探知
「それにしても遺跡ん中、思ったよか入り組んでて迷子になりそうだな」
「……そうですね、奇襲とかも受けやすいと思うので気を付けててください」
「おうよ」
とはいえ音沙汰が無さすぎる。
カノンたちはまだしも、今のところ敵の1体も現れない。
タルタロスさんが南東方面から索敵魔術を使った時、遺跡の端の方に数体の魔族の影が見えていたのでひとまずはそっち方面から調べているのだが、何者かが居た痕跡はあれど何者も居ない状態だ。
「……皇帝が何体か倒したんじゃないかってのも加味しても、あれで全部倒したってのは考えにくいですよね……。ってか少なくとも1体は取り逃がしてるはずですし……」
「レイの仲間が全部倒しちまったって可能性もあんじゃねぇか?」
「それだとカノンたちが姿を現さない理由が分からないんですよね。少なからず倒していたとしても全部って線は薄いかと……」
「ん~、どこ行っちまったんだろうな?」
本当にどこに行ったんだ……?
今の僕に探知魔法は使えないし、ミザリーさんも習得している魔法は軒並み攻撃系に寄っている。
探知系の魔術はまだ僕には使えないし、探す手段があまりない。
……いや待てよ?
「ミザリーさん、京光刀って武器は武器ですけど、それに付随する光る機能って攻撃としての性能とは関係無いものですよね?」
「言われてみりゃそうだな。今もこうして便利に使ってるわけだし」
気付いてなかったんかい。
「つまりは武器としての体裁を保っていればオプション付け放題って事ですよね?」
「いや……あんまやりすぎっと一瞬で体力持ってかれっから流石に限度はあるからな……?例えば、なんでも斬れて、斬ったやつを燃やして吹き飛ばす、全長30メートルくらいの剣とか作った時は一振りで5日寝込んじまったくらいだ。それっきりあんま派手なやつは出してねぇな」
「ならやろうと思えば瘴気を探知できる武器とかも作れるんじゃないですか?」
「探知なぁ……そういう難しいのはやった事ねぇから分かんねぇなぁ」
ミザリーさんの言う難しいの基準がどの程度なのかがよく分からないなぁ。
僕としては魔法で探知するのはそこまで難しく感じなかったが、そう言えばタルタロスさんは魔術で探知する場合は結構な技術が要るとか言ってたような気がする。
曰く、範囲や対象の取捨選択だったり、制御しなきゃいけないパラメータが多くて術式も難しくなるらしい。
「例えば、近場の瘴気を探知して、その方向に飛んでいく……みたいな魔術を付与した短剣とかは難しいですかね?」
「どうだろうな、光ったり燃やしたりは感覚的に分かりやすいからパッとできんだけどな。要はアリオっちゃんの「珠衝」みたいなもんだろ?いっぺんやってみるっきゃねぇな」
「あぁ、あの地中に居た魔族を一突きにした技ですよね。たしかに地中の魔族を正確に探知しないとできないですよね……」
「探知ってか、魔族目掛けて勝手に矛先が向いて、さらに瘴気だけを貫いて破壊する技らしいぜ?一日に何度も使えない技らしいけど便利すぎんだろって思ったな」
「たしかに……。やりたいことはだいたいそれと同じですね」
「アタシにできる気はしねぇけど、物は試しだな。京光刀消すからちっと暗くなるぜ」
気温が気分屋過ぎていつ衣替えしていいのか分からないですね……。




