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ダンジョンストリーマー!! 〜人気急上昇中のJK配信者はチート級に強い──なぜなら裏方の俺が暗躍しているから〜  作者: 杜 一樹
第21章 ドウゴダンジョン

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140本目 あけマイリー!ことよろマイマイー!


「葵お嬢様!」


 来海の付き人たちも俺に遅れて合流した。

 途中で舞梨に危機に迫ったことに気付いた俺は、死来能力:〝剽窃《オマージュ》〟で辺りのお湯を自分の武器として高水圧の推進力で飛んできたせいで、彼らを置いてきてしまったが、さすがに早いな。


「優見! 爺やに蝶野まで……また、心配かけてしまいましたわ。申し訳ありません……」

「葵お嬢様が無事でしたら何よりでございます……!」

「……ありがとう。ただ、白湯華は結局見つけられませんでしたし……」

「ぷへぇっ! もしかしてこれのこと〜?」


 オーデュイが吐き出したのは一輪の白い花。ちょっとぬめっとしている。


「これは……紛うことなき本物の白湯華! ……っ、オーデュイさんが守ってくれた際、瓦礫と一緒に本物が飛んで来ていたのかしら」

「葵ちゃん! これでメイドさんたち治せるよ!」

「えぇ! でも、一輪……」


 白湯華が効果を発揮するのは一輪につき一人のみ。

 三人共怨呪(ダンジョンカース)にかかっているので、当然三つ必要となる。


「でしたら私め以外──」

「優見、君が使いなさい」

「かしこまりました……えっ?」


 鈴鹿がいつものように全肯定したが、すぐに疑問へと変わる。


「蝶野と話し合って決めていた。といっても、耳の聞こえない私と声が出ない彼なら筆談だがね。もし、次に白湯華を手に入れて治せるならば優見、君にしようと」

「で、ですが私めなんかよりお嬢様の声を猪俣様に聴かせたいです。蝶野にはお嬢様と楽しく話し合っていただきたいでございます……私めなんかより……」

「優見。誰かを肯定するばかりで自分を否定する必要はない。もっと自分の気持ちに素直になるといい。それにもちろん私達も治すつもりさ。次の番どうするかはジャンケンで決めましょうか」


 蝶野は答えるリアクションとして腕をブンブン振り回す。

 ジャンケン臨戦体制だ。


「わ、私めが一番若輩者でございますよ……」

「ならば私が長生きする理由ができたわけですな」

「猪俣様、蝶野様……」

「──優見。ぜひあなたに使って欲しいですわ」

「葵お嬢様……かしこまりました。ありがたく頂戴致します」


 来海から手渡された白湯華の花弁をそのまま齧る。

「おぇ、不味いでございます」と鈴鹿は顔をしかめるが、皆は笑った。

 すると、白湯華から純白の色が消える。能力が使われた証だ。

 そして来海は長年閉ざされていた黒い瞳をゆっくりと開く。


「──初めまして……葵お嬢様っ……!!」

「ふふっ、初めてじゃないでしょう優見。さぁ、涙は取ってあげますわ」

「いえ、このままでいさせてください。このまま泣いていたいのです……」


 宝具《レリクス》:侘《わ》び寂《さ》びを掲げた来海だったが、優見の言葉を尊敬して水着の腰紐に挟む。

 彼女たちは抱き締め合い、わんわんと泣いて喜びあった。

「ゆ、優見が初めて否定した!?」と猪俣と蝶野は衝撃を受けていた。



「ふぇぇ、葵嬢良かったね〜!!」

「だねー! ん? 亮くん考え事ー?」


 貰い泣きするオーデュイに同調した舞梨だったが、俺が素直に喜んでいないことに気付く。


「あぁ。宝具《レリクス》に同じものはないと言われているが、何故白湯華だけは複数存在するのかを考えていた」

「んー。見つかりやすいお花だからかな? まぁ、貰ったら嬉しいじゃん! 1本だけじゃなくて、いっぱいの方がもっと嬉しいよね! フラワーシャワーとかしてさ!」


 新郎新婦を祝福する演出だな。

 花にはこうして誰かに気持ちを伝える意味があって……あ、そういうことか。


 白湯華は──白い百合の花の形をしている。

 白百合の花言葉の一つに〝死者に捧げる花〟という意味がある。

 ある都市伝説NewTuberが──まぁ浦山好奇なのだが──とある考察動画をハロウィンにアップロードしていた。

 俺たち模倣者《イミテーター》が死者ならば、現代の物が多い宝具《レリクス》は遺品ではないかと。


 お見舞いに行く時にも、事故現場に供えられるように、葬式に献花されるように……生命溢れる花が死を吸い取ってくれないかと願いを込めて。

 だから、白湯華だけは多数存在し、今も宝具《レリクス》として度々生まれるのかもしれない。

 白湯華は誰かが死んだ証なんだ。





『──アオイちゃん! もうすぐだよ!』

『えぇ……! それでは視聴者の皆さんもカウントダウンご一緒にお願いいたしますわ!』


 無事に年越し生配信に間に合った。

 撮影許可の下りた高級旅館の一室で、浴衣に身を包んだ舞梨と来海は年越し10秒前から両手指を立てる。

 カメラ裏ではオーデュイと鈴鹿の女性陣のみ声を出して参加する。俺たち男性陣は指だけでの参加。


『ごー! よん!』

『三、二』

『『1!! あけましておめでとうございます!!』』


 カメラの向こうにいる約1200万人と共に、無事新年を迎えることができた。

 去年は舞梨との関係性が大きく変わる、激動の一年だったと言っていい。

 さて、今年は何が起きるのか。


『今年もよろしくね!!』


 彼女の言葉に俺は大きく頷いた。



   ◇ ◇ ◇



「よしっ! いい写真撮れたな〜。新年早々ワタシのスクープが世間を騒がせるんだ……! タイトルはそう『人気ダンジョンストリーマーのマイマイがダンジョンでスタッフとイチャラブデートか!?』だ! よしっ! これは売れるっ!! よぉしっ!!」


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