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ダンジョンストリーマー!! 〜人気急上昇中のJK配信者はチート級に強い──なぜなら裏方の俺が暗躍しているから〜  作者: 杜 一樹
第4章 ミノブダンジョン

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17本目 【初宝具】わたしの新しい相方を紹介しちゃいます!


「ん〜! 清々《せいせい》した朝だね〜」

「清々《すがすが》しい朝って言いたいのか?」

「それそれー。焚き火もして、美味しいお肉も食べて! いいソロキャンだったね!」


 ソロとは何か。

 歯止めの効かない哲学が正面衝突してきた。


「夜だったのは一時間くらいで外はまだ昼時だ。吾妻さんがライトを壊さなかったらもっと動けてた」

「ちゃんと予備用意しないと〜」

「予備含めて三つ壊されたんだよ」


 ミノブダンジョンが昼夜の入れ替わりが激しいことは事前情報で把握済み。

 だからライトを複数用意したが……やはり予備は最低でも七つはいるな。それに次はヘルメットライトにしよう。


 俺たちは今回、このダンジョンのどこかに眠っているであろう宝具《レリクス》を狙ってきた。

 ダンジョンボスは既に倒されてはいるのでミノブの危険等級はC級と低いが、この特殊な環境下において何かを探し出すのには苦労がいる。

 だが、まだ宝具《レリクス》を手にしてない吾妻のためにも、そろそろ彼女を護れる何かが欲しい。

 宝具《レリクス》はダンジョンストリーマーの個性ともなるわけなので、登録者を増やす役にも立つし。


 それに、「ちょっと遠いとこ行ってみたい!」と吾妻が駄々をこねたので、ギリギリで日帰りできそうな山梨県身延町までわざわざやってきたのだ。

 始発でここまでやって来たが、今日中に帰れるとは思っていない。宿泊する覚悟はできている。

 一応、男女での泊まり。吾妻に対して家族に許可をしっかり取るように言ったが、即OK貰ったという。

 本当かは定かではないが……。


「じゃあ、さっさと撮影するか」

「おっけ!」


 吾妻は何でもかんでも考えずに即答するが、やはり許可貰ってないんじゃないか、こいつ……。




『──こんマイリー♪ 今日はミノブダンジョンでレリクスを探していくよ! それではマイリます! いやー、暗くなる前に探さないとね、あ、見つけた!!』


 撮影開始して15秒。

 吾妻は近くに落ちていた白いランタンを拾い上げた。


[それが宝具《レリクス》?]


 あとで俺の音声だけ抜いて、それっぽいテロップを入れる技術を習得したので、吾妻とは言葉が被らなければ短い言葉で会話ができる。


『うん! わたしの勘がそう言っているね。じゃあ、さっそくつけてみましょう!』


 もしこれが罠ならば止めるが、危険が孕んでいる気配は感じない。

 吾妻が下部に付いているダイヤルを回すと火が付き……それが宙に浮き出した。


『ほらぁ! わぁ、キレイ……蛍みたい! よし、なんて名前にしよっかな〜』


 宝具《レリクス》は第一発見者が名付けることとなっている。

 一度は探究省《たんきゅうしょう》に提出しなければならないが、調査が終わり問題がなければ返却されて、名付けた名と共に宝具《レリクス》リストに記載される。

 ネーミングセンス皆無の吾妻。

 一生残る名だぞ、なんて宣言するのか固唾を飲んで見守った。


『よし! ファイヤーフランタンにする! ぱっと見蛍っぽいでしょー? 蛍のファイヤーフライに、火のランタンを足して、ファイヤーフランタン!』


 今日はまだマシなネーミングだったか。

 蛍の英単語を知っているからと、自慢げにカメラ前で話す吾妻。火はカタカナでファイアと書く方が……まぁどうでもいいか。

 そんなことよりもだ。


 尺。


 尺がない。

 動画を締めるには明らかに早すぎる。

 これが最善の宝具《レリクス》か、そもそも宝具《レリクス》かも判断できないから続けてもいいが、この先も撮れ高があるとは確証がないからな……いつも気にすることだが。


『みてみてー! ついてくるよー! かわいい〜!!』


 追尾性のあるランタンなので、ライトを壊す吾妻にとって都合が良い。その上で頑丈な宝具《レリクス》ならばとても心強い。

 暗闇から彼女のことを守ってくれるはず。


 もう今日はショート動画でいいか。

 再生回数だけは取りやすいから、名前も広がりやすいしな。


『うわー! 一生ついてくるー!?』


 即獲得からの宝具《レリクス》に弄ばれるマイマイのショート動画で投稿することを決めた。

 初の宝具《レリクス》をあえてショートで終わらせるのも、逆張り感あっていいだろ。本当に動画素材ないだけだが。


 それに今から帰れば終電までには帰宅できそうだ。女の子を外泊させるのは各方面に気が引けるし……。

 俺は動画をいい感じに締めるよう吾妻にハンドサインを送る。


『それじゃあ、今日の動画はここまでです! おつマイうわっ!?』


 挨拶しようとしたところ何者かが近付いてくるのを察知したので、吾妻の手をこちらに引く。

 彼女が元いたところを男が通過し、そのまま走り去って行った。


『もう、撮影中だったのにー! なんだったんだろ、わたしのファンかな!』

[宝具《レリクス》ないぞ]

『えぇっ!? わたしのフランちゃんが!?』


 宝具《レリクス》のことをもうニックネームで呼んでいる。お掃除ロボットがペットみたく感じるあれと同じだろうか。

 とにかくさっき通り過ぎていった奴の腹部には、あのランタンが抱えられている。


『盗まれた! まてー! ドロボー!!』


 迷わず追いかける吾妻の後を、撮影しながら追う。

 どうやら撮れ高ができそうだ。


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