第五話 逢いと愛
第一章の内容を再構成したものを、10話で投稿しなおします。
一度読んだ下さった方ももう一度読んでみてください。m(__)m
「っう………ふぅ……此処は?」
私が目を開けると、見覚えのある天井が広がっていました。
「ひ、姫様!お目覚めになりましたか!」
私が、状況を確認しようと体を起こすと、横に座って本を読んでいたメイドさんが声を上げ、少し体がビックンと跳ねてしまいました。
どうやら、此処は、私の部屋の様です。しかし、私は誘拐され神卸の儀式の生贄にされていたはずですが……。
「私は、どうして此処に?」
「近衛騎士団が助け出してくださいました。どうやら、意識もはっきりしているようですね」
メイドさんは、私の体をあちこち触って確認すると、小さく頷き言いました。
「それでしたら、私は殿下と宰相殿をお連れしますので、何かございましたら外の騎士にお声掛けください」
「分かりました。ありがとうございます」
メイドさんは、私に礼をして部屋から出て行きました。
どうやら、私の近衛騎士団が助け出してくれたようです。初めてですね助けられたのは……
いや、私は近衛騎士団が来る前に誰かに……小さく、私と同じ年位の……少年……名前は……名前……
「アルク……」
そうです。私は、近衛騎士団に助けられる前にアルク君に助けてもらったはずです。
あの時、私は目の焦点が合っていませんでしたが私の眼には、ハッキリとアルク君の魔力を見る事が……いや、アルク君の魔力は見る事は出来ませんでしたね。感じたというのが正しいのでしょうか……。
アルク君は、あの後どうなったのでしょうか……どうか……無事でいてください……。
すると、私の部屋の扉が開きました。
「セレス、無事?」
「セレス、無事か!」
「お母様、お父様。私は無事ですよ」
「そ、そうかぁ……」
「よかったぁ~」
と、二人は、力なくその場にへたり込んでしまいました。どうやら、相当心配をかけてしまった様です。
「心配をおかけして申し訳ありません」
「そうよ?まぁ、今回も彼方は悪くないわ。今回は騎士団長がすべて悪いから」
そう言った、お母様の顔は少し怖いです。
お母様のエギル騎士団長、嫌いは相当なものの様ですね……
「そうだ、お母様」
「ん?何……っあ!セレス私の事はお母さんと呼んでと言ったでしょ?」
「おかあさ……ん?」
どうも、この呼び方はなれません。
「うん!よくできました。それで何?」
「近衛騎士団が助けに来てくれる前にアルクと言う少年が私の事を助けてくれようとしていたのですが……」
そう聞いた私は、内心緊張していました。なにせ私を助けてくれようとした人が死んでいるかも知れないのですから。怖くもなります。
「アルク?少年……分からないわね。あの施設には無数の少年少女の死体があったらしいから……」
「そうですか……」
その話を聞き、目の前で死んでいった少年少女の顔が私の頭の中でフラッシュバックしました。
その瞬間、私は全身から血の気が失せていく気配を感じました。
私が、居なければこんな事件は起こらなかったのではないか……やっぱり私はあの十字架にかけられて死ぬべきだったのでは無いのか……
私は、そんな事を思っていました。
すると、お父様が『っは!』とした表所を浮かべました。
「っあ……でも……いや……まさか!」
「お父様!何か思い当たる事が!」
お父様の反応を見てつい、お父様に詰め寄ってしまいました。
「っう、うん。少し落ち着きなさい。先ほど、少年を確保したとエギル前騎士団長が言っていた……確かセレスを連れ去ろうとしていたとかで……」
お父様の話では、断定はできません。しかしその少年がアルク君の様な気がしてなりません。これは、私の願望が入っているからなのでしょうか……
それに、エギル前騎士団長ですか……解雇されたのですねあの人……余計な事をしなければいいですが。
「その少年に合わせて貰えますか?」
「それがね……この王城に居ないのよ。その少年は……」
「それは……どういう?」
「多分、エギルの屋敷に居るんじゃないかな?どうやら、あの糞は彼を出しにして自分の罪を逸らそうとした様だし」
「その可能性が高そうね……」
お父様の口調と言い少し気になる所がありますが、話がまとまったので私は、エギルの屋敷へと向かう準備をしようと立ち上がりました。するとお母さんに抱っこされるような形で持ち上げられました。
「セレスを一人にするとまた何処か行っちゃいそうだから今日は、この状態ね!」
と、うれしそうな笑顔を向けてきて、拒絶することが出来ませんでした。
うぅ……恥ずかしいですよぉ~
自分でも、顔が真っ赤になるのが分かるほど顔が熱いです。
「あら、顔を真っ赤にして可愛い!」
お母さんは、私に頬をすりすりしてきました。これまた、恥ずかしぃです……
「うぅ~」
お母さんを睨むことしか、今の私には出来ませんでした。早く、降りたいです……
☆☆☆☆
「っこのぉ!っこのぉ!お前のせいでぇ!お前のせいでぇぇぇぇぇ!」
エギル=シルフィードはアルクをひたすら殴りつけていた。
それはもう自分の手から血が出ようと関係なしに殴り続ける程に……
「ッぶ……」
「はぁ、はぁ……お前の所為で……俺は……くぞぉ!」
肩で息をしながらもエギルは、さらにアルクを殴る、蹴る、最後には、初級魔法のファイアまで使ってきた。
「……」
しかし、アルクは無言を貫いた……と言うよりも、心と体が痛みを忘れているアルクが声に出す事は殆どない。
4
場所は、変わり王城の廊下。そこでセレスは未だにファルミアに抱っこされていた。
「お母さん。いい加減恥ずかしいから下ろして!」
「あら、セレスが敬語じゃ無くなるのは珍しいわね。だから……下ろしてあげない!」
「おかぁ様ぁああああああああああ!」
と、真っ赤になり叫ぶと、ファルミアをポカポカと叩き始めた。それは、文字道理の五歳児の力で、かわいらしくだ。
「いやぁん、セレスが可愛すぎる!もう、食べちゃいたい」
「僕、もう死んでもいいかも知れない……」
セレスの様子を見た二人がそろって腑抜けた顔をで、デレデレしていた。イクスに限っては、鼻血を垂らすほどだ。
その扱いに顔から湯気が出るのでは無いかと言うほどセレスは顔を赤くさせていた。
「ヤバい……キュン死しそう……」
「ファルミア、それはどういう意味?」
「文字道理、キュンキュンし過ぎて死にそうなのよ……」
「激しく同意だね。僕もキュン死しそうだ……」
と、恥ずかしさが、頂点に達したセレスは、とうとう行動に出た。
「我、天……」
「ごめん、ちょっと待って。それは、シャレになって無いよ……お城。壊れちゃうから……」
セレスが詠唱を始め、慌ててファルミアがセレスに謝るが、セレスは止まらなかった。
「をも切り裂く……」
「お願い!まって……待ってくださいお願いします……」
止まらないセレスの怒りを鎮める為、ファルミアは娘であるセレスに敬語で謝罪をした。
それ程、セレスが使おうとした魔法は、威力が高いのだ……と言うか、この王城が軽く更地になる。
「じゃぁ、早く下ろしてください」
「詠唱、中断とか……どこでそんな高等技術、覚えてきたのよ……はぁ、しょうがないわね。下ろしてあげる」
「ほんと!」
「えぇ、ただし……手は、繋ぐ事!良いわね」
「……」
「いいわね?」
「……」
セレスは、流石に自分が悪いかと思い、了承を出そうとした。しかし、少し遅かった……
「良いわね?良いと言わないと……全身マッサージするわよ?」
「はい。良いです」
セレスは、マッサージのマの字が出た瞬間に自分から手を差し出し。了承の意を伝えた。
「うん。よろしい」
「はぁ……良かった……」
と、セレスは安堵していた。
なにせ、ファルミアのマッサージを受けて立っていたものは居ないと言われるほどファルミアのマッサージは神的な気持ちよさなのだ。一部からは、ゴッドハンドとも呼ばれているらしい。
ほかにも、腕慣らしにメイドをマッサージした際、その日メイドは早退した。
しかし次の日に現れたメイドは軽く5歳は若返っていたと言われている。
一部からは受けてみたいと言う女性もいるのだが、なにせ相手が王族でしかも、皇帝とあっては頼めない。
しかし、セレスはこのマッサージをひどく嫌っている。なにせ、あのマッサージを受けると強制的に昇天させられてしまうからだ。つまり、一日を余りの気持ちよさに寝て過ごす事になるのだ。
「っあ!ちなみに、セレスは所々に魔力溜まりが出来ているからどちらにしろマッサージはするわよ?」
「…………………………………………はい」
と、しばらく脳が停止する程セレスは、あの気持ちよさが嫌なのだ。ちなみにメイドたちにもマッサージは嫌われている。なにせ、マッサージを受けた日は強制的に早退になってしまうのだから。
「ハハハ、ファルミアのマッサージは凄いからね。僕は一回しか受けたことが無いけど……」
「あら、じゃぁ今度……」
「いや、良いよ。君も忙しいだろ?」
と、イクスは回避した、
「お父さんずるい……」
「っお、僕の事もお父さんと呼んでくれるのかい!」
イクスは、目をキラつかせた。
「お父様なんか嫌い!」
「もう……思春期なのかい……最近の子供は成長が早いと聞いていたがまさか……もう……」
イクスは眼をウルつかせる。
「いや、単純にあなたの事が嫌いなのだと思うわよ?」
「何で!」
ファルミアの言葉に本気で落ち込んだ様子のイクス。
「だって、あなた事あるごとにセレスに構うじゃない。それって女の子的には迷惑なのよ」
「そんな……」
イクスは両膝を付いて項垂れた。本気で後悔しているかのように……では無く、本気で後悔していた。
「と言うか、その優しさをあなたの部下達に向けてあげなさいよ……この前なんて笑い泣きしながら仕事している職員を見て、流石に帰らせたわよ……見つけた私の心臓に悪いから辞めなさい」
「はい……善処します」
と、突然の皇帝モードの命令が発せられ、イクスは更にシュンとした。
「善処じゃダメ。うちの城をブラックにするつもり!?誰も、仕事に来なくなるわよ!?」
「はい、改善します」
と、基本的に母>娘>父と言うごく一般的な構図がこの皇室では生まれていた。
「さて、馬車に乗って元エギルの屋敷へと向かいましょうか」
「そうだな」
三人は、皇帝隠密用の貧相な馬車に乗り、外見は商人の馬車に見える様に城を跡にした。
5
しばらくして、セレス達三人と少数の騎士たちがエギルの屋敷の前に到着した。
「こんな豪華な屋敷にアイツ住んでいたのね……」
「ファルミア、言葉遣いが汚いですよ」
「あら、これは失礼」
イクスに指摘され、お淑やかに口を押えるファルミア。
「夫婦漫才は良いですから早く行きましょうよ」
二人の間に挟まれていたセレスがジト目でそう言った。
「あら、仲間に入れなくて嫉妬しちゃった?」
「はぁ……お母様、このあたり一帯を消し飛ばしますよ?」
「ごめんなさい。消し飛ばさないでください……私の仕事が増えるから辞めて」
「はぁ~い」
マジで懇願するファルミアに子供っぽく答えるセレス。
「こら、こら二人とも漫才をしてないで早く行きますよ。最悪の事も考えておかなくては、なりませんし……」
『最悪の事』それは、アルクが此処に連れ込まれている場合の事だ。
(セレスの話を聞く限りアルクと言う少年はセレスを助けてくれた様だ。そんな人間にこんな仕打ちをしたとなったら帝国の恥になる。それに、もしあの人数の魔法使いを倒したのなら相当な実力を持っている可能性がある。下手をしたら、セレス以上の能力があるかも知れない……)
と、イクスは内心焦っていた。そんな人外を敵に回してはいけないと……
「さて、行きましょうか」
三人は、護衛の誰一人いない門を潜り屋敷の中へと入って行く。
『この!この!この!』
三人が玄関を入ってすぐに左手の長い廊下の奥からエギルの声が微かに聞こえてきた。
「これは、マズイ事になっているかも知れないわね」
ファルミアは顔を顰めると少し早歩きで足を進める。
「っち、ドレスが邪魔で走れないわね……」
と、小さく呟くファルミア。
この日、ファルミアは謁見があった為、豪華なドレスを着ていたのだ。
その所為で、ドレスのスカートが足に纏わりつき走る事が困難だったのだ。
(これって……)
セレスは、廊下の奥の扉から何かを感じつと、ファルミアとの約束を忘れ一人、走り出す。
「ちょ、セレス!」
「僕が追いかけます」
一人、走り出したセレスを、走れないファルミアに代わって、イクスが追いかける。
今回、騎士たちは少数の為、誰一人として皇帝のそばを離れる事が出来ないからだ。
(アルク君が居る!この魔力は間違いない!)
セレスが感じたものは、アルクの膨大な魔力だった。
「セレス!待ちなさい」
「この先に、アルクさんが居る!」
セレスの言葉を聞きイクスは驚愕の表情をした。
イクスは、想定していた最悪の状況が起きている事を信じたくは無かった。
「それは、本当に?」
「はい」
セレスは……と言うより皇室の女性は代々魔力の親和性が高く、人から無意識に漏れ出る魔力を色として見る事が出来る。見える魔力の色は、人により変わり魔力が多い人ほど、色の彩度は上がる。そして、誰一人として同じ色は無いのだ。
しかし、セレスが今見ているのは、無色。色の無い魔力だ。
当然、この事はイクスも知っている。だからこそ、信憑性が増しイクスの想像する最悪の状況へと近づいていく。
「はい。この先にアルクさんの魔力を感じます。アルクさんの魔力の色は初めて見ましたから……」
「そうか……なら僕は先に行くからセレスは、ファルミアと来なさい」
「いえ、わた……」
「だめだよ。これから先は、セレスの仕事じゃない。僕たち、帝国に仕える者の仕事だ。姫殿下が出てきて良い場所じゃない。」
イクスに姫殿下と言われ、自分の立場を思い出したセレス。
ここから、先は王位継承権第一位であるセレスが立ち入って良い領域では無くなったのだ。他人の命より自分の命を優先しなければいけない立場の者として……
そんな、不甲斐ない自分が心底、嫌いになったセレスだった。
「じゃぁ、ゆっくり来るんだよ」
イクスは、セレスの頭をそっと撫で、今までの三倍にも近い速さで走っていた。
ここで、『来るな』と言わなかったのは、イクスなりの気遣いなのかもしれない。
それから、ファルミアが追い付くまでその場に立ち尽くした。
「お母さん!」
「セレス!約束を破ったわね……」
ファルミアはようやくセレスに追いつきセレスを少し睨む。
「……はい」
これには、セレスも項垂れるしかなかった。約束を破ったセレスがすべて悪いからだ。
「今は、怒らないわ……それにしても、アルク君?の魔力は何色なの?私には、セレスとイクスそして、騎士達の魔力しか見えないのだけれど……」
「透明です」
「透明!?そんな事よく分かったわね」
ファルミアは素直に驚いていた。透明の魔力が有る事。そしてそれを区別することが出来るセレスの魔力の親和性を。
「魔力を感覚で感じると一つ多くあります。それに、その魔力は優しくて暖かいそんな感じがしませんか?」
「確かに、一つだけ明らかに違う魔力があるけど……これ?」
「はい、それです。直接触れて確かめましたから間違いないかと思います」
「そう……ただ、この魔力の放出量は異常よ。急ぎましょうか……作ってくれた人には悪いけっど……」
そう言うと、ファルミアはドレスのスカートの丈の半分くらいの所を持ち、横に破り裂いた。
「良いのですか?それお母さんのお気に入りじゃぁ……」
「人の命には代えられないわよ。それにこれも可愛くない?」
そう言い、ファルミアは膝上丈になったスカートを確認する世にくるくると回る。
「そうですね」
セレスは、微笑みそう答えた。
「さぁ、行きましょうか」
「はい」
セレスとファルミアは手を繋ぎアルクの下へと走り出した。
読んでいただきありがとうございます。
徐々に改変後の一章を再投稿していこうと思っています。
それが終り次第、第二章の投稿に入りたいと思います。
最後に、読んでみて面白い、続きが気になると思ってくださった方はぜひ、ブックマーク、評価をお願いします ( `ー´)ノ




