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今度は野球ゲーム その1

 ドアを抜けてたどり着いた場所は、野球場。

 何のゲームをするのか、一目で分かる。


「皆様に挑戦していただくゲームは、野球です」


 俺たちは一斉に安堵する。

 さすがに野球なら、さっきみたいにトラウマになるようなこともないだろう。

 ホッとする俺たちを見て、シフォンさんがすっと右手を上げた。

 次の瞬間、俺たち全員の身体が光に包まれた。

 何が起こったか分からず一瞬焦ったが、光が消えて分かった。

 俺たちの服が野球のユニフォームに変わっていた。

 確かに制服で動き回るよりはいいかもしれない。

 ただ、野球といっても問題がないわけではなかった。

 メンバーがメンバーだし。

 念のため、ゲームが始まるよりも先に俺はみんなに確認する。


「この中にさ、野球経験者っているの? ソフトボールでもいいけど」

「私はバレーしかやったことないぞ」

「ことりんはぁ、スポーツほとんどダメぇ」

「あたしは応援ならがんばりますよー」

「わたしはドラッカー読んだから、マネージャーで、ね?」


 おい、誰が野球やるんだよ。


「響平もやったことないのか?」

「野球はないな」

「これだから筋肉の足りない貧弱な雑魚は」

「お前、さっきそれ俺に謝ってなかった?」


 野球といっても、こっちは5人。

 明らかに人数が足りない。


「シフォンさん、野球する人数足りないと思うんですけど、今回もおっさんみたいなの参加するんですか?」

「はい」

「おっさんは変更できるんですか?」

「できますよ」

「じゃ、かわいい女の」

「「「「却下」」」」

「まだ言い終わってないだろ!」

「お前は馬鹿なのか? 野球するのにかわいい女の子選んでどうするんだ」

「ぐぬぬ……」


 正論すぎて言い返せない。


「やっぱりここはバレーボールだろう」

「おい!」

「ことりんはぁ、モンブランがいいなぁ」

「こら!」

「お金が一番ですよー」

「何でだよ!?」

「猫で、ね?」

「何言っちゃってるんですか!」

「仕方がないな。また多数決をとるか」

「ちょっと待てええぇぇぇぇ!」

「何だ、響平。騒々しい」

「何だじゃねーよ! バレーボールとモンブランとお金と猫でどうやって野球やるんだよ!」

「ことりんはぁ、何とかなると思うなぁ。ゲームだしぃ」

「ならねーから! モンブランがバット振ってたらおかしいから!」

「お兄ちゃん、細かいこと気にしすぎですよー」

「細かくないから! 一万円札がスライダーとか投げてたらびっくりするから!」

「響平君、猫の手も借りたいって言うでしょ?」

「ただのことわざですから! 本当に猫の手借りてもどうにもならないですから!」


 この人たちの発想力の豊かさには本当にびっくりさせられる。


「まぁでも、今回は響平に譲ってやろう」

「ことりんたちベンチだしねぇ」

「お兄ちゃん、応援しますからー!」

「響平君、まずは顧客を定義するところからだよ!」

「え!? 何で? みんなやんないの?」

「さっきも言っただろう。私はバレーボールしかやったことがない」

「ことりんもぉ、野球もソフトボールもやったことないしぃ」

「あたしたちが出ても足引っ張るだけですよー」

「野球ゲームでもベンチの選手っているから、わたしたちはそっちで頑張るから、ね?」


 ありなのか、そんなの。

 でも、野球の試合に勝つことを考えれば、確かに正解かもしれない。

 麦穂は別として、ことりんと結渚ちゃんと小町さんは野球できそうにないし。

 俺だってできるわけではないけれど、一人も出ないのはさすがにマズイだろうし。


「お話はまとまりましたか?」


 タイミングを見計らったように、シフォンさんが俺たちに声をかけてきた。

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