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第四話 罪と罰

第一章の内容を再構成したものを、10話で投稿しなおします。

一度読んだ下さった方ももう一度読んでみてください。m(__)m


 フェルス帝国のとある地下牢の尋問室。そこにアルクは居た。

 両手両足を枷で繋がれ、疲弊した状態で……。


「さぁ、私がやりましたと言え!」


 男がそう言うと手に持った鞭を地面に打ち付ける。


「……」

「早く、言ってくれないかな……『私が姫殿下を誘拐した犯人です』と。そうすればすべてが丸く収まるんだよ」


 そう言いながら、下卑た笑みをアルクに向ける男。いや、近衛騎士団長エギル=シルフィード。


(流石に、少し辛くなってきたな……栄養失調の身体の所為か、体調不良の所為か……頭がぼーっとする……。一応こういった暴力には耐性があるつもりだけど……いや、精神的にダメージが無いから、耐性は有るのか……」


 アルクは、エギルの言葉を無視し、内心で自己分析を行ており全く聞いていなかった。


「っち、そのすました顔がいつまで出来るか見ものだな!あいつを呼んで来い!」


 エギルがそう叫ぶと外に居た部下が走って何処かへ行く。

しばらくして、部下が戻って来ると尋問室に身長が二メートルはあるであろう一人の大男が入って来た。


「よく来たな。こいつを好きなだけ、殴っていいぞ」

「……ぐぇぇ~」


 その言葉を聞くと大男は、狂ったような笑みを浮かべ右手を振りかぶった。


「……っい……」


 巨体の力に、重力が加わり途轍もない力でアルクは顔を殴られた。


(これ、歯が折れそうだな……)


 と、内心そんなことを心配しているアルクだ。


(流石に、五歳で総入れ歯は嫌だなぁ……そもそも入れ歯が有るのかな……)


 そんな、どうでも良い事を考える余裕がある位にはアルクは、痛みに体制が有った。


「もっと、やっていいぞ」


 その言葉から男は、何十発とアルクにめがけて拳を放った。しかし、アルクの表所は変わることなく只々、無表情だった。


「うぅおらぁぁあ゛あ゛あああああああ」


 大男がアルクのお腹に拳をめり込ませる。すると、お腹の中から嫌な音が聞こえた。それと同時に、アルクは口から大量の血を吐きだした。


「グォッㇹ」

「ハハハ、良いね、ようやくその顔を見なくてすむよ」


 流石の、アルクも内臓を破裂させられて普通で居られる程人外ではない。

 痛みを感じなくとも、内臓が破裂した時点で死ぬ可能性があるのだから。


「ヒ……」

「あ?何だ、ヒールして欲しいのか?残念だったな。ここにはヒールを使える人間は居ないんだ。早く言った方が身の為だぞ?『私が姫殿下を誘拐した犯人です』ってな!そうすればヒールしてやるよ!どちらにしろ死刑は確定だけどな!」


 アルクは、右手を腹部に当てる。


「ヒール」


 アルクは、元からこの男に回復して貰おうなどと思っていなかった。

そんなの自分ですれば良いから。


「な、こいつヒールが使えるのか!嘘だろ!おい!」


 エギルは驚愕していた。

 それも、当然だ。魔法を使うには大量の知識とそれを処理するための頭脳が居る。平民、それもスラムに居るような孤児が魔法を使える訳がないのだ。

 しかし、アルクは使えた。エギルが使えない魔法を……。


「まぁ……いい。これを使うからな」


 エギルは新しく枷を二つ取り出すとアルクに填めた。


「これは、魔法使い用に作られた枷で、魔力を吸収し続けるんだ。死なないうちに言った方がいいぞ?あと、これからは、これも追加してやる」


 そう言い、アルクに見せたのは、水の入った桶だ。


「もう日は落ちている。これから寒くなる。さぁ!どれだけ耐えられるか見ものだな!」


 そう言い、勢いよくアルクに水をかけた。

 アルクは全身ずぶ濡れになり、ボロボロの服が水を吸い重くなり、体に張り付く。



☆☆☆☆



 それから、しばらく時が経ち、後一時間もすれば日の出の時間だ。


「なぁ、いい加減、言ったらどうだ?辛いだろ?なぁ!」


 そう言いながら、騎士の男がアルクに水をかける。さらに、続けざまに大男が拳を振り下ろす。


「っぐぅ……ハァハァ……」


 何とか、うまく力を分散させ痛みを軽減しているアルクだが、当然口の中は鉄の味で一杯だ。それに体調は未だ不調のままだ。

さらに、手枷の所為で足が浮いており、踏ん張ることが出来ない為、力を逃がす事が出来るのは、何とか動かせる顔に来る拳だけだった。

 全身が燃えるように熱く、そこに水を掛けられる事で次は寒さを感じる。

その繰り返しを65回はやっただろうか。しかし、夜の冷えた風が尋問室の小窓から入ってこようがアルクが体を震わせる事は無かった。。


「はぁ……私は、寝る。お前は好きなだけおもちゃにして良いぞ」

「ぶ、っハハハハハハ」


 大男は、高笑いすると、手の関節を鳴らし拳を振りかぶった。



3



―翌日―


「皇帝閣下、お呼びでしょうか」


 そう言い謁見の間に現れたのは、セレスの近衛騎士団、団長の男だった。


「お呼びでしょうか…ねぇ……自分のしでかした失態を忘れたのかしら?エギル=シルフィード騎士団長」

「い、いえ……しかし!犯人と思われる少年を確保しました!」


 エギルは、考えていた言い訳、もとい話を逸らす口実を放つ。しかし……。


「犯人……それは、何処かの宗教の司教の仕業と私は、報告を受けたのだけど?」

「はい、それで間違っておりません。しかし、私たちは、その少年が姫殿下を攫う場面を目撃しています。その為、司教の下へ姫殿下を誘拐した犯人はその少年かと……」

「ふ~ん。で、それが何?その少年とは後で私と宰相で直接、尋問するわ。でもね、お前がセレスの護衛を失敗した事には変わりない。その、少年への責任転嫁は見苦しいわよ」


 そこまで、言うとファルミアは、嘲るような笑みをエギルに向けていた。

 そう、ファルミアにとって犯人の少年なんて、どうでも良かった。エギルとエグルを失脚させることが出来れば、セレスを危険にさらした報いを、与える事ができればファルミアは満足なのだから。


(ぐ……この小娘が!)


 顔を伏せているため、ファルミアには見えないが、雰囲気で丸わかりだった。顔を顰め、怒りに満ちたイクスの感情は。


「エギル殿。彼方は、今回の責任を取り近衛騎士団長を解任。さらに、過去に受けた勲章等をすべて剥奪。今後一切この王城への出入りを禁止します」

「ちょ。それは……」

「誰が、面を上げて良いと言った?」

「し、失礼しました」


 エギルが、イクスの下した処罰に異論を唱えようと、顔を上げると、ファルミアの殺気と怒気を含んだ笑みとその言葉にエギルは押し黙るしかなかった。

それは、エギルの本能による警告が言っていたのだ。逆らうと殺されると………。


「分かったら。出て行きなさい……っあ、忘れていたわ。彼方の父親、エグル卿に伝えてくれるかしら」


 エグルを呼び止めるファルミアは妖艶な笑みを浮かべていた。


「はい、何でしょうか」


 そんなファルミアに対して脱力した様に振り返るエギル。


「シルフィード家は取り潰し、資産、財産をすべて没収とね」


 それを聞いた、エギルは絶望の表情をしていた。


「返事は?」

「はい、確かに承りました」


 覇気なく、そう答えると謁見の間を出て行った。


「ふぅ~~。終わった~」

「はい、終わりましたね。ついでに掃除も」

「今の彼方、悪い顔よ?」

「ふふ、私は元からこういう顔ですよ。なんせシルフィード家は横領や裏金等の不正が漂っている貴族でしたので、良い機会かと思いまして」

「それは、分からなくもないわ。でも、一つ気になる情報が出てきたわね……」

「少年の事ですか?」

「うん……」

「どこが気になるのですか?」

「この城に居ないのよ、そんな少年は……」

「!確かに居ませんでしたね……まさか!」


 ファルミアとイクスは、運ばれてきた実行犯達の名簿に一通り目を通していた。そして、その名簿には年齢も記されており、一番若い人物でも26歳だったのだ。とても少年と言える年齢ではない。


「後でちょっと調べる必要がありそうね……」

「はい」


 ちょうど話が一区切りついた所で、謁見の間の扉が開かれた。


「無礼な参上をお許しください。姫殿下が……セレス様がお目覚めになられました!」


「「!すぐ行く(わ)」」


 二人は、立ち上がり、セレスの眠る部屋へと走って向かった。


読んでいただきありがとうございます。

徐々に改変後の一章を再投稿していこうと思っています。

それが終り次第、第二章の投稿に入りたいと思います。

最後に、読んでみて面白い、続きが気になると思ってくださった方はぜひ、ブックマーク、評価をお願いします ( `ー´)ノ

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