2話_愛し子_
うんぅ?
体が揺さぶられてる?
重い瞼を擦りフラフラと体を動かす。
「おはようぅ...パパママぁまだにぇむいよぅ」
一人の≪純粋無垢を具現化≫したような程、綺麗で美しい猫耳を生やした少女が目を覚ました。
どれほどの芸術も彼女の美しさを、キャンバスに描くことはできない。
そんな猫の少女は今日も今日とて、目覚めてすぐに、
パパとママから抱き着いて離れない。
(パパぁママぁぁ)
抱き着く猫娘からは確固たる可愛し意思を感じる程。
私は抱き着いたまま瞳を閉じようとする。
そんな甘える私にパパは厳しく言う。
「もう、だめだぞ!いつまでもそんな甘えちゃ!」
ママが私の頭をコネコネと撫でる。
(ママぁやめるにゃぁ..あぁううわぁにゃぁ)
コネコネコネコネ
コネコネコネコネ
「餅になっちゃうニャ!」
私はコネられすぎて、叫ぶ。
よい子のはまぐ〇か何かなのか?
限界のサバイバーなのか?
コネの文字が10回クイズみたいに並んでるニャ!
甘える種族柄とはいえ、限度があるようで、次はママから怒られました。
「カリン?もう.....世界で一番かわいいからって、一人でおきられるようにならなくちゃ?」
私こと、カリンの事を思ってくれている発言と考えるだけで、パパとママへの好きがどんどん溢れる。
少し体が離れるだけで、嫌な気分になる。
(パパとママともっと近くに居たいにゃぁ)
だから私は直ぐに力を込めてパパに抱きしめた。
「にゃぁぅ」
私は、まだ子供とは言え、大人を視野に入れる年頃だ。
両親のことを異常なほど愛していた。
何故かパパとママは、それが心配だと言うのです。
(いただけないにゃ!)
飼い主等に甘える気質が強いネコ科だったとは言え、確かに私にも自立は大切だ。
今日も今日とてパパとママは厳しくしているつもりらしい。
「えぇ、パパとママに起こされたいにゃ!」
その私の言葉を聞いて二人は顔を見合わせ、悶絶する。
「「私たち(俺たち)もにゃー!」」
お互いに抱き着いて、抑えきれない感情があふれ出る。
それからは私はいつも通り、毎日のように、繰り返している学校の準備を始めました。
朝ごはんを食べているときにママが、私に話しかけてくる。
「カリン?昔と違って平和だけど、他の種族に喧嘩や虐めはされてない?」
と、パパとママに私は毎日聞かれていた。
私は愛されてることがやっぱり嬉しかった。
「にゃん!みんな良いやつだにゃ!でも友達まだできないにゃぁ.....」
私は大人からは好かれたが、同年代とはうまくいかなかった。
達観して子供らしくなかったから?違います。
逆で子供らしすぎたのだ。
大人ぶりたいのが子供です。
大人の魅力に憧れている年代なんです。
そして私が距離を置かれているのは、純粋ゆえ、クラスのアイドル的な立場に居ました。
そうなはずです。
私はクラスでも愛されてるんだぁ。
同性からは触れられない愛玩動物。
異性からは宝石として。
決して嫌われることなく........
そう両親に思ってもらえるように説明をする。
そう私はは思い込む.....そうじゃないとパパとママが心配しちゃうにゃぁ。
真実から目を背け、気づかないふりをするのでした。
(ん?不吉なニュースだにゃぁ)
テレビでは色んな不吉なニュースが流れていた。
爆発やらなんやら、世界はあわただしいみたい。
殺人鬼がいるだとか、怖いにゃ。
被害者の皆は可哀そうだ。その程度の感情が芽吹く。
そんなニュースを垂れ流しにしながらパパとママが、雑談に花を咲かせます。
「あなた?最近大丈夫?私も働かにゃくて?」
「あぁ、大丈夫だ気にすんにゃ!上手くやってるよ」
「変な処遇とかあってない?」
「大丈夫だって、恨まれる種族だからと言っても、法が守ってくれるさ」
パパがそういうと、ママがハッとしたようにパパを睨む
パパも気づいたのかヤバッと、言う表情で私の顔を覗き込む。
≪恨まれる種族≫
パパとママは、私にいっぱいの隠し事をしてるんだ。
それはちょっとだけ嫌だった。
でも心配はかけたくないから。
だから私はみんなが気づいている中、
「おいしいにゃ~!」
気づかないふりをするんだ。
私たちが恨まれた種族であることを。
私が不自然なほど得意な、無知を演じました。
だからこそ私は純粋無垢と呼ばれてるのかもしれません。
するとパパとママは安心したように息を吐く。
私はパパとママが大好きだ。
「おいしいにゃ?よかったにゃぁ!いっぱい食べるにゃ!」
ママが嬉しそうに言う。
食べてる途中なのに顔をぷにぷにしてくる。
(もう..食べにくいにゃぁ)
そう思いながら、ママの手に顔を寄せる。
「世界で一番美味しいから、パパも仕事頑張っちゃうぞぉ!」
パパが笑いながら言います。
「パパ仕事辛いにゃら!私が働くにゃ!」
私は少しでも役に立ちたくて、そんなことを言う。
「おぉそれは頼もしいなぁ、じゃあパパの事、養ってもらおっかにゃぁ?」
パパはニヤニヤしながら言うと、
「はんにゃ!」
次の瞬間パパは消えました。
はんにゃ!と叫びながら、ママに壁に埋め込むほど強く叩かれて体が見えなくなりました。
「もう!カリンに変にゃこといわにゃいで!」
ほっぺを膨らませたママはしっぽをフリフリしていました。
「おいライカ、普通壁から尻は出るぐらいの威力じゃにゃいのか?サイヤ人だっけ種族」
「そんなわけにゃいでしょ。ほらカリン?もう学校に行く時間が近づいてきてるにゃ」
「うん!分かったにゃ!...教科書もおけにゃ!」
頭を撫でてくれるのが嬉しくて、キラキラとした瞳でパパたちを見ると、
パパ達はとろけるような顔をする。
「カリンは偉いなぁ。ライカとは大違いだ....ライカもランドセルの準備を..」
ライカから金色のオーラが出て、誇り高き種族の力があふれ出る。
「あなた?私悲しい...あなたが今日で命日なんて。家族をうしなうのか。カリン私に元気を分けて頂戴?」
ママが頭上に両手を上げて、元気球を用意しています。
必殺技すぎるにゃ!
「カリン手を上げちゃダメだ!父さんが死んでしまう!カリン、ライカを止めてくれ!誇り高きライカが暴れる気だ!」
「パパ?ママ?私の元気ならいっぱい上げるにゃ!」
私は必死にママにン~!っと元気をあげるような素振りを見せる。
「さようなら、あなた。あの爆発したクリ〇ンのように」
「!!あの地球人の事かぁ!」
私はは心の中で、逆だニャ!と突っ込みを入れる。
クリリンのことを地球人なんて言う悟〇を私は見たくない。
食事を終え、私は手を合わせてご馳走様にゃ!と言う。
席を立ち。パパとママの間を往復します。
パパとママの体制を屈ませて、頬っぺたに自分の頬っぺたをスリスリして、しっぽで抱き着く。
「パパにも元気渡すにゃ!」
これはいわゆるマーキングで、お風呂に入り匂いを管理するようになって、頻繁に起きるようになった種族行為だった。
「元気いっぱいにゃぁ~」
そんな朝食を済ませた後は、
パパは仕事の準備を終わらせて、ママは食器の片づけを終わらせました。
テレビの音...歩く音..パパとママの会話の音...部屋の匂い...あぁ落ち着くにゃぁ。
学校に....行きたくないにゃ....。
「ふにゃぁ」
そんな声を漏らしながら私は動きます。
私はパパとママのその準備のどちらも手伝い、一生懸命に足を動かして、お掃除やいろいろなことをした。
その姿をパパとママは泣きそうな顔で見つめていました。
「寂しいにゃ?」
泣きそうな顔だから、私は心配で聞くと、
「あぁ大丈夫だよ..ライカを視界に入れたから涙が出ただけだよ?」
エッグいこと口から出てるにゃ!
「あなた?それはどういう意味かしら?」
「あはは...カリン先逝ってるぞ?」
そう言って人差し指と中指をおでこに当てて、瞬間移動を使うように一瞬でママにぼこぼこにされて消えました。
私が手伝うと嬉しそうにするから、私も嬉しかった。
ぼこぼこにされたパパがパンツ一丁で壁に突っ込んでいる。
シメジ育てるゲームかな?
そんなパパを無視してママが話しかけてきた。
「カリン?好きな色ってあるかにゃ?」
私は急に何だろうと思いながら答えました。
「白色だニャ!ママとパパが私を純白ってよく言ってくるからニャ!」
こんな時まで愛が溢れている答えに心が潤うような顔をする両親。
パパとママが頬が落ちそうなほど、ニヤニヤしていた。
私はママとパパから純白の天使とよく言われるから白色が好きだった。
両親は思った...心が洗われるとは、このことだ。
そんなママと私は雑談をしながら、皆で玄関に向かいました。
パパはいつの間にか玄関に居ました。
スーツもしっかり着こなしながら。
そんな玄関でママが話しかけてくる。
「カリン、早く帰ってきにゃさいよ?誕生日だから今日はカリンが好きにゃスイーツのお店に行くにゃ!」
頭を撫でながら元気に言う。
「え!本当にゃ!?嬉しいにゃぁ!パパ!ママ!」
私は目を輝かせる。
あの甘くとろけるようなお店にゃぁ!
玄関で、はしゃぐ私を見て確かに、私より幸せで泣きそうな顔をパパとママがしていました。
「あぁ..楽しみにしておけ!最高の一日にしてやるにゃ!」
俺は幸せだ。
パパは思う。
俺達両親が泣きそうになるのは必然だ。
その理由は簡単で、この幸せの名前が「家族」と呼ばれるものだったから。
しっぽがずっと揺れている家庭だった。
「もうすぐ学校行くにゃ!」
私はなるべく寂しさを隠しながら元気に言う。
玄関の靴を履く。
パパとママが買ってくれた可愛い靴と服とランドセルを身にまとって....。
家計が豊かでないと知りながら、甘えて買ってもらったものだ。
パパが作ってくれたハンカチもしっかりランドセルに入れて。
「出る準備できたにゃ!あとは、、、パパとママ!こっち来てほしいにゃ!」
「「????」」
二人はパパが作ったしっぽに穴を開けたスーツとエプロンを着たまま私の前に立つ。
しっぽの穴はパパが開けたものだ。
パパはママや私の服も一部作ってくれていた。
色んなネコ科に必要な道具はどうにも、高くつから。
贅沢は言えないし、パパが作る服や道具はなんでも好きだった。
そして、身を二人で屈めると、その二人に私は
「ぎゅぅ!ほんとに嬉しいにゃぁ」
大きく手を広げて顔をすりすりして抱き着きました。
言葉では言い表せない。
その感謝をどうにか伝えたかった。
「「っ!」」
パパとママは悶絶します。
「「友達頑張って作るんだよ!無理しなくていいから!行ってらっしゃいにゃ!」」
二人は悶絶しながら、挨拶をしてくれる。
両親を置いて、物寂しそうに今日も学校へ私は行く。
それが正しいことで..日常という至高の日々なはずだから。
(なぜだろう...胸が苦しい...行ってきますが口からでないにゃ)
扉をゆっくりと閉めます。
惜しみながら。
今日も頑張らなくちゃと、胸を強く叩きます。
「........」
「........」
玄関には少しの無言が続く二人の姿が残った。
俺達の娘....カリン。
俺は父親でいられているだろうか。
「はぁ...ライカ...俺頑張るから」
最初は多くいた我ら種族も今では数が少ないことからも、立場の弱い存在なのは明らかで。
毎日毎日。自分の辛さを忘れるほどカリンのことが心配だった。
ライカ..カリン..絶対に守る。この場所は俺が。
「ねぇあなた?大丈夫かにゃ?」
「大丈夫さ、絶対カリンを幸せにしよう」
俺は仕事のモードに入り、人間語を話す。それを聞いてママ安心する。
二十年前か三十年前かは覚えてないけど、法律で多様性の世界になったとはいえ、
人数の多い言語にそろえ協調性を持たせることが、
我々種族の自由がないことを明らかにしていました。
「手はうってる、最悪乗り込んででも」
「それは最終手段よ..担任に今は任せましょ..友達ができるかもしれないんだから」
「あぁ..そうだったな」
握り締めたこぶしが緩みます。
二人で不安を押し込めます。
ママはそんな言葉づかいを完璧に気遣うパパを頼りに思いました。
「いや、それにしても会社で甘囲店のチケットがもらえたのは良かったよ」
この店はカリンの好きなスイーツ店だった。どうにも、高くつくから普段は買えないのだが。
無料チケットなんて贅沢なものがもらえるとは、感謝しないとな。
「楽しみにゃ」
ライカは嬉しそうに言う。
「ライカと結婚してよかった」
「どうしたにゃぁ..それはこっちのセリフニャ」
思い出す、ライカが妊娠していたころを。
種族柄のせいで、どの病院を受け入れてくれなかった。
和文先生と出会えなければどうなっていたか。
和文先生ってのは病院の先生で、俺たちを差別せずに受け入れてくれた人だ。
それからの子育ても..最初は本当に大変だった。
夫婦喧嘩もいっぱいした。
地面に頭を擦り付ける事だってあったなぁ。
そんな昔の事をふと思い出していた。
「頑張ってきたな」
「何言ってるにゃ!これからもカリンの為に頑張るにゃ!」
二人で自信満々に胸を張る。
それが虚勢になろうと。
「あぁそうだな!」
「........」
≪扉の外には無言でこの会話を聞く小さな影があった≫
私はパパとママのそんな会話をドア越しに聞いて、今日もあの寂しい学校を頑張ろうと思う。
そしてドアから背を離して、家とのつながりを一時的にたちきる。
耳が良くてよかったにゃ。
頑張る力を手に入れたにゃ!
ここからは、私も頑張る番だ!瞬きもせず前を見て動き出す。
「にゃぁ」
寂しそうな声で私は呟きます。
その鳴き声はあまりにもか細いものでした。
通学路では時間がなく、種族の取柄である逃げ足を活かして急ぐ。
腰を曲げて、強く踏み込み人とは思えぬほどの跳躍力とスピードで走る。
遅刻をしたりしたら、パパとママに迷惑をかけちゃうから。
人通りの多い通学路を、人目に付かないように駆けていく。
その一方でライカは扉を開けようとするパパを見て最後の一言を残そうとする。
言霊があるわけでもないのだが。
鎖を自分に付けるためなのかは分からないが。
「絶対に幸せにするにゃぁ!」
そう宣言する。
ライカは意気込む。
可愛く二の腕を強調しながら。
私の夫は世界で一番頼りになるんだから!何があっても大丈夫なのにゃ!
私たち種族は、過去に多く色んな種族と人間を殺した種族でした。
「頑張るんだにゃ!」
胸を叩いて心を強くする。
今でも恨まれている。
世界の法的処置で我々種族が許されたとしても、法があるだけでは意味がないのです。
これは敷かれた線路を走る列車のような人生を送ることを拒否する反応と似ています。
逆張りや特別..唯一性...どれもが魅力的すぎる言葉だった。
だから法があっても犯罪が消えない。
法と私怨
とにかく法と自信の感情を天秤にかけて、法が上に上がれば従う理由がなくなるのです。
そうなれば犯罪でも復讐の手が私たちの過程にまで届いてしまう。
そのことがあるから、カリンのことがやっぱり心配だった。
私たちは、以前の同種族の殺しとも、無関係とは言え、本当にカリンの事だけが心配でした。
「幸せニャ~」
ライカはパパに改めてそういうと、外に出ようとしているパパは嬉しそうに返す。
「あぁ、幸せだな」
「ねぇアニャタ?カリンにだけにでも、家族の幸せをあげられるかな?」
「大丈夫だ、俺たちの分もあいつには家族の良い記憶でいっぱいにしよう」
そう言ってパパは出かけて私はこの家を守るのだ。
昔の私とパパのように、帰る場所が無くならないように。
そうして今日も
「行ってらっしゃいにゃ!」
「あぁ行ってきます!」
嬉しそうにパパが返事をして、帰りを待つ時間が始まるのだ。
カリン...世界で一番優しい子。




