻は爆発を起こして轟沈し、ゴリガンの撃った偽装船は気嚢を突き破っただけで銃撃を受けた後部機体が抜けていき斜めになって地上へと落ちていく。


 そして、そこからルノカは大技に出る。攻撃後は敵艦隊の上を通り過ぎて旋回して戻ってくるのが普通なのだが、ルノカは敵艦の上空で宙返りを行ない飛行船に対して真上から垂直に銃撃を加えたのだ。


 通常、機体を宙返りさせると遠心力によってエンジン内にある空気の混ざった燃料の比率にムラができ、エンジンが止まる原因になる。これは旋回でも起こる出来事であり気化器という装置によってこれを防ぐことができるのだが、いくらホークには最新の気化器が搭載されているといってもそもそも信頼性が乏しく旋回ならともかく宙返りなんていうものはあまりに無謀な行ないだったのだ。


 しかし、ルノカはそれをやり遂げた。一点へと集中的に行なわれた銃撃は一体どれほどの大穴を開けたのかわからないが、偽装船は気嚢だけでなく弾薬庫にも引火したようで艦橋や砲塔からも爆発を起こして今までにない大爆発を見せる。


 耳が聞こえなくなるほどの轟音

 爆発後も目に残る残像


 一時的に視力が失われ、俺は爆発を直視したことを後悔しながらも同時にその瞬間を見れたことへのうれしさも同時に感じていた。



・・・・・



 ピカ!ピカ!


 俺がそれに気が付いたのは、すべてを見届け円を描き切るというところだった。その光を送ってくるのは一緒に飛んでいるローラであり、円の外側に何かを発見したようだ。

 目を凝らせば雲と見分けがつかないような真っ白な船体。それは先ほど撃墜したような偽装船と同じような飛行船である。俺は飛行船と同じ高度を維持し、ローラには飛行船よりも高い位置へ上昇させる。


 一瞬、俺にも緊張が走ったが艦橋から見える船員たちの顔も見覚えのある者たちだ。これは正真正銘の民間船である。よく気が付いたなと俺はローラに感心しながら高度を上げると、ローラを率いて艦隊へと帰投する。




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