抵抗
「わしも虚を突かれたとはいえ、よくあそこまでやったもんじゃ。おぬしとの戦いはわしとしては丁度良いじゃれ合いじゃったが……、あの小娘だけは灸を据えてやらんと気が済まん。わしの角を斬りつけおって……、何年物の角だと思っとるんじゃ。ところで肝心のあやつは……この先じゃな?」
「ま……待て……っ」
カノンのところへ行かせるわけにはいけない……。
今現在他の魔族と戦闘中かもしれないのにこいつまで追加されたら結果はもう目に見えている。
カノンならメメントがここまで追い付いてきた事にも感付いているはずだが、動きが無いという事は向こうでも何かあったのかもしれないし。
「待ってやらん。その様子じゃともはや足止めも出来んじゃろう?」
……ぐうの音も出ない。
タルタロスさんももう完全に委縮してしまっているし……。
「……そうじゃ、よいことを思いついたわ。おぬしを持っていくことにしよう」
「も……持っていく……?」
「おぬしらは好き合っておるんじゃろ?わしはそういうのにも詳しいからのう、見ておれば分かる。そういった奴らは時たま異様な連携能力を発揮したりするもんじゃ。さっきのおぬしらみたいにの。……じゃが逆に互いが互いの弱点になる事も知っておる。御するには丁度良い」
そう言うとメメントはまるでそこらに落ちていた雑巾でも拾うかのように、おもむろに僕の首根っこを鷲掴みにする。
僕にはそれに抵抗する力なんて残ってない。
メメントはそのまま僕を引き摺りながら先へ歩き始めた。
本当に物として扱われている事に憤りを感じもするが、そんな事を抗議したところで何にもならない。
この状態からどうすればいいんだ僕は……。
「まったく、犬に手を噛まれた気分じゃな。じゃれてくる程度じゃったらわしも適当に遊んでやるだけで済んだんじゃがのう」
溜息交じりにそんなことを言う。
何様のつもりだ……とか、もうその程度の恨み節しか出てこない。
実際のところ、これだけの力を持てば俺様状態になってしまうのもさもありなんだ。
いや待て、このまま連れて行かれるって事はヴアルさんの瘴気にどんどん近付いて行くって事になる。
何もしなければ僕は魔物化が発症して血液操作の能力が使えるようになるはずだ。
相手と直接接触しているこの状態なら一撃必殺が狙えるじゃないか。
……問題は何もしないでいる事だが。
メメントの能力を回避するために、僕は現在「ステータスリセット」を常時発動させているが、同時に魔物化もリセットされてしまうからそれを解除する必要がある事が問題だ。
能力で懐柔されては元も子もない。
僕には能力が効かないと諦めていてくれればいいのだが。
はたして実行するべきなのか?
裏目に出た場合のリスクが高すぎるのが重大な問題だ。
魔物化は我を失う可能性があるし、リセットが間に合わなければどうなってしまうか分からない。
しかしそれでも……、やらなきゃこの状況は打開できないか……。
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推しはアルねこです。




