報告会
あの後、茹だったぼんやり頭のまま、彼の甘やかな言葉でデロデロに溺れつつお茶会を完遂しました。そしてーーー
…
……
………………
「マリエッターーー!聞いてください!」
「っしゃー!今日のメインイベ来たァ!お茶よし!菓子よし!準備よし!さぁカモーン!」
いつもより3倍は興奮しているマリエッタへ報告会と相成りました。
「なぁるほどねー3年間の冷却期間でお坊ちゃんはクソガキ期間を終了させて素敵な紳士へ成長しましたよっと…え?最高じゃない?格好良い感じで成長してたし、ありゃ後数年したら目が潰れるレベルのイケメン確定ね。侯爵子息でイケメン確、聴く限りじゃお勉強方面も優秀だとか。えースパダリじゃーん?おめでとうリリ!」
いけめん……すぱだり……???
相変わらずこのメイドは……何を言ってるんだか。以前あんまりにも意味不明なので、言葉の意味を訪ねたら「造語よ。良いの、意味なんてわからなくても〜」とはぐらかされました。
以降何度聞いても同じなので潔く諦めた次第です。
そんなことより!
「そんなことより!私っ困るわ!すっ……好きとか!そんなこと言われても!!」
「えー何が困るのよ?私が予想してたルートの中でも最高の展開なのよ?」
「…だってぇ」
「あのねー?私の予想本命ではクソガキそのままルートだったから!しょぼくれたリリをどうにか励まして次の対策を練ろうかと、そんな事考えてたのよ?『俺様と婚約できてお前も嬉しいだろう?光栄に思え!ガハハ!』とか言いわれたわ!絶望よ!!なーんて報告されるんじゃないかなってそう思ってたのに……まさかの大穴!大当たり!自分を見つめ直し成長ルートよ!会わない期間でリリの心情を察して俺様に着いてこい!な自分を改めたなんて、最高じゃなーい」
ぐっぐぬぬ……そう言われると、確かに。
「リリはあの話を聞いてくれなさそうな性格がヤダったんでしょ?彼は関係性を変えていきたいって、好きになってもらいたいってそう言ってるんだから難しい事なんてないのよ。」
「なんで?」
私には難しい……徹底指導があったから今日という日に挑めたと言うのに……この先どうすればいいかまるでわからない。
なのに難しくないって言うの?
困った顔をしてむくれる私をみてマリエッタは優しく笑います。
「今日はほら、彼がどう成長してるか確かめる為に?私の徹底指導の元に造られた、昔の怨念は封印、懐深いよリリーナちゃん!モードで挑んだけどさ。それって本来のリリじゃーないわけじゃない?彼は見たいんだと思うのよ、この素のリリも。好きって言われてアワアワして真っ赤な茹でダコになってる可愛いリリが好きなんだと思うわ。夫婦になって長ーく付き合っていくんだから。素の貴女で居ればいいのよ。ほーら難しいことなんてないわ!」
「あわあわなんて……してないわ!」
「いやーーん!可愛い!ツンなの?!ツンしちゃうの!?あー尊いわー最高ー」
「もうっ!バカにしないでよ!!」
私は全力でむくれて、お茶請けのクッキーをバリバリ食べてやった。
ふん!もうこのお皿のクッキーは全て私が食べてやるのです!!!
その姿を見て、彼女がまた笑ってたけど見て見ないフリをしました。