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断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【続編】

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5:果たしてどんなつながりが?

 礼拝堂の地下の納骨堂。


 前世記憶持ちの私には、地下の納骨堂は、独特の文化に感じられた。


 何せ日本では、古来から火葬が一般的。火葬されていない遺体を収めた石棺が、礼拝堂の地下に安置されていることには……驚くしかない! だって安置されてから日が浅いとそこにはまだ……と考えると、もうホラー映画。


 今、向かおうとしているのは、廃墟の礼拝堂の地下納骨堂だ。まだみずみずしい遺体が石棺に安置されていることはない。ましてやそれがアンデッドやドラキュラになるなんてこともないはずだ。


 それでも。


「ナタリー、もしかして怖いのか?」

「そ、そんなことないわよ、アンディ!」

「でも手が……可愛いな、ナタリー」


 またも不意打ちで「可愛い」と言われ、その瞬間。

 つないでいた手は、怖さにより少し震えていたのに。

 今の「可愛い」で、完全に収まっている……!


 アンディは不思議だわ。

 呪文を唱えていないのに、私に魔法をかけてしまうなんて!

 それはアンディが私だけにかけられる()の魔法だ。


 ということで地下納骨堂に到着した。


 カビっぽい匂いと少し湿度を感じるが、それよりもひんやりしている。


 アンディとディーンの二人が、ランタンを奥の方まで照らすようにすると……。


「全部で12個の石棺があるな。墓碑プレートがあるから、誰が眠っているのか、確認してみようか。マーランにつながる人物が、もしかすると眠っているのかもしれない」


 そう言ってアンディが、私と手をつないだまま歩き出す。


 ブラウンは私の肩にいるが、ぴょんぴょん跳びながら進んで行くパールの勇気に、私は心の中で拍手している。


 だって。


 石棺の蓋には、安置されている人物の姿が石膏により、再現されている。それは横たわる彫像のようであり、この世界では横臥(おうが)彫像と呼ばれていた。淡いランタンの光だけでは、その横臥彫像は、まるで本当に人が横たわっているように見えてしまう。その度にドキッとして、それはアンディにも伝わっていた。するとアンディは、安心させるように、ぎゅっと私の手を強く握りしめてくれる。


「奥から出口に向け、順番に名前を確認していこう」


 アンディの言葉に従い、まず一つ目の石棺の墓碑プレートを確認する。


『セオドア・リンチ 大工の頭 867年-899年 家族を想い眠る 妻・マリー 息子・ジェイソン リンゴを喉に詰まらせ死亡するが、この礼拝堂の建築に従事』


 死因まで記載されていることに驚くが、リンゴを喉に詰まらせ……しかも32歳なんてまさに働き盛りなのに。


「マーランは百年前の魔術師だから、彼とは関係ないだろう、アンディ?」


 ディーンに問われたアンディは「そうだろうな」と頷く。

 次の石棺の墓碑プレートを確認することに。


 こうやって確認していくと、どうやら百年刻みで一人~二人の石棺があるようだ。しかもこの礼拝堂に関係していたり、この辺りで功績を成した人物を安置しているように思われた。


「最後はこの女性か。この中で一番新しそうだ」


 そう言うとアンディは石棺の墓碑プレートを照らす。


『アマナ・ランズベリー ランズベリー夫妻の娘 1756年-1780年 楽園での永遠を願う 悪の手により眠りにつく』


「これは……マーランが生きていた時代と重なるのでは?」


 ディーンの言葉にアンディは「そうだな」と頷き、考え込む。


「でも……マーランについてはみっちり調べたけど、アマナ・ランズベリーなんて……聞いたことがないぞ」


「そうなのか。でも彼女が一番年代が近いのだろう?」


「うーん。でもそれなら彼女よりも……。百年前に永眠した錬金術師と関わっていたと考える方が、妥当な気がする。生きていた時代は重ならない。だが錬金術師が作った何かをマーランが手に入れ、使っていた可能性はある」


 このアンディの分析には「なるほど」とディーンが頷き、「では錬金術師ロバート氏の石棺を、もう少し調べてみるか」と尋ねると……。


「錬金術師ロバート、錬金術師ロバート……あっ!」


 アンディが叫び、「どうした、アンディ!」と驚いて飛び跳ねたパールが問い掛ける。


「思い出したぞ。錬金術師ロバート・ハート。彼はメビウス・リングを作ったことで知られる錬金術師だ」


「「「「メビウス・リング!?」」」」


 アンディ以外の声が揃う。


「そうだよ。メビウス・リング。魔術師の魔法を無限に重ね掛けできる、錬金術で作られた指輪だ。その指輪をつければ、ただの人間でも魔法を使えるようになる。何が便利って、呪文を覚えなくても、指輪をつけている人間が必要とする魔法が、勝手に発動してくれると言われていた。それに使い魔だって使役できると」


「アンディ、そんな有名な指輪なら、人間でも知っているのでは!?」


「うん。それが本人はそのメビウス・リングを作ったと主張したけど、実物が紛失しているんだよ。実証実験は一度行われている。でも量産もできず、唯一無二で一つしか錬金することができなかった。だがその一つが失われている」


 これにはアンディ以外が「「「「えええっ」」」」と脱力する。


「ロバートの死因、『飲酒して冬の川に落ちて死亡』って書かれていただろう。酒飲みだったんだよ。本人曰く、『酔っぱらってどこかに、メビウス・リングを落とした』って」


 つまりロバートは実に残念な錬金術師だったということだ。


 残念過ぎる錬金術師と、アンディが「王宮付き魔術師としては1、2位を争う天才」と言うマーラン。


 果たして二人にどんなつながりがあるの……?

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