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ダンジョンストリーマー!! 〜人気急上昇中のJK配信者はチート級に強い──なぜなら裏方の俺が暗躍しているから〜  作者: 杜 一樹
第4章 ミノブダンジョン

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18/67

18本目 緊急で動画を回しています!レリクスが窃盗に遭いました!!


「はぁっ、はっ……ははっ、やっと、やっと宝具《レリクス》を手に入れたぁ! これで俺も億万長者だぁ!」


「──待て〜……!!」


「ちっ、しつこい女だな。長距離走、市大会準々決勝進出の足と体力を舐めるな──」

『ちょっと今緊急で動画を回してるんですけど、実はわたしのレリクスがこの人に盗まれてしまったんです!』

『おい、スマホをこっちに向けてんじゃねぇ、ってええええぇぇっ!? 何で並走できてんの!? クソッ!!』

『きゃっ!?』


 ……っ!? こいつ……! 振り払うのと同時に、吾妻の顔に手を当てやがった。

 もし顔に傷が付いて、このままじゃ映像に出られないと吾妻が悲しんだらどうするつもりだ。

 彼女を傷付けるってことは、相応の覚悟ができてるだろうな。俺はカメラを持っていない右手で──



『……宝具《レリクス》:黒鷺《くろさぎ》──前進回転《ドライブ》』



 窃盗犯が逃げる先に現れたのは、先程焚き火場所を貸し出してくれた猛李王さん。

 空間に穴が空いたかと錯覚させるほどに漆黒に染まった大剣の面部分を、下から振るい上げるようにして盗人の顔面にぶち当てた。

 男の手から離れたランタンは宙を舞い、そのまま帰って来た犬のように吾妻の周りを嬉しそうに飛ぶ。


「フランちゃんおかえりー! わぁ、オジサン! ありがとう!!」

「………………おう。……転売」


 なるほど、この鼻血を垂れ流しながら伸びている窃盗犯は転売ヤーだったのか。

 宝具《レリクス》は先程も述べた通り、探究省に提出する義務がある。

 だが、それを無視して外へと持ち帰り、宝具《レリクス》を欲しがる者──例えば海外の仲買人《ブローカー》を始めとした悪人に高値で売り捌く。それが転売ヤーだ。


 これがいずれ他国の兵器利用や、テロ組織の道具として使われてしまう。

 そのため国連の議会において、各国からの今なお反発はあるものの、探索者《シーカー》は基本的に日本国籍保持者のみと定められた。

 ありとあらゆる方面から圧力はかけられているが……しかし、猛李王さんのような強者の存在が抑止力となって、ギリギリで世界は均衡を保っている。


 だが、転売ヤーとして高値で雇われた日本人が窃盗・密輸に走る事件が後を絶たない。これは一種の社会問題であり、戦争やテロにも繋がりかねない話だ。


 彼女に襲いかかる脅威はダンジョンの中だけじゃない。

 現実の世界でも、そういった犯罪や悪意を相手取らないといけない。

 それも、人気になればなるほど注目度が上がり、付加価値の付いた彼女の宝具《レリクス》を奪おうとする輩も現れる。


「猛李王さん、取り戻してくれてありがとうございました」


 だからこそ信頼できる人物は多い方が良い。

 前回の来海たち然り、この人には大きな信用と実力が既に備わっている。

 彼はS級探索者(シーカー)だ。

 探索者《シーカー》を分析するオタクが勝手に作った非公式の戦闘力ランキングでは、現役のソロならば1位に名が載るほどの実力者だ。

 大きな鎧を着ても俊敏に動ける筋肉の塊。鉄塊がピンボールのようにダンジョン内を弾き跳ぶみたいに戦う。


「………………」


 無言の返事。

 多くを語らない。

 それが彼の魅力であり、チャンネル登録者数520万人を誇るダンジョンストリーマー。

 これも何かの縁だ。繋がりは持っておいた方がいいだろうと思い、俺(・)が(・)猛李王さんと連絡先を交換した。


「あ、東くん。また暗くなってきちゃったねー」

「そうだな。けれど、宝具《レリクス》のおかげで明るいな」

「おぉ! これで撮影できるね! さっすがわたしのフランちゃん!」


 この宝具《レリクス》は灯としての役割だけでなく、吾妻を照らしてくれる照明も担うことができるから、彼女をより可愛く映像に残せる。光量も色合いも調整できるのは素晴らしい。

 彼女の身を直接守る宝具《レリクス》ではなかったが、撮影には大いに役立ちそうだ。


 そして改めてのエンディング撮影中、猛李王さんが適度な距離を保ちつつ、周囲に目を配らせていたおかげで、こちらも撮影に集中できた。

 改めてDMにて感謝の言葉を伝えたいと思う。

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