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ダンジョンストリーマー!! 〜人気急上昇中のJK配信者はチート級に強い──なぜなら裏方の俺が暗躍しているから〜  作者: 杜 一樹
第18章 【期間限定】クリスマスダンジョン

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120本目 イマドキ高校生の恋愛事情って衝撃的!?


「──えへへ〜、いやぁ〜そんなに褒めても何も出ないよ〜」


 今日も今日とて学校中から、お弁当を食べる暇もないほどに賞賛される吾妻。

 世間で話題が上がる度にチヤホヤされているが、飽きもせず彼女は素直に受け止める。


「うぇへへ〜」


 現在チャンネル登録者数2026万とんで216人──もう吾妻は四皇に加えて〝五皇〟だとか。次世代の四皇だとかで、ネット上で持て囃されまくっている。


「クリスマス配信楽しみ!」「全部リアタイする!」「先生の給料、全て赤スパするから……!」


 次の日曜日はクリスマスイブ。

 この日の夜は、いつもの仲良いメンバーと共にクリスマス生配信を行う予定だ。

 完全女子会とするので、スタッフは庭白と鈴鹿、オーデュイのみで参加する。


「わー! ありがとうー!」


 ニパァー! と笑顔で答える吾妻。

 その推しの顔にみんな多種多様な喜びを見せる。てか、教師が生徒に振り込むな。吾妻も止《と》めろ。



「ちょっと東、こっち来て」


 廊下から金子が俺を手招きした。

 NewTubeFestで気を失ったようだが、よく生きて帰って来れたな。


「金子さんは吾妻の元に行かなくていいのか?」

「私はあんなミーハーたちと一緒にしないで。私だけが舞梨の魅力を分かってるから。わざわざ近くで騒いだりしないの」


 ライブ中、後方で彼氏ヅラする厄介ファンかよ。

 まぁ、事実彼女が一番吾妻と交友関係が長いし、切り抜きマイマイとしてマイマイの活躍や可愛さを最大限に広報している人物だ。

 彼女のチャンネルも登録者数600万人を超えた。切り抜きチャンネルとしては驚異的な数字だ。


「それで、何で俺を呼んだ」


「はぁ……」と金子は大きく溜息を吐く。


「……何だよ」

「ほんと視野狭いわね。舞梨しか見てなさすぎ。危機管理能力が何もない」


 誰が言ってんだ。


「少し前、私が舞梨の親友だからって理由で恋愛相談されたのよ」

「恋愛相談?」

「ええ。さっきも聞こえてきたし、まだその話で盛り上がってるはずよ。付いてきて。口を開くな」


 強い言葉で金子は一緒に来るよう命令する。

 連れてかれたのは、以前はよく会議場所として使用していた屋上入口に向かう階段だった。

 上から男らの話し声が聴こえる。


「──だから僕はね、決めたんだ。……吾妻さんに告白する」


 っ、告白だと……!? 

 そりゃ吾妻は可愛いし、今の人気ぶりからは引く手数多なのは間違いない。

 ただ、その気を起こした人はもれなく理(・)由(・)を付けて、諦めさせてきたはずだった。


 ……あぁ、そうか。

 最近忙し過ぎて、吾妻だけでなく俺も登校できていないから、情報が一切入って来ず、この事態にまで発展してしまったのか。


「向井《むかい》なら行けるっしょ。だって、昔からマイマイのファンだもんな」


 告白しようと策略しているのは、向井裕人《むかい ひろと》──マイマイ古参勢の一人〝hiroto〟だ。

 以前、他の友達と一緒にスタッフを志望してきたことがあったが、やはりそれが狙いだったか。

 かわいいーしか語彙力なく、スパチャもしない奴なんかに吾妻を渡してたまるか……!


「お前モテモテだし、マイマイ行くなら誰かを恵んでくれよ〜」

「あはは、別にモテないよ」

「嫌味かよー」

「だって、たった一人の好きな人に好かれなきゃ意味ないからね」

「「ふぅー!!」」

「モテ男はやっぱ違うねー!」

「やめてくれよ……!」


 ……そう、ただ一つ心配な点は、実は彼が学校一モテる男であることだ。向井に告白した人は数知れず。

 勉強も運動も優秀で、容姿も認めたくないがカッコいい部類に入るだろう。

 優しく気配り上手でさらには生徒会長……だからこそ、褒められただけでデレデレするチョロい吾妻なら、言葉を並び立てられるだけでイチコロだろう。

 それに彼は、最序盤に吾妻の魅力に気付いていた人物だ。


「向井ってさー、マイマイファンクラブの創設者だよなー」

「え……あ、あぁ。うん。そうだよ」

「いいのかよ、好きな人のファンクラブ作るとか。もう会員数1万人近いんだろ?」


 そういえばそんな非公式組織あったな。他にもファンクラブの存在を確認しているが、向井の作ったものの規模が最大だ。

 ちなみに金子はファンクラブに入らない。独占欲強いから。


「まぁ、彼女の魅力を伝えることこそ、彼女のためだからね」

「お、もう彼女呼びかよ、おぃ〜」

「まだ代名詞だよ」

「まだだってよ〜……けど、東だっけ? あいつ編集とかでマイマイと距離近いだろ? その二人がもう付き合ってるってことないか?」


 一人の男が、弁当のおかずをくちゃくちゃと音をたてて食べながら、疑問を呈した。

 それを別に注意することなく向井はこう答えた。


「んー、別に問題視してないかな。だって前聞いた時、吾妻さんに興味ないからスタッフとして働かせてもらえてるって言ってたし。だから大丈夫だよ」


 ……何だろうな。

 男同士の会話なら全然ある話だし、特段としておかしなことを言ってはないが、今すぐに会話を中断させて一発ブン殴りたいと個人的に思った。

 別に理由があるわけではないが……。


 一通り事態を把握した俺は、金子に「もう大丈夫だ」と小声で伝え、移動する。こちらも作戦会議だ。


「これで分かったでしょ。今、舞梨には魔の手が迫ってるのよ!」

「……あの手の男なら、腐るほどいる」

「でも舞梨はチョロいのよ? このままじゃあんな男に奪われちゃう。私からしたらあんな奴、はぁ? って感じ。舞梨に相応しくない。狙った時点で極刑よ、極刑」


 かなり私情を挟んでいるが……俺も同意見だ。


「いい? 男の中でも一番マシ。ほんと、土下座したらギリギリ私が許さないでもない人は……東──あなただけよ。あなたはずっと舞梨を守ってきた。イズモダンジョンから時間をかけてでも連れて帰ってきたし、アキハバラでの時だってそう」

「スタッフだから当然のことをしたまでだ」

「何、バカなの? そんな頭悪かったっけ?」

「さっきから何が言いたいんだ」

「舞梨が何であんなカメラ前で可愛いか分かる? 何であんなにニコニコなのか知ってる? 別に舞梨はプロだからとかじゃない──あなたが撮ってくれるから、あの子は笑ってられるのよ」

「……っ」

「舞梨はレンズに笑いかけていない。ずっとあなたを見ているの。何千回映像を私は観たと思ってるの。切り抜きしていたら嫌でも気付くわよ」


 ……彼女自身に魅力と才能があるならば、こっそり一人でやっていた時代に登録者数はもっと伸びていたはず。

 確かに今までも、彼女と目が合うことは多かった。

 その度に俺は──


「私は、舞梨のいいところをいっぱい見つけられる。でも東は、私が見たことない舞梨をたくさん引き出してくれる。嫉妬するけど感謝してる。だからこそ……あなたももっとちゃんと舞梨を見てあげて。このままじゃ、本当に他の男に取られるわよ」


 彼女が幸せなら、いずれ誰と付き合うとも別によかった。

 けど、それは誰かじゃなくても──


「……俺が幸せにしてもいいのか」

「調子乗んな」


 突然、金子はビンタしてきた。


「あ、はい」

「でも、私は別にあなたは止めはしない。調子に乗って迎えに行きなさいよ」


 すると、向井らが教室に戻るためかこちらに歩いて来た。

 彼は俺を視界に捉えると、ほくそ笑んだような表情を浮かべる。


「吾妻さんは、僕が貰うね」


 すれ違いざまにそれだけ言って、彼は去る。


「……今の聞いた?」

「ああ……絶対許さん。あいつがその気なら、俺も本気で立ち向かってやるさ。彼女に手を出そうとしたことを後悔させてやる」


 吾妻の知らぬところで、聖夜決戦が行われようとしていた。



   ◇ ◇ ◇



「……あの、上手く行ったと思います。ソウシ様」


 放課後、震える足を無理やり動かし、向井が訪れたのはとある廃教会。

 半壊した巨大な十字架の前に堂々と座るのはSS級模倣者(イミテーター)──天原ソウシ。両脇にはイラミィとミッチーもいる。

 さらに長椅子には多くの人間が怯えながら座っていた。


「ご苦労さま〜──じゃ、始めちゃいますか。マイマイのラブラブ大作戦♡ みんな、マイマイのためなら命、賭けれるよね!?」


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