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断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【続編】

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16:脅迫

 屋敷全般の仕事をこなすことで、ナタリー様を見かける機会が増えた。そこで分かったことがある。


 彼女は私の想像よりずっと素敵な方だった。


 自身に接する使用人に対しても気遣いがあり、やって当然のことをしているのに、「ありがとう」と自然に言ってくれるのだ。


 伯爵令嬢なのに、なんて謙虚なのだろう。


 私としてはいつ戻るか分からないリック様に仕えるより、ナタリー様の専属メイドになりたい気持ちが芽生えていた。


 そんな折のこと。


 リック様からの手紙に書かれていたこと。


 それは……。


『君には姉がいるようだが、とんだビッチだ。

 僕はね、実は君の姉と関係を持ったことがある。

 仮面舞踏会で出会い、お互いの身分を隠した状態で。

 彼女、王族や他国の皇族に嫁ぐ予定はないから、純潔については気にしていないそうだ。むしろストレスが溜まっていると言っていたよ。

 ご両親はより良い婿探しに奔走し、彼女の希望を聞いてくれない。

 上位貴族で資産家であれば、年齢や容姿はもちろん、後妻でもいいだろうという考え。祖父のような縁談相手とお茶を飲むよう勧められた時、決意したそうだ。

 表向きは両親に従順なふりをするが、裏では好き放題やってやろうと。

 面白いお嬢さんだと思い、事が終わり、ドレスを直すのを手伝った時。

 ポケットのハンカチで紋章を確認させてもらった。

 それが今になって役立つとは……』


 つまりリック様は私に、ナタリー様の監視を依頼したのだ。

 それはリック様自身の意志だったのか。

 後ろであのリリィが糸を引いているのか。

 手紙からだけでは分からない。

 いや、分からないことはない。

 リック様とリリィ、二人で考えたのだろう。


 ともかくナタリー様を監視し、どんな変化でも構わない。

 逐一報告するようにと言われたのだ。


 断ることなんてできない。

 なぜなら手紙にはこうも書かれていたのだ。


『君の姉がやったこと。もし世間が知れば、どうなると思う? 君の姉が恥をかくだけではない。君の両親、君自身、親族……一族が社交界から干されるぞ。そうなれば運営する商会にも当然、影響が出る。借金が重なり、爵位の維持も……難しいだろう』


 リック様自身、女遊びしていたことがバレるのだが、それを厭う様子はない。

 それにこの世界、女遊びした男より、遊ばれた女性の方に、好奇の目が向けられる。酔っ払いが口にするのは、その女がどれだけビッチだったかということだ。


 こうして私はリック様に、定期的に報告することになる。

 ナタリー様がどんな状況なのかを。

 だが正直なところ。

 金曜日の夕方から月曜日の朝まで、ナタリー様は屋敷にいない。ザロックの森に、婚約者であり、王宮付き魔術師のアンディ様と、出掛けてしまうのだ。


 平日は、半年後の結婚式に向けた準備や令嬢を招いてのお茶会。

 今はちょうど社交界シーズンがオフの季節。

 よって舞踏会や晩餐会もない。

 ゆえに夜は読書をしたら、すぐ寝てしまう。

 まれに婚約者の魔術師から、夜に魔法で連絡が来ると、手紙を書いたりしている。


 つまり報告すべきことなどない。


 それに私はナタリー様の専属メイドではない。そうナタリー様の様子ばかり、探ることはできなかった。


 それでも小まめに報告の手紙をリック様に送らないと『例の件をばらすぞ』と、脅迫と催促の手紙が届いてしまう。


 リリィが修道院に入ることになったのは、自業自得。ナタリー様は被害者なのだ。リック様には目を覚まして欲しいと思う。姉であるナタリー様を貶めようと画策するのは止めて欲しいと願うが……。


 実の兄であるヒューバート様の婚約が決まり、そのお相手の男爵令嬢イングリッド・ネイピアを招いての夕食会。当然、リック様にミラー伯爵は連絡をとっている。だが彼がやってくることはない。


 リリィという女の呪縛から、リック様は逃れることができないようだ。


 ともかく報告書をリック様に送るようになり、日が経ったある時のこと。

 報告書を書く私は、情報がないことに気付く。

 つまりナタリー様について、特筆すべきことが何もなかったのだ。


 ナタリー様が、ザロックの森から戻って来たと思ったら、早々に夕食会が開催だった。『週末は森へ行き、戻ると兄君の婚約者家族と夕食会です』という報告以外、特に何もない。……というかこの間、私自身、ナタリー様と接点がほぼなかったのだ。


 でも何か書かないと、監視が甘いと文句を言われる。


 そこで「ああ、そう言えば」と思い出したことがあった。

 いつもつけている婚約指輪に、重ね付けするようになった、シンプルなゴールドの指輪のことだ。


 婚約者からの、新しいプレゼントなのだろう。

 王宮付き魔術師ともなれば、かなり高給取りのはず。

 金メッキの指輪のわけがなかった。

 きっと高額なもののはず。

 でもナタリー様は金の価値より、婚約者から贈られたプレゼントとして、大切にしているように思えた。


 といってもプレゼントの一つ。

 薔薇の花束やドレスよりうんと高額であるが、大騒ぎするようなものではない。


 そう思い、ナタリー様の近況として、手紙に書くことになった。

 ゴールドの指輪を婚約者から贈られたようだと。


 するとリック様からの返信に、こんなことが書かれている。


『ゴールドの指輪。既に婚約指輪をつけているのに、さらに指輪を重ね付けしているなんて。リリィ様は、ロザリオ以外の宝飾品を身につけることも、許されていないというのに! でもリリィ様は豪華なイヤリングやネックレスがなくても、彼女自身が宝石のように美しい。だから宝飾品なんてなくてもいいんだ。ただ……』

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