氷狼
転移で氷狼をお部屋リゾートに連れていく。
「ここがナツ殿の屋敷か。なんと広い屋敷だ」
「悪いがまだ戦闘中のエリアがあるんだ。ちょっと様子を見てくるからここでアキと休んでてもらえるか?」
「あいわかった」
アキはまだ機嫌を直してないが留守番は仕方ないといった感じで了承してくれた。
まだ歪んでるからだな。
そこらへんはきちんとしてる。
モンモニの共有アナウンスによると戦闘中なのは……長野と栃木か。
長野がかなり山奥でキツいって言ってるな。
そっちから回るか。
転移で長野へ。
マップで見ると半分くらいは倒せているようだ。
こちらにケガ人はいない。
「こちらナツ。これから参戦する。1分後にゾンビを中央に強制転移するから広く空けてくれ! 目印に炎撃をひとつ撃ち込む」
「「「「了解!(ラジャー!)」」」」
ここはアメリカからの応援部隊がいるエリアだったな。
お礼に派手なのを披露するか。
マップで付近に人がいないことを確認して魔法を撃ち込む。
「炎柱!」
同時に遥か高くまで激しい炎の柱が立ち昇る。
1分後、マッピングしたゾンビを強制転移で放り込む。
一瞬でゾンビは焼失した。
マップを広げても赤点はない。
「オレは次に行く。すまんが撤収作業は任せる」
「福田です! 支援ありがとうございました!」
「こんなエグい山中で半数撃破はさすが福田さんですよ! いってきます!」
急いで栃木に飛んだがすでに師匠が参戦済みですべて片付いていた。
「おうナツ! 正体不明はどうだった」
「奴隷化の魔法で操られていた神獣でした。解放して今はアキとお部屋リゾートで待ってくれてます」
「ほう、神獣か! 早く見に行こう!」
残りのエリアは問題さなそうだ。
あとは自衛隊に任せて部屋へ転移する。
そこには氷狼とじゃれて遊んでいるアキとナビィがいた。
「あ、ナツくんお帰り」
「おかえりー♪」
「何やってんの?」
「氷狼ちゃん凄いのよ!投げたもの全部一瞬で凍らせてちゃうの!」
プールには氷漬けになったフルーツがぷかぷか浮いていた。
「食べ物で遊んじゃダメだ」
「食べるんだよー♪」
「果汁100%のかき氷大会やるわよ!」
なぬ? それはいい!
――――――――
みんなでかき氷を食べながら今日の戦果について話を聞く。
「いつもより時間はかかったが全地区殲滅だ。怪我人もなし。みんなお疲れ様でした。ありがとう」
家町総理が労いの言葉をくれた。
氷メロンを食べながら。
「やはりマッピングからの一撃殲滅ができるのは凄まじいな。早くアメリカ側でもそこまで覚醒させねばな」
カーター大統領が真面目な顔で話している。
氷イチゴをかじりながらだけど。
三賢者もなにやらかっこいいことを言っていたが、リンゴ、ブドウ、オレンジを食べながらだからなんか締まらないぞ。
果実氷の準備をしていたひかりさんが席についたところでまずは氷狼の紹介だ。
「みんな、改めて、氷狼さんだ」
「ナツ殿のお仲間の方々、氷狼である。今日、300年ぶりに従属の呪いを解いていただいた。心より感謝してるぞ」
一人ずつ紹介して挨拶をしていく。
「ふむ、それにしてもナツ殿のお仲間はなかなか凄い力を持っておるな」
「やっぱりそうなんだ」
「ここまで強き者が揃ったチームとは出会ったことがない。手合わせを願いたいくらいだ」
「それはやめとこうな」
「む。わかった」
紹介とともにかき氷タイムが終わる。
「魔素の研究は進んでるんですか?」
「魔素自体は存在を把握できたし、数値を測るカウンターも完成してるんだがな。未知の元素だし、どの数値をもって100%なのかなど分かりようがないんだ」
確かにな。
「つまりゾンビが来なくなったら準備完了としか判断はつかないってことだ」
「今回手間取った長野なんかは他と比べて5倍近い数値になってるらしい」
「ゾンビ出現時間から損滅までの経緯と照らし合わせたらそれなりのデータは取れるな」
家町総理と三賢者は覚醒したがもちろん戦闘タイプではない。
後方バックアップの能力が発現していた。
今の歪みのペースは2日に一回だ。
でもモンモニも今では遅くとも4日前には反応するので事前対応は万全。
いまだにモンスターバレはしていない。
「いずれは毎日歪みは起きることになる。だましだまし対応するのも無理がある」
「そろそろ自衛隊と警察には全てを開示しなければいけないかもな」
「となると一般への解禁も覚悟の上だ」
「未知の危険生物か」
「ゾンビから切り替わったタイミングをどう見るかだな」
そしてほどなくしてモンモニが5日後のアラートを発する。
大半がゾンビであったが、一部のエリアに違う反応が混じっていた。
「新種が来たぞ。反応は魔狼、ゴブリン、オークだ」
対策は決めていた。
まずは包囲だ。
過去データに沿うなら、おそらくは意思疎通は取れない。
つまりは殲滅対象だが、念のため一度オレが対話を試みることになっている。
然るべき判断の後、対処だ。
岩手が魔狼。
長崎にゴブリン。
岡山にオーク。
「長崎は観光地ど真ん中か。テロ対応で人払いだな」
「岡山も山だな。このままで大丈夫だろう。ゾンビエリアも市街地はあるがそこまで人口の多い街はない。テロを持ち出さずとも、ガス漏れなどで封鎖すればなんとかなるな」
続けてモンスターについて。
「この中なら魔狼が厄介だね。スピードがレベチだよ♪」
そこに氷狼が思いがけないことを提案してきた。
「魔狼の出るエリアには我が出向こう」
「仲間なのに良いのか?」
「我がいれば魔狼は逆らわぬ。配下に加えることができるぞ」
「「「ええーっ」」」
これは先人の時と同じパターンだ。
フェンリルが参戦した戦いではすべての魔狼を従えたと聞いた。
「頼んでいいのか?」
「もちろんだ。この程度、ナツ殿に受けたご恩返しの足しにもならぬよ」
「ありがとう!」
これは面白くなってきた!
魔狼軍団が仲間になればとんでもない戦力になる!




