加減VS了
ぼくは加減をするのが難しい。いい加減と悪い加減、どちらも難しい。だって――なにもかもを全力でブッパするので、加減というものがないのだ。
だからだろうか――ぼくは、他人から『いい加減にしろ』とよく言われる。なぜか悪い加減にしろとは言われたことはない。そもそも、ぼくは、加減をするのが難しいのであって『いい』というものを、考える前の時点で止まっているのである。
そもそも加減ができない。難しい。いや、『加』はできても『減』はできないというのが精確かもしれない。なにもかもを、全力でブッパなすことしかしない。
そんなぼくの前に、あるとき敵が現れた。そいつは、どこにでもいて――どこにもいなかった。いるのか、いないのかもわからないほどに、曖昧模糊。目には見えないものだが、計測はできる。つまり数値としては、目に見えるのである。
そいつは、ぼくの前に現れた。しかし、そいつのことを、無視した。ぼくは、加減がどうでもいいと思っている。加減がいいとかいう以前に、加減がどうでもいいのだ。いい加減という以前に、加減がどうでもいい。なので、そいつを全力で捩じ伏せた(なにが、なのでなのかは明言しない)。
どうやって捩じ伏せたのかも、伏せておく(だから捩じ伏せたのだが)。意味があるようでないこの行為には、やはり、意味があるようで――なかった。
意味があるという意味も曖昧模糊で、説明の難しい概念なので、どうしようもない。どうすることもしない。それでお終いだった。終わりがあって、始まりがある。終わりがあって、終わりがあるのではなく、終わりがあって、始まりがある。そもそも、始まりがない終わりというものを、ぼくや、全世界はまだ知らない。
どこにその境があるのかさえ、明瞭にならない。全ては相対によって判断される。絶対でさえ、最初の相対で決まったのかもしれない。加減があるのであって、加減がない世界はない――いい加減も悪い加減もあるのだ。そもそも、全力でブッパしているぼくだって、実のところ、加減をしている。そうでもしないと――どうにかなっちゃうからだ。
もう――らめになっちゃうのだ。
ぼくは大きく息を吸った。そして――
「もうらめえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」
言った。もう――らめと。




