大成功と大失敗
入ったレストランは大皿形式の料理を出す店でそれないに混雑していた。
「適当にお任せで頼む」
「かしこまりました」
ジュドーさんはこの店によく来るようでメニューさえ見ません。ちなみに結構髪型、服装が乱れているのですが店員さんの誰も突っ込みまない。よくできた店だと小さな感動を覚えていると
「これからラファール号にはファランク王国とエレゲ王国に親書を届けていただきたい」
ジェイドさんが話始めた。しまった。主導権を取られてしまった。内心がっかりしてるとそれに構わず
「こちらはファランク王国のアヌシー伯爵に、こっちはエレゲ王国のブラッドフォード侯爵にお願いします」
「ちょっと待って!受けるとは言っていないのに話を進めないで。っていうかジェイドはどうするの?もう国には帰れないでしょう。港は凍ってるし、いっしょに行くんじゃないの?」
ジェイドは首を左右に振ると
「すいませんが、国に帰えります。防衛戦を行わないといけないですし・・・まあ、王太子なんでいないとまずいんですよ。不利なのに私がいなかったら戦う前に降伏しちゃいそうなんで。帰りはリリアーヌ様の黒鉄号に送っていただきます。可潜艦なら氷の下を通って帰れますから」
「危ないじゃない!」
「危険な時に責任を取るのが王族ってやつです。その為に国民から血税を吸い上げているんですよ」
「・・・・・・・・・・・」
不覚にも何も言えなかった。
「わかってくれてありがとう」
「料金は高いよ」
「乗りかかった船ですので最後までやりますが・・・採算を考えると・・・・」
と、私と船長。さすがに慈善事業じゃ商船は動きません。
「・・・ええっと・・・出世払い・・じゃ?さすがにもう持ち合わせが・・・・」
固まるジェイドさん。世知辛いですが、うちってそんなにお金ないんです。
「私が資金を出しましょう」
と、ジュドーさん。なぜかリリアーヌ様が固まっています。小声で『あの守銭奴が・・・』と言っています。昔、何かあったんですね。藪蛇っぽいので聞きませんが。
「母さん、そんな目で見ないでください。レゴを租借する代金としてです。我々としても占拠という形より租借地としたほうがいいですからね」
「助かります」
「しかし」とジュドーさんは続けます。
「残念ながら人間の国の通貨は手元にありません」
そりゃそうか、いままで交流なかったもんね。どうすんの?とジュドーさんに視線を送ると少し考えて
「貴金属か・・・・魔道具か・・・」
私の第六感がささやく。
「魔道具でお願いします」
さすがに武器なんかは無理だったが、モンスター除けの呪符や照明用簡易宝珠を大量に仕入れられた。人間の技術でも作れなくはないが非常に高価だったりする。それが恐ろしく感じるくらい安く売られていたのだ。これを大国の貴族どもに売れば莫大な収益が・・・・・
「うふふふふふ」
笑みがこぼれる。
「喜んでいただけてよかったです」
振り返るとジェイドが立っていた。
「危険なことに巻き込んですいません」
「大丈夫!危険って言ってもジェイド程じゃないしね」
ジェイドはほっとしたような笑みを浮かべて
「そういっていただけると助かります」
「だから・・・死んじゃ、ダメだよ。何となくジェイドが死ぬと私たちも死んじゃいそうな気がする」
ふいに私の中の女の子が顔を出します。
「ははっ、貴女のためにも死なないようにしなくてはいけませんね」
「そう、じゃあ、約束・・・」
私は右手の小指を差し出す。
「ええ」
ジェイドも右手の小指を差し出した。二人だけの秘密の約束がここにできた。
出港すると大きな島がどんどん小さくなっていく。何だろう。なんども体験したことなのに特別にモノ悲しく感じる。
「しまった!!!!!!」
私は突然、青い海に向かって叫んだ。
ジェイドが何を企んでいるか聞くのを忘れていた。もう当事者になってるのに!!
「私のアホーーーーーー!!」
再び叫ぶがもちろん誰も答えてはくれない。
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