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女性の強さ、命の重さ

 昼過ぎに陣痛が始まり俺とカインはおろおろしたが、産婆さんと隣の奥さんに一喝されて落ち着いた。

 直ぐには産まれん!しんどいのは母親と赤子だ、落ち着け!っと。すいません。



 陣痛の間隔が長く深夜から明け方に産まれる、長くても明日中だと診断された。産婆さんは泊まり込みです。カインは付きっきりで励ましてる。無痛の間に早めの食事をして出産に備えた。

 初めて知ったよ俺。出産のために軽めの下剤飲むのね。合間合間にトイレ行ってた。

 余裕があるなら出した方がいいのさーと産婆さん。赤ちゃんと一緒に出てしまうし息みやすいんだと。

 産婆さんに色々教わる。薬師として何をするべきか、必要なこと、起こるトラブルと対処の仕方等。

 メリンダさんは俺に立ち会い経験がないと知り、私で勉強できるわねって言ってくれた。本来男性の立ち会いはしないらしい。男性は立ち入り禁止。薬師や協会の人以外は。俺の為になるんだから遠慮しないのよって。

 どうか母子ともに無事に産まれて欲しい。



 メリンダさんの痛みに耐える声が続く。こんなに長時間苦しむんだ。授業で出産についての映像を見たことがある。2時間にまとめられていたあれでも大変だと思った。

 あんなん比じゃない。男には耐えられない痛みらしい。腰をさすり汗を冷たいタオルで拭う。

 出産時はもっと激痛なんだろう、その痛みを男より力も弱い華奢な女性が乗り越える。圧倒される。



 ご近所の奥様方が手伝ってくれる。カインの面倒だったり湯を沸かしたり。

 カインは頑張って起きていたけど寝落ちしたらしい。

 夜が明ける頃、様子を伺っていた産婆さんが自分と俺とメリンダさんに気合いを入れた。出産が始まった。



「まだだ、ほれしっかり呼吸して。よし息め!」



「うぅーーー!」



 ベッドの端を握りしめ顔を真っ赤にして何度も息む。

 息を止めるな!よし吸ってー、と産婆さんが指示する。俺も息を止めていた。俺が息んでどうする。



「よしよし、頭が見えてきたぞー」



 逆子じゃなくて少し安心。

 タイミングを合わせて息む。頭が出てきた頃、ドアの向こうが騒がしくなった。



「メリンダ!帰ったぞ!頑張れ!」



 ユーグドさんが間に合ったようだ。声が聴こえたんだろう、メリンダさんが少し笑った。力付けられたのかな。

 肩を出す前に水を飲ませる。力水というらしい。



「よし、力を振り絞れ!息吸ってー、息め!」



「ぐぅーーー!!」



 ずるんっと産婆さんに受け止められた新しい命は、静かだった。泣かない…?



「よく見とけ!」



 赤ちゃんの両足を掴みぶら下げ背中を叩く。赤ちゃんの鼻を口で塞ぎ羊水を吸い上げ、ほれ頑張れと声をかけながら強く全身を擦り尻を叩く。



「ゥアァ……ウギャーーァ!」



「よーし良い子だ、頑張ったなぁ」



 臍の緒を処理しメリンダさんに渡された。



「あぁ、良かった。良かった…」



 泣き声が聴こえなかったから不安だったろう、ぼろぼろ泣いて赤ちゃんを撫でた。



「しっかりした声だ、元気な女の子だよ。お疲れさん」



「ありがとうございます。本当にありがとうございました」



 疲れきって汗だくでぐったりしながら赤ちゃんを抱き締めたメリンダさんは、とても、とても綺麗だった。

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