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「その場所に行かなければ自生していない薬草等があります。祖父の辿った場所を俺も行きたい。

 そして知識としてしか知らない薬を俺も完成させたい。そしていずれは弟子を育てて祖父の知識を引き継いで貰いたい。



 俺の旅の目的です。採取の為には山にも籠ります。危険は付き物ですよ。何日も野宿しますし、生活環境は良いとはいえない」



「もし、それでも俺と行きたいと言うとして。旅の辛さは彼女には想像できないでしょう。実際に体験して嫌になる、もう無理だと、帰りたいと彼女が思った時どうしますか?

 俺は目的の為に旅をしてるんです。戻る気はありません。彼女が一人で帰れるとでも?それが無理ならそこに近い村か町で独り暮らしをすることになる。

 貴方は兄として許せますか?もし俺達が愛し合うことになるかもしれない。でも今まで自宅しか知らない人にその環境は辛いでしょう。心が離れてもおかしくない。

 俺はそこまで責任がとれません。彼女を好ましく思っていても、それ以上の関係は望まない様にしてます。



 必ず幸せにします。とは俺には言えません。彼女の為に旅を諦めることはない」



 俺が兄だったら絶対反対する、そんな男に箱入り娘を預けようとは思わない。

 んー、言いきったけど沈黙が辛い。考え込んじゃった。



 お茶入れてこよ。

 お茶請けの果実のシロップ漬けと一緒にどうぞ。



「君は誠実な人だね。遠く離れてしまえば俺達には気付かれない。どうなろうと文句は言えないのにね」



 誠実か?手を出しても責任とらないってろくでもないと思うけど。

 日本ならね、金渡して交通機関使って帰ってねって言えるんだけどさ。治安良いし。

 こっちじゃなぁ、無理だろ。



「俺達はあの子が不憫でね。普通の年頃の娘が恋のひとつも出来ない。その分俺達が愛そうと大切にしてきた。

 そんなあの子が恋をした。率先して外に出るようになって、すっかり明るくなったことに喜んだ。出来ることならその恋が成就して幸せになって欲しい。今の話を聴いて尚更、君は信用に足る人だと思った。

 あの子にはそのまま伝えるよ。それでも行きたいと言うなら応援する。頑張って口説けって。駄目だったなら諦めろ、着いていった先で何があっても責任は自分でとれって言うよ。



 君が断っても、旅先で道が別れたとしても君が責任を感じることはない。

 本音を話してくれて有り難う」



 いや、止めようよお兄さんや。本気で口説かれても困るって俺。苦労決定だよ?

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