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第39話 訓練場の一幕

桐谷さんの元ネタは、『ソードアート・オンライン』のキリト君やなくて『武士道シックスティーン』という小説の桐谷さんや。名前と剣道だけやけど

 俺は現実時間の午後5時にログインして、待ち合わせ場所の<アイスクリーム>本拠地に来ていた。

 消耗品を補充して屋外訓練場に向かう。


 爺さん(ワタベという名前らしい)はすぐに見つかった。

 昔写真で見た若い頃にそっくりだったからもあるが、訓練場の真ん中で戦っていたからだ。

 あれは…前に俺が稽古をつけたケンヤ君だろうか。


「はっ!効かねえせま!」

「嘘こけ。息が上がっておるぞ!」

 驚いたことに、ケンヤ君は防戦一方ながらも爺さんと戦えていた。素直にすごいと思う。

 ケンヤ…剣…ケンタロウ…もしかして、あれが桐谷さんとか?


「違うぞ」

 真後ろから声が聞こえた。


「うわ!…もしかして桐谷さん?」

「うむ。ここではきりじいと呼んでくれ」

 桐谷さんも爺さんと同じくらいの筋肉を持っている。が、その姿は老人のままだ。現実との整合性を重視したのだろうか。


「んじゃきりじいさん。あのケンヤ君はどう思う?」

「あれは…俺の孫だ」

「あー、納得した。母さんのお腹の頃から桐谷さんのところに通っていたら、そりゃ強くもなるよな」

「それがな、小さい頃に剣道を辞めてしまったんだが、最近いきなり『剣道を教えてくれ』と言い出したんだ。才能もあるし、あいつも伸びるだろう」

「ふーん」

 桐谷さんが人を褒めるのは案外珍しい。本当に才能があったのだろう。


カン!

 爺さんの拳でケンヤ君の小太刀が弾かれた。


「おぉぉりゃあ!」

 ケンヤ君の鋭い右の蹴り。見事な判断力と瞬発力だ。


バシン!

 だが、格闘戦は爺さんの本職だ。足は軽くいなされ、流れるような動作でケンヤ君は地面に叩きつけられていた。



パチパチパチパチ!

 周りの観客から拍手が飛ぶ。


「じいちゃん。負けちゃった」

「うむ。しかし筋は良かったぞ」

 ケンヤ君が戻ってきた。爺さんと戦いになっただけで、俺の知り合いの7割位よりかは強いだろ。


「龍斗か」

「おう。タツって呼んでくれ」

「把握したわい」

 爺さんも戻ってきた。うっすらと汗をかいている。化け物が。


「なにか言ったかの?」

「いや?何も」

「そうか」

 爺さんたちは無駄に感がいいんだから。


「あ!タツさんこんにちは!」

 ケンヤ君が気づいてくれた。


「おう。久しぶり。元気が?」

「はい。この間組んだパーティも順調です!」

「それは良かった」

 半分勢いで組んだパーティだったから、もし合わなければどうしようと思ってた。


「そうじゃ、ユウトが上で待っておるぞ」

「じゃあ待たせるのもなんだし、行くか」

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