あれから2年…。
あの戦いから2年が過ぎた。
ピオニーは国を纏める立派な指揮者であり、同時に識者でもあった。
彼の的確な導きにより、国民達は【神聖ヴァルホン王国】として、ヘージを国王とした国を形成していった。しかし、ヘージとサクラの方針で宗教国家ヴォルスの時と基本的な生活水準は変わらない。だが、大きな変化と言えばコレだ。
「ノルズリの工芸品は一見して無骨に見えるが繊細で味がある。余は、この芸術的感覚を世の中に広めたいのだ」
ソアがそんな事を言いながらフォール教会の中に持ち込んだ不思議な造形の壺を見つめていた
ソアがヘージたちと共に行動するにあたり、軍事国家ノルズリの王であるソアの意向によりノルズリは、神聖ヴァルホン王国に統合されたのだ。
その結果、人の往来は盛んになり文化の交流も進んだ。
余談だが、かつてヴァルホン王国を滅ぼしたのはノルズリだ。しかし、ソアではない。前王の独断だった。
ヴァルホン王国はヴォルスの北、ノルズリとの間に当時は国として存在していた。ヴォルスは国の体裁をとっていたが、当時はまだヴァルホン王国の影響力が残っていたため王国滅亡の際にヘージとサクラはヴォルスのピオニーに仕えるセリアに匿われた。
再誕の神殿があの位置にあったのはヴァルホンが大陸統一国家時代の名残だ。そしてそれを隠蔽する為にさらに東にヴォルスの領地に属さない集落を作った。ガリアの町から東へ道なりにさえ行けば集落がある。ならば結界の事もあるが誰も脇道の神殿に気が付かない。ヘージとサクラのいたのは、その布石の集落だった。
「まったく。これから魔王を倒しに行くってヤツが何してんだ。ソレは置いていけよ」
教会の品である壺を持ち去ろうとしていたソアにシェイブが呆れながら注意する。
シェイブたちヘージ一行は、ルインとの異次元の戦いを繰り広げていたせいか、最初は神と言う存在にどう接していいのか
わからかったが、サクラもヘージも異 次元の存在だと思い出したらどうでもよくなった。
「いよいよなのよね」
「ヘージとサクラとマリーはピオニー様と一緒に広間にいるわ。何か大切な話があるみたいだから皆も来て」
アリアとセリア、それにスノリェが後ろから現れて全員集合を促す
明日、魔王討伐に向けてこの町を出て行く予定だ。その最終確認だろう。5人は広間に向かった。
「みんな揃ったようだね」
広間にはヘージ、サクラ、マリー、ピオニー、それにベンダーがいた。
ベンダーとピオニーは共に三司祭としてヴォルスの政治を行っている。2人になってしまったが関係は変わらない。ブローズがいない今も共に対等であり続けた。
ピオニーが全員いる事を確認してから話し始める。
「ヴォルスとノルズリの内政も落ち着き、数日前に南の海洋国家フィアラルも神聖ヴァルホン王国に属した。あくまで国として統合した形を取るだけと言う条件付きだが、それでも大陸統一国家として神聖ヴァルホン王国がまとまった形だ」
ここ迄は周知の事実だ。この大陸にある三ヶ国でバランスを取れていたのが二カ国になったのだ。事実を重く受け止めたフィアラルの国王は、現体制を維持しながら属国になる事を選んだ。ヘージたちとしても異論は無く話がまとまったのだ。
「西の大陸に渡る為にフィアラルに船を用意させた。いつでも出航出来るそうだ」
「魔王なんてヘージがぶっ殺してくれるのよね」
準備が整った事を知り、アリアがヘージを見ながら軽く言ってくる。
しかし、ピオニーの話はまだ終わらない
「魔王討伐に向かう前に行って欲しい場所がある。2年前の【破滅の天魔王】ルインとの戦いでの一幕の後、『ルインの言っていた事が本当なら彼らは大罪人だぞ!』と、ベンダーに詰め寄られてね。その時は落ち着いて話を聞いてくれなさそうだったのではぐらかしたが、その理由から話そう」
ベンダーはバツ悪そうに頭を書きながら、そんなことも言ったな。と思い出す。
ピオニーに殴られて意識を失っていたベンダーは、戦闘の後にピオニーから事の経緯を聞いた。魔王が生まれた原因がヘージとサクラにあると知ると2人を殺すべきだと言い出したのだが、魔王システム自体がこの国の根底と結びついているとピオニーから教えられた。これは大司祭と巫女のみの知る事実らしい。ピオニーだけが大司祭から受け継いだ事実だ。
「あの時は、時が来たら話すと言っていたな。それが今か?」
「ああ。ヘージ、君の過去にも関係ある事だ。聞いてくれ」
ベンダーがあの時の続きか確認をし、ピオニーが応える。そして過去を話し始めた。
勇者を召喚した八神平次のその後を




