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退魔列伝…神の血を引く少女  作者: 久住岳
第1章 神の血

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第7話 出羽三山の守護神

七、出羽三山の守護神

 

 羽田空港から庄内空港まで空路で移動し、庄内空港からはレンタカーを借りて出羽三山、羽黒山の麓の祖母の社を目指した。空港から一時間程走り山に向かう道に入ると、すぐに舗装された路面から土の路面に変わった。暫く山道を走っていくと懐かしい景色がみえ祖母の社に着いた。社は祖母が生きていた頃と同じように、清浄な気に包まれ綺麗に整然としていた。祖母を慕って集まってきた村人や祈祷に訪れていた人々が、祖母の死後も社を保ってくれている。

 私も年に一度はここに戻り祖母と同じように祈祷をしている。祈?を願う村人は多く毎朝、社に集って精神統一の業を行っている。霊力の強かった祖母を頼って遠方から訪れる人も多く、祖母の霊力で邪気を払う業も行われていた。今は祖母の門徒の高弟たちが社を守り退魔業も引き継いで行っているが、高弟達に祖母ほどの霊力はなく困った時には私に連絡がくる。社の前で祖母の門徒の方が出迎えてくれた。

 

 門徒『若、お戻りくださり有難うございます。明日は十五人の相談者が待っております…二人ほど私達では対処できない方がおりますので宜しくお願い致します。そちらの娘さんはどなたですか?』

 

 流川『若はやめてください。この子は僕が後見人を引き受けている荻原莉緒さんです。』

 

 莉緒『はじめまして。荻原莉緒と申します。両親が亡くなって困っているところを、流川さんに助けて戴いて未成年者後見人になって頂いています。流川さん、若って呼ばれているのですね(笑)。この社はとても居心地がいいですね。澄んだ霊気が満ちていて…何かしら澄んだ妖気も感じます。』

 

 莉緒の気に社に漂う霊気…妖気にも近い…が重なり合うように感じた。莉緒が今まで出会った中では奈良の大峰山麗…前鬼と後鬼の気に近い感じがした。鬼でありながら役小角に師事し世の災いを払う為に力を使った二体の鬼。邪仙や妖魔の気とは纏う気質が違った。この社の漂う気はその気に近かった。

 

 門徒『驚きましたな、この社の霊気を先代様のような表現で仰る方がいるとは。先代様は社には天狗様の霊気が宿っていると言っておられました。』

 

 社の門徒は莉緒の表現に驚いた様子だった。流川の祖母、社を守る先代は霊力が強く、この地を司る天狗と気を共有していたと言われていた。天狗の霊気と祖母の霊気が融合し、社と周辺は清浄な気質の結界が張られていた。祖母の死後も祖母の霊気は社に残り、流川の霊気も加わる事で結界を維持しているようだ。

 

 莉緒『天狗様?天狗っているんですか?でも…鬼がいる位だもの天狗様がいても不思議じゃないですね。』

 

 門徒『鬼…鬼がいましたか?凄い事をいう方ですね。若…いや智様、屋内は片づけてあります。今日はゆっくりとお過ごしください。』

 

 門徒に案内されて莉緒は屋内に入っていった。私も後から屋内に入り祈祷を行う《修験の間》に莉緒を連れていった。《修験の間》は社の中心に造られており、祀られている天狗の霊力が強い場所と祖母は語っていた。祖母は存命時には毎日のように《修験の間》で祈祷を行っていた。祖母の死後は高弟達が集団で祈祷する場所になったが、年に数度は私が祈祷を行った。

 《修験の間》は清浄な空気と厳格な空気が混ざり合った空間だ。両親や祖母に連れられて幼い頃からこの《修験の間》で過ごした私には懐かしい匂いがする。私にとっては安らぎの場所でもあった。修験場に入ると今まで感じた事のない違和感、視線を身体に覚えた。妖しいものではないが突き刺すような気が込められている。一人で《修験の間》で祈祷している時には感じなかったものだ。莉緒の霊気に反応しているのだろうか…何かが視ている感じがした。

 

 莉緒『何か…気を感じますね。誰でしょうか?流川さんのお婆さんではないようですが…。』

 

 流川『うん、僕も感じるよ。こんな事は初めてだ。』

 

 二人が何かの視線を感じて周囲を見渡した時、莉緒の身体から温羅が離れ姿を現した。温羅が実体化した時、流川達を取り巻く霊気が更に強くなり、修験の間の空気が氷つくような感じがした。気温が一気に十度以上、下がった感じさえする。実体化した温羅は構える事もなく戦う意思がない事を示していた。

 

 温羅『わしに反応したようじゃの。敵ではないわ、姿をみせたらどうじゃ。』

 

 《修験の間》の空気が更に冷え緊迫した気質に変わっていた。温羅が戦闘の意思がない事を伝えると、間の空気は和らぎ清浄な気が戻ってきた。やがて護摩焚きの囲いの中に、立つ影がぼんやりと見えてきた。護摩焚きの炎が大きくなり炎の中に実態がはっきりと視えてきた。手に羽団扇はうちわを持った大きな天狗の姿だった。莉緒が感じた妖しい清浄な気はこの天狗の気だったのだ。

 

 天狗『鬼神が何の用事でここに参った。社の守り人よ、鬼神をこの社に連れ帰ったはなぜじゃ…答えよ。』

 

 莉緒『お待ちください、大天狗様。私は荻原莉緒と申します。ここにおられる鬼神はわが身を守る守護神です。訳あって流川さんと行動を共にしています。事情をお聞き頂けませんか?出来れば天狗様のお知恵をお借りしたいと願っております。』

 

 護摩焚きの炎の上に立つ大天狗は温羅と視線を合わせたまま、清浄なる地に鬼を連れ帰った理由を流川に問いただした。祖母から社を護る天狗の話は聞いた事はあったが、流川自身は天狗を見た事はなかった。現れた大天狗の神々しさに唖然として立ち尽くしたままだった。その様子を感じた莉緒が慌てて大天狗に言葉を返した。大天狗の視線が温羅から莉緒に移った。

 

 三光坊『莉緒と申すか…不思議な気を放つ少女よな。我が名は三光坊、鬼神も敵意はないようじゃ。鬼神よ、そなたの名は何という。』

 

 温羅『わしは吉備の国の温羅と申す。』

 

 三光坊『ほ~…あの温羅か。史的には吉備津彦命に退治された事になっておるが、事実は古代の邪神を吉備津彦命と封じたと聞いている。封印は解けたという事か…では話を聞くとするかの。』

 

 現れた大天狗は三光坊と名乗った。三光坊…出羽三山の天狗を統率する大天狗であり、出羽三山の開祖である蜂子皇子はちこのおうじだとも言われている。飛鳥時代の崇峻すしゅん天皇の子であった蜂子皇子はちこのおうじは、崇峻すしゅん天皇が蘇我馬子により暗殺され身に危険が及び都を抜け出した。上陸した海岸から八咫烏やたがらすに導かれて、羽黒山に登り出羽三山を開いたと伝えられている。修験の修行を突き詰める中、大天狗になったと言い伝えられている。

 

 流川『三光坊様、温羅殿が封じていた邪仙は莉緒ちゃんが滅しました。そして温羅殿は古代の邪神討伐の為、莉緒ちゃんと約を結びました。私達は滅した邪仙が言い残した《巫女》や《姫》という存在が邪神だと思っております。』

 

 莉緒『海で出会った海妖が月読様の使徒だったのです。海妖は月読様なら邪神について何か知っているかもしれない言ました。お心当たりはございませんか?』

 

 流川と莉緒は大天狗・三光坊に吉備の国、岡山で温羅と出会い、邪神の側近と思われる邪仙を滅ぼした事を話した。そしてその時、滅びゆく邪仙の末期の言葉…巫女…この存在がまだ何処かで息を潜めている可能性がある。邪神の復活を阻止して滅ぼす為に鬼神・温羅達と力を合わせている事を伝えた。大天狗・三光坊は二人の必死に言霊を、目を閉じて黙って受け止めていた。

 

 三光坊『なるほどの…月読様か…わしが出羽の国を開祖したのは千五百年前の事じゃ。月読様はすでに天界に帰られた後じゃからよくは知らん。月読様は月山神社に祀られておる…月山神社に行けばなにかわかるかも知れんな。

 

 莉緒『邪神について何か知っておられる事はありませんか?』

 

 三光坊『邪神か…太古の邪神は遠く南の地、九州に居を構えたと聞いておる。神の子らが邪神を封じその後、神の子から王を選びその地を統治したと聞く。邪神の汚れを土地から浄化するのに百年の歳月を費やしたと聞いておる。その間、神の子の血を引く者がその地を統治し、浄化が済んだ後ヤマトに戻ったという言い伝えじゃ。そなたはやしろの後継の者だな。そなたも身に鬼を潜ませておるようだな。何者か。』

 

 三光坊の眼は流川の内部に潜む鬼の存在を感じていた。流川は温羅に警戒していた大天狗に、これ以上の警戒感を持たせない為に霊力で二体の鬼が表に出る事を抑えていた。三光坊の警戒感が薄れた事を感じ、鬼人を抑えていた力を開放した。三光坊の前に前鬼と後鬼が鵜川の身体から離れ実体化して姿を現わせた。

 

 前鬼『三光坊殿、お久しゅうございます。我らは主と共に三光坊殿に一度お目にかかった事がございます。我が主は役小角様でございます。』

 

 三光坊『お~、小角殿に従えし鬼人達であったか。何故、その者の内に潜んでおるのだ?』

 

 役小角は修験道の開祖である。修験の修行で各地を訪れ、千三百年前に出羽の地を訪れていた。その時すでに蜂子皇子はちこのおうじは大天狗・三光坊に変化しており、役小角と枚鬼、後鬼と羽黒山で対面していた。山岳信仰を祖とする修験道を極めた三光坊と役小角…幾晩も語り合っていたと伝えられている。前鬼と後鬼は千三百年前の邪仙と役小角との闘い、その後の結界の守りについて三光坊に話した。

 

 後鬼『邪なる者の力は強く小角様の法力をもってしても滅するに至らず、何とか小角様が封じられ我らに結界の守護をお命じになられました。』

 

 三光坊『そうであったか…小角殿でも滅する事が出来ぬとは邪仙の力は恐るべきものじゃな…邪神の力はその邪仙よりも強大なのであろうな。相分かった。我ら天狗の一族も力を貸そう。全国に散らばる同胞に邪神の探索をさせよう。莉緒と申したか、そなたからは不思議な気を感じる。高千穂という神の発祥の地がある。その地を尋ねるがよい…何かわかるやもしれぬぞ。』

 

 三光坊は役行者の法力をもってしても、滅ぼせなかった邪仙の存在に驚愕を覚えた。しかも前鬼、後鬼という強力な鬼人を使徒に持っていたにも関わらずだ。流川と莉緒が語った邪神の存在に無視できない危機感を覚えていた。三光坊は邪神の討伐に力を貸すことを約束してくれた。そして莉緒の発する気に何かを感じたのか、神が舞い降りたと言われる高千穂に行く事を助言した。

 

 莉緒『御助言有難うございます。邪神の地と神の地はともに九州にあるのですね。必ず訊ねてみます。』

 

 三光坊『何かわかった事があれば前鬼に伝える。行く先々にいる我ら天狗族の同胞にも、そなたらの力になるように伝えておく。精進せいよ、さらばじゃ。』

 

 三光坊は護摩焚きの炎の中に姿を消した。三光坊の威厳が去り辺りに静寂が戻り、《修験の間》はひんやりとした冷気に包まれていた。温羅は莉緒の身体に戻り前鬼と後鬼は流川の中に戻った。翌日、早朝に起床し三光坊が言った月読を祀る社がある、月山の山頂小屋奥の月山神社に向かった。出羽三山の一つ月山も修験の修業の山だ。修験者は山伏の装束を纏いほら貝を吹き山頂の神社を目指した。

 

 現代になっても山伏装束でほら貝を拭きながら、月山神社に詣でる行事は行われている。流川は修験道の一族であり本来であれば修験装束で参拝しなければならない。しかし今日は莉緒と普通の登山スタイルで登った。雪深い月山は六月までスキー場が営業している。スキー場用に使われているリフトに乗り、そこから約一時間半かけて登山道を登った。

 

 莉緒『登山は初めてです。大変だけど何か心が澄んでいく感じがしますね。』

 

 流川『登る時は何も考えてない時が多い。無心で登ってる感じになるから、精神統一状態に近いのかも知れないね。登っていくうちに天狗がつくっていう登山者は多いね。登に連れて苦しさが無くなり楽になるから、天狗がついたって言うらしいよ。』

 

 夏の熱い陽射しが注いでいるが標高が上がるにつれ、気温は下がり心地よさが増して来る。景色も遮るものは無く雪渓や花々の美しさが際立って見えている。月山は登山としては比較的、楽に登れる部類に入る山だ。慣れない莉緒にもなんとか登って来れていた。リフト駅から一時間半で山頂の本宮に着いた。月読神社は本宮の裏手にあるらしい。

 

 莉緒『山の頂上に神社があるんですね。修験道って体力が必要です…疲れました。』

 

 流川『出羽三山は特に山岳宗教的な要素が強いからね。役小角様が山々で修業して修験道を確立されてから、こういった山岳信仰の場所が開かれてるんだよ。お祓いをしてから本宮にはいろうか。』

 

 山頂にある神社の狭い門をくぐり本宮の中に足を踏み入れた。この神社は登山者も多く参拝する場所という事もあるのか、本宮周辺には神聖な空気が漂う感じではない。むしろ雑然とした感じさえ覚える。静寂さや神聖さは薄いが本宮は清浄な空気に満ちていた。本宮の中を進み裏手に入ると月読様が祀られたやしろがあるはずだ。裏手に入った莉緒の眼に小さな社が見えてきた。

 

 莉緒『これが月読様のお社…。』

 

 流川『莉緒ちゃん…祈ってごらん。』

 

 莉緒は社の前に跪き無心になり一心に祈りをささげた。暫くすると莉緒の周りに霊気が漂い、お社からも光が射し始めてきた。微かな神光だが神々しさを感じる光だった。温羅が莉緒から離れ流川の肩に乗ってきた。祈る莉緒と小さな社をみつめながら、独り言のように小さな声で呟いた。

 

 温羅『月読神の神気は残されておるようだが姿を現さぬな…降臨はせぬな。何かわかれば良いがな。』

 

 温羅によると社に月読の神気は残っているが微かなものらしい。月読がこの地を離れて二千年以上の月日が経っている、年月が過ぎ流れた事で神の気がかすんでしまったのか?月読と話す事は出来そうもなかった。祈?を終え莉緒は立ち上がり流川と温羅の元にやってきた。

 

 莉緒『月読様の存在は感じるのですが、お言葉は聞こえませんでした。おそらくこの地は三光坊様をはじめとする、天狗様にお任せになられているのでしょう。』

 

 流川『そうか…確かに大天狗様がいれば降臨する必要はないのかもしれない。莉緒ちゃん、九州に行って調べるしかなさそうだね。』

 

 莉緒『そうですね。でも来て良かったです。こんな清々しい山のてっぺんに来れるなんて、新潟県に住んでいた頃は考えた事も無かったもの。今回の旅は三光坊さんに会う為の旅だったのかもしれませんね。』

 

 莉緒は月山の山頂から広がる風景を見渡しながら、清々しい気持ち良さそうに顔で言った。月山山頂の月読神社では手掛かりになるような物は見つからなかったが、月読の神気に触れる事が出来たのは、莉緒の持つ異質の気にとって良かったように感じた。山から下山する時は普通の若い女子に戻って、山の空気と景色を楽しんでいるようにみえた。山を下り社に戻ってこれからの事を莉緒と相談した。

 

 莉緒『三光坊様が仰っていた邪神の跡地って何処にあるのでしょう…流川さん心当たりはありますか?』

 

 流川『可能性があるのは吉野ケ里遺跡だと思う。僕は伝説の女帝、卑弥呼が邪神かもしれないと考えていたのだけど、年表や情報と整合性が取れなかったんだよ。三光坊様の話だと邪神を神の子達が追放した後、百年間に渡ってヤマトの民が治めたという話だった。その時のヤマトの統治者の中に、卑弥呼の名を名乗った人物がいたのかも知れない。それだと情報や年表と整合性が取れる。』

 

 流川は現存している歴史書や伝承などをかき集めて、邪神にまつわる文言が残っていないか研究していた。邪神の時代は平安や武家政治が始まる時代よりも、もっと前の伝承の時代になる。日本史では弥生時代に該当する。その時代の正確な史実は一切残されてはいない。天皇家の年表では神話時代に該当する。読み解いた神話時代の中で現存する遺跡、そして該当すると考えられるのは佐賀県にある吉野ヶ里遺跡だった。

 

 莉緒『吉野ヶ里遺跡って弥生時代になるんですよね?温羅さんが邪仙と闘ったのは千七百年前と言っていましたよね。』

 

 流川『卑弥呼が日本を統治していたという時代は、中国の魏志倭人伝によると西暦二百五十年前後。神の子達が邪神を封じた後、百年に渡って土地の浄化の為、統治したという話だと、西暦百五十年~百八十年位に封じられたと考えられる。それだと邪仙が吉備に来た年代とも整合性が取れるんだよ。』

 

 流川が考えた構図は…西暦百数十年の時代、佐賀県の吉野ケ里遺跡に邪神と邪仙が存在していた。その存在に危機感を持った神が神の子と呼ばれる者たちを、邪神討伐の為に向かわせて闘いとなった…闘いは恐らくは神の子の勝利となったはずだが…敗れた邪仙が各地に飛び散り二人が吉備に行き、一人は温羅が封じもう一人は役小角が封じた。邪仙が生き残っている事を考えれば《巫女》と呼ばれる邪神も封じられただけの可能性が高い。

 

 流川『吉野ケ里遺跡に手掛かりがあると思う。』

 

 莉緒『夏休み中に行かないといけませんね。流川さん三光坊様が仰っていた高千穂にも行きたいです。』

 

 流川『そうだね。吉野ケ里遺跡に行ってそのまま熊本を抜けていけば、宮崎県の高千穂はそんなに遠くはない。一度東京に戻って出羽での出来事を纏めてからいく事にしよう。』

 

 流川と莉緒はその後三日間、出羽のやしろに滞在し、流川はやしろの神事を行い、遠方から相談に来た十数名の除霊を行った。予定されていた神事が全て終わり四日後に東京の自宅に戻った。自宅に戻ると集めた資料と情報を時系列で纏めて、自分なりに解釈して想像し体系化していった。

 

 1、西暦百五十年~邪神が集落を統治

 2、西暦百八十年前後~ヤマトの民、神の子?ら邪神の集落を急襲し邪神をどこかに封じる。

 3、西暦百八十年~ヤマトの神の子?の末裔が地の浄化のため邪神の地を統治

 4、西暦二百四十年前後~魏志倭人伝に卑弥呼の記載

 5、西暦三百年頃~吉備の国に邪神の弟子が現れる。一人は東に向かった

 6、西暦三百年~七百年:都で邪仙の呪力で災害、時の呪術者達が都を守るが守り切れなかった。

 7、西暦七百年~役小角が邪仙を封じる。

 

 年表を纏めるとこんな感じになる。封じられた後、弟子と思われる邪仙が二人で百二十年余りの年月を、九州から四国、中国地方を巡っていることがわかる。邪仙が各地を巡った理由は想像でしかないが、おそらく神の子に封じられた《巫女》を探し回っていたと思われる。温羅が護っていた吉備の国の霊気の大きさに、邪仙は巫女の封印の地と思ったのかも知れない。一人がすぐに去った所を見ると封印の地ではないという事がわかったのだろう。

 去った一人は都に封印のヒントがあると思い、都への関与を数百年に渡って続けたと思われる。その後の陰陽家や密教、神道関係の情報でも、他の地で邪仙が出たという話も封じたという話も出てきていない。巫女の側近と思われる邪仙は二名しかいなかったのか?それも現時点では定かではない…しかし歴史上に大きな災害をもたらせた邪仙の話は、千数百年の長きにわたって出て来ない。他に邪仙がいたとしても何処かで封じられているのかもしれない。

 卑弥呼の時代、ヤマトの国では神功皇后じんぐうこうごうが摂政として国を治めていた。皇后は朝鮮半島にも出兵したと伝えられている。その時に中華に使者を遣わせた可能性はある。七十年の長きに渡りヤマトの国を統治していた女帝ならば、何か知っているか関与していても不思議ではない。しかし神功皇后も神話の時代の話だ。裏付けを取るのは困難だろう。

 そして莉緒の存在だ。安倍晴明の血を継ぐ陰陽道の家系というだけではないようだ。莉緒の発する破邪の光柱は陰陽道でも密教でも修験道でもない。道教や神仙術にも出てこない。邪仙が滅する時に言った『天光』という言葉、出羽三山で三光坊が感じた莉緒から感じる不思議な気。三光坊は神の発祥の地に行けと言った。莉緒と邪神を封じた神の子達は、何か関係があるのかも知れない。だとすれば莉緒がこの時代に生を受け、力を覚醒させた事は神の計画の一端という事になる。九州に行けば何かが…必ずわかるはずだ。


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