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勇者でさえ歯車の一部なら  作者: たっきゅん
女神再臨編
39/81

対等の契り

「遅かったな。ピオニー」


「ブローズっ!貴様っ!!」

開け放たれた扉の先には周りには男女関係なく血を流して倒れている修道士たち


ブローズ司祭は振り返る


その手には血塗られた燭台(しょくだい)が握られていた。


「ブローズ司祭っ!貴方にも魔が宿っていたのは知っています。それでも…、司祭ともあろう者が何故っ!」

悲痛な想いでマリーが(うった)える


ブローズはマリーと向き合い不快感を露わにする。

「お前に宿った低級魔族と一緒にするな」


明らかにブローズではないと言った物言い


「もうお前はブローズではないということだな…」

ピオニーが俯いて低い声で決定付けた。


---


ピオニーは、ブローズとベンダーの2人を友と思っていた。

共に修道士時代を過ごし、笑い合った日々が脳裏を過ぎる


ピオニーが先に司祭になった時も、2人は茶化しながら祝福してくれた。


それから間も無くしてベンダーが司祭になり、後を追うようにブローズも司祭となった。


ブローズの司祭就任の際、一つの契りを結んだ。


「「「どんな時も3人は対等であり、誰かが道を踏み外した時は2人が道を正そう」」」



本来は1人の大司祭が国を纏めるのだが、ピオニーは前大司祭からの大司祭への就任の話を蹴った


「僕が道を間違えた時はどうするんですか!お断りします!!」


「「お前はバカかっ!!」

それを聞いていたブローズとベンダーは、ピオニーをこっ酷く叱った


内心嬉しかった。

この2人は僻みもせずに、ピオニーの大司祭への就任を祝おうとしていたのだ。


大司祭はそれを物陰で聞いてしまう。それから大司祭はピオニーを大司祭にする事はなかったが、後任を決める事もしなかった


大司祭の職務が全うできなくなった時、大司祭はこう宣言した。


「ピオニー、ブローズ、ベンダー。この三名を司祭の座に残し、残りの司祭は準司祭として扱う。なお、最終決定権はピオニーに委ねる」


当然、反対意見が上がった

しかし大司祭の一言が彼らを黙らせた。


「貴様らに本気で叱ってくれる対等な者がおるか?道を踏み外した時に正してくれる友がいる者は名乗りを上げよ」


他の司祭たちは黙り込む。

上に行く為に周りを蹴落とし、今の地位を手に入れた。

いずれは自分が大司祭になるんだ。と、椅子は一つしかない。そう信じて生きてきたのだ


故に、彼らには自分と対等な者はいない


「いないようだな。この3名を三司祭とし、この国を託す。巫女さまと、この国を頼んだぞ」


三司祭となった後も3人の関係は変わらない


今日まで、そうやってやってきたのだ。


---


3人だった時の思い出が蘇る


ピオニーの目元に涙が浮かんだが、それを腕で振り払う


そして目の前の魔族に問う


「お前は何者だ。答えろ」


もうブローズはいない。

けれど、彼が道を踏み外しているなら自分の手で弔ってやらなければならない




「オレは魔王ルイン。世界を一つ滅ぼした魔王だ」



その相手が魔王になろうとも

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