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ダンジョンストリーマー!! 〜人気急上昇中のJK配信者はチート級に強い──なぜなら裏方の俺が暗躍しているから〜  作者: 杜 一樹
第18章 【期間限定】クリスマスダンジョン

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131本目 配信遅れます!許してね!!!


「──確かに〜ソウシたちと同じSS級なのに、固有の能力ないよね〜。でもさー、別にない方が弱いままでよくなーい? 先生の目的のためにはあれは邪魔なんでしょ?」

「構わない。知れるのならば、私は私が今後不利になることも厭わない。それよりも気になるのさ、愛のために手に入れた死来能力《チカラ》。彼の心の強さと弱(・)さ(・)をね」



   ◇ ◇ ◇



 ──俺は……右手が届く場所にある、縦に繋がる金属の持ち手をそっと抜き出すと、銀の剣へと変化させた。

 敵が武器を手にしたことで危機感を得たのか、女が走り出す。

 すぐさま俺は左手で床を叩くと、この車両にある全ての吊り革が手足に輪を通すか紐部分で巻き付くかして、女を磔にして動きを奪う。


「…………っ!?」

「……はぁ、はぁっ……悪いな。これからクリスマスデート、なんだ……死んでる暇はもうないんだよ」


 生み出した剣で彼女の首筋を斬った。



   **



 ……足取りが覚束ない。

 血を流し過ぎた。昔ならここまで疲れないが……新しいこの能力のせいか。

 宝具《レリクス》使用を除き、一部模倣者(イミテーター)には生来する能力がある。いや、あ(・)い(・)つ(・)の言葉を借りる通り、死して得られるものだから死来《しらい》能力か。

 触れたものを我が物とする力──〝剽窃《オマージュ》〟といったところか。

 俺にも芽生えることがあるとは……まだ自身についても分からないことばかりだが、急襲してきたあの女も最後までよく分からなかった。


「この世の全てを自分の思い通りにできたらよ。やりたいと思ったことは何でもできるからな。その力があれば舞梨をどんな脅威からも守れるぞ!!」


 ヨナグニダンジョンで吾妻大悟とそんな会話もしたか……まぁ、今更必要もない……。

 既に俺の顔や模倣者《イミテーター》であることは世間にバレている。大事になる前に吾妻の元から退かなければ……。


 あの女を倒した時、撮影している人間もいたので、生首が落ちるシーンにならないようだけ考慮して、まだ支配下にある吊り革で落ちないよう支えた。

 決着を付けた時に乗っていた電車の運転手と車掌は通常の人間だったので、次の駅にはすぐ止まった。戦闘に巻き込まれた運転手はかろうじて軽傷に留まった。

 通報を受けて来た警察や医療従事者、そして探求省の人間に場を任せた。


「ラブリはあまりこういう現場好きじゃないんだけどな〜。遠くから見てたいんだけど〜」


 武具《ギア》:会射定離《えしゃじょうり》

 弓道で使用される弓に魔晶石《アルカネストーン》が組み込まれた武具《ギア》。どれだけ離れた場所であっても何かに当たるまでは勢いが衰えず矢は飛び続ける。

 それを所有する仲嶺愛莉《なかみね らぶり》は愚痴を溢していた。……一人で歩いているところは初めて見たな。


「あ、模倣者《イミテーター》。弱ってる。撃っていいんだっけ」

「やめてくれ」

「冗談だよ〜」

「……いつもの兄がいないが、喧嘩でもしたのか?」

「ううん。別にしてないけど。あ、お兄ちゃんいないと何もできないと思ってたでしょ? 別にラブリは一人でできるよ。お兄ちゃんが過保護なだけだったもん」


 確かにこうして直接話せることすら初めてだ。意外と冗談も言うような人だったんだな。

 座り込む俺とさほど目線が変わらないほど背が低い仲嶺妹だが、若くても数年前には成人しているし当然か……。


「今のラブリはね、色々と忙しいの……! ……強い模倣者《イミテーター》がいるからって期待して来たけどいないし、冷めちゃった。ハートは熱いけど!」


 よく分からんが、完全に兄離れして独り立ちできているようだ。

 ……兄離れか……。


 事情聴取も経て、事件も死人も出るほどに大きかったため、解放されたのは夜遅くになってからだった。

 寧ろ帰してくれると思わなかったが、戦闘の経緯もこの後の予定も知っている佐藤探索官や、探求省のトップである武崎に貸し付けてきた信頼があるが故の恩赦だろう。

 さらには利子として、着替えまで用意してもらった。


 電車をはじめとした交通機関も、事件の余波を受け大きく乱れている。

 まだ走った方が早いと思ったが……傷の治りが遅い。


 吾妻たちのクリスマス生配信も日が暮れる前にはとっくに終わっている。松實と生野が夜になれば人格が変わって厄介だからだ。

 約束の20時などはとうの昔。日付が変わる直前となってしまった。

 余裕を持って告白の返事を持って来たかったが、そんな猶予などない。


 遅刻の連絡はできたからしたが、まだ待ってくれてるかどうか……いや、彼女ならずっと待ってくれる。


 待ち合わせ場所、それは──


「あっ! 亮くん! も〜遅刻だよ〜、クリスマス終わっちゃうー。いつもは朝早いのに、もしかして夜苦手?」


 ……自身の机に座って、足をパタパタさせながら待っていた吾妻。

 生配信の時と姿が違う。彼女もまた着替えたか。


「ごめん、待たせた」

「いいのいいの! いつもわたしが待たせてばかりだし、これでチャラってことで!」

「……いいよ」

「いいんだ!? ふふん、ラッキ〜♪」


 鼻歌混じりに喜ぶ吾妻。

 とてもじゃないが、俺の手から零れ落ちてしまった命に触れることは彼女にはできない。


「……ここから始まったんだよねー。わたしが亮くんをバディとして誘った場所!」


 彩成《さいせい》高校。2年2組の教室。

 俺たちが毎日通うこの教室で……今夜、今の関係を終わらせる。


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