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幻覚教育  作者: 月海みやび


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12/12

Case12

目には目を、歯には歯を⋯

暴言には暴言を、暴力には暴力を⋯


犯した罪の重さは、痛みを体感しなければ理解出来ない。


ならば、痛みを知ればいい。

そして、自らの過ちを悔い改めよ⋯


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『千佳⋯もうすぐ、お姉ちゃんになるのよ⋯』


懐かしい⋯

優しい母の笑顔⋯


『ほら、千佳⋯!お姉ちゃんなんだから、妹に遊ばせてあげなさい⋯!』


妹が大きくなるにつれて、母に怒られる事が増えた。


『千佳⋯!うるさいわよ!』


⋯声を掛けただけなのに、うるさいの?


『お姉ちゃんと違って、あなたは良い子ね⋯』


⋯妹には優しい笑顔を向けるのに、どうして私には怒るの?


『あら、テスト100点だったの!?凄いじゃない⋯!』

『っ⋯お母さん、私も100点だったよ!』

『お姉ちゃんなんだから、当たり前でしょ?イチイチ、媚びを売るみたいに報告して来ないで』


⋯同じ100点なのに、私と妹の何が違うの?


『大丈夫?頭が痛いなら、学校休んでいいのよ?』

『⋯お母さん⋯私も頭痛いから、学校休んでいい?』

『何、甘えた事を言ってるの!?お姉ちゃんなんだから、頭痛いくらい我慢して学校行きなさい!』


⋯妹は学校休んでいいのに、どうして私は休んじゃいけないの?


不満が溜まっていく⋯


『妹なんて、欲しくなかった⋯!』


もう我慢出来ない⋯!


私の気持ちを他所に、母から平手が飛んでくる。


『謝りなさい!』


いつも、悪いのは私なの⋯?

私が、全部悪いの⋯?


涙が溢れて、止まらない。


「っ⋯ごめんなさい⋯!」


母に向けた言葉じゃない。

だって、私は一人っ子だから⋯


大好きな母の面影に重なるのは、私自身⋯


「虐待される気持ち、理解出来ましたか?」

「っ⋯私⋯娘の気持ちなんて、考えてなかった⋯」


溢れて止まらないのは、涙より後悔だった⋯


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「報告します。虐待の罪で幻覚教育対象者となった、小宮千佳ですが⋯。その後⋯児童相談所に行き、娘達は一時保護となったようです。」

「⋯児童相談所、ですか⋯。」

「はい⋯。自身の罪と向き合うのに、時間が必要だと⋯。」

「それで⋯。一時保護、ですか⋯。」

「身体的な虐待はないので、一時保護で大丈夫だろうと判断されたようです。」

「⋯君から見ても、一時保護で大丈夫そうかな?」

「⋯おそらく、大丈夫だろうと思います。小宮千佳も、反省していますし⋯。」

「そうか⋯。わかった。暫くは、こちらでも様子を見よう。」

「お願いします。これにて、幻覚教育を終了致します。」

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