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断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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10:こんな世界をずっと夢見ていた

アンディが湖にむけて魔法を使うと。

湖の中に突然、大きめのガゼボ(東屋)が現れた。

ドーム型の屋根を六本の円柱が支えている。屋根は湖の色を反映したかのように輝くコバルトブルー。柱と床は白い大理石で、夕方の落ち着いた陽射しを受け、キラキラと輝いて見える。


「ナタリー、行こう」


ガゼボに向け、湖の中に飛び石が続いている。アンディはゆっくり私をエスコートし、その飛び石を渡って行く。


ガゼボに到着すると驚いてしまう。そこには楽団がいた。この楽団も魔法で出したのかと思うと、驚いてしまう。


「ダンス、俺は……そこまで上手くないかもしれない。でもせっかくナタリーは素敵なドレスを着ているのだから。踊ろう」


そう言って微笑むアンディは……。本当にヤバイぐらいイケメン。

さっきから心臓のドキドキが止まらない。

一体全体どうしたというのだろう?

急にアンディがイケメン化した理由が分からない。


いや、違う。

アンディは最初からイケメンだった。

美貌のイケメンだと分かっていた。

ただ、ドキドキする対象として見ていなかった。

対価をすぐに要求する鬼畜イケメンと思っていたから、ときめくことがなかったのだ。


それなのに。

今は……。


普通に美貌のイケメン。

だからときめいてしまい……。


「大丈夫、ナタリー?」


大丈夫ではない。

大丈夫ではないですが!!

誘われたダンスをお断りするのは……。


ひとまず頷くと、アンディはダンスをとる体勢にはいる。

その瞬間は。

とても真面目な表情になり……。

そして音楽が始まった瞬間。


思わずダンスを始めることを忘れそうになるぐらいの、綺麗な笑顔になった。

美貌のイケメンのアンディのこの笑顔は……。


そこからはもう……。

なんだか自分がどういう状態か分からなくなった。


アンディは美貌のイケメンで、王子様みたい。

でも自身のことを「咎人みたいな扱いをされている」と評していた。


一方の私は。王太子に自分から婚約破棄を突きつけ、不敬罪に問われ、鞭打ちの上、河に落とされ国外追放されている。


アンディも私も。

訳ありの二人だ。


それが今。アンディは王子様みたいで。私はドレスを着て令嬢を気どり。

魔法で作られた湖の上のガゼボでダンスを楽しんでいる。


本当に。

本当に不思議。


でも、なんでなのかしら。

涙が……突然こぼれ落ちた。


本当は。

こんな世界をずっと夢見ていた。

だって。

大好きな乙女ゲームの世界に。

『愛され姫は誰のもの?』の世界に転生できたのだ。


素敵な男性にエスコートされ、胸をキュンキュンさせ、ダンスを心から楽しみたかった。


でも自分が悪役令嬢だと気づいた10歳から。

寝ても覚めても考えるのは断罪回避のことばかり。

ヒロインの攻略対象はどんなに素敵でも、断罪を言い渡す相手にしか見えず、戦々恐々としていた。胸がときめくなんてない。


とにかく。

回避、回避、回避で。

こんな風に夢のような気持ちでダンスをすることなんてできなかった。


「ナタリー、どうした? 何がダメだった? 俺のダンスが下手過ぎたか?」


気付けば。

楽団は演奏を止め。

アンディが初めて会った時のように、私の頭を自身の胸に抱き寄せている。


「悪くない、アンディは悪くないわ……。むしろ……ありがとう」


「え……!?」


「こんな風なシチュエーションを夢見ていたの。まるで童話のお姫様みたいだわ。こんな湖の中に浮かぶ素敵なガゼボで。アンディみたいな美貌のイケメンとダンスできるなんて。しかもなんの制約や緊張もなく。それが嬉しくて感動していたの」


アンディは覗き込むように私の顔を見た。


「悲しかったり、残念だったりで泣いているわけではないのか。俺とのダンスで……そんな涙が出る程、感動してくれたのか……」


「そう。アンディは自分のこと卑下し過ぎだよ。こんなロマンチックにダンスに誘ってくれたら、感動しちゃうよ」


「そうか……」


そう言ってその瞳を細めると、アンディは心から嬉しいという笑顔になる。


「ナタリーは感動したら笑えばいいのに。笑顔が、とても可愛いのだから」


「!!」


「泣き顔も嫌いじゃないけど、心配になる。何か辛いのか、苦しいのかって。だから感動したら笑おう、ナタリー」


……! そんな風に言われたら。

泣くつもりはないのに。

どうしたって涙が溢れる。


でも笑顔が可愛いと言われたのだから。

なんとか笑おうとして、泣き笑い顔になってしまう。


絶対こんな顔、可愛いわけがない。

なんとかこの中途半端な感情をどうにかしたいと思った私は……。


「もしかして、この対価は高くつくかしら?」

「え!?」


アンディの顔が驚きに変る。そして瞬時に私が言ったことを理解し、首を振る。


「対価なんて要求しない。俺が誘ったんだ。……もう、ナタリーには何も要求しないよ。……多分」


「……なんで、“多分”なの……」


「いや、その……」


なんだかしどろもどろになるアンディが可愛らしく、思わず笑ってしまった。するとアンディはさらに罰が悪そうになり……。


「もう、冗談よ。さすがになんでもかんでも私がお願いして、それをアンディがすべて無償で応える必要はないのだから。“多分”という答えは間違っていないと思うわ。……それよりも。さっき、ダンスが途中になってしまったから。ちゃんと踊りたいわ」


「!! 勿論だよ。……改めて。俺とダンスを踊ろう、ナタリー」

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