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第12話 覚悟

 じゅ、10万ラルグって……

 宿泊まるのが3ラルグだったよな?

 インフレが激しすぎるぞ。


「ちょっと待ってもらってもいいですか?」

「はい! いいですよ」


 どうしよう。

 スズさ……スズから貰ったお金ってそれ以上あるのかな?

 でもその貰ったお金をここで使うのはクズすぎないか?

 手軽に受けるテストって感じじゃないみたいだし……


 俺は身の回りを確認する。裸一貫だった。

 お金は宿に置いてきたらしい。まぁあんな重いの持ち運べないわな……

 これは冒険者は諦めろって言われてる気がすんな。

 ――でも文字も読めねぇ奴が普通の職につけるわけないよな。

 今日を逃したら冒険者になれんのは一年後と……


 よしっまず貰ったお金をここに持ってこよう。そしたらここにスズとかいるみたいだし、相談すればいんだ。それから決めよう。俺はそう決心した。


 ――


「ハァーハァハァハァーゴホッゴホ」


 まじで疲れたーこれ重すぎ! 俺は宿にお金を取りに行きそしてギルドに戻ってきていた。


「この袋の中全部金貨ですか?」

「え? わからないです」


 金貨? ラルグとか言ってるからそういうシステムじゃないんじゃないのか?


「金貨じゃないですか! これなら全然足りますよ!」

「そ、そうですか……いやちょっとまってください! もう少し時間をください」

「いいですけど今日中ですよ」

「はい!」


 生き急ぐな俺! 落ち着いて考えろ。今が人生の岐路だぞ。


「あのースズ達ってどこにいますか?」

「まだギルド長のとこにいると思いますよ」

「ギ、ギルド長……」


 ここで待つか……俺はベンチに腰掛けた。

 今日は色々ありすぎたからなーすごく眠い……目が霞む。

 少し寝るか……ってバカ! ここで寝たら金消えてる! それ黄金パターン! 俺は瞳孔をぱっちり開いた。

 でも眠すぎる。授業中みたいなもんだ。別に寝たいわけじゃないのに眠気に抗えない。意識が朦朧としている。お金を抱きしめて寝よう。おやすみ……


「おい」


 ――ガァァン


「うわぁぁぁぁぁぁあああ!」


 俺は驚き思わず飛び起きた。


「お前なんでこんなとこで寝てんだよ」

「なんだレインかー驚かすなよなー」


 レインが俺の座ってたベンチを蹴ったのか……

 足癖悪いな相変わらず……


「ねぇ」


 こ、この声は……


「なんであんたがここにいんの」


 スズだ……後ろにはサニーとアフィシナンテさんもいる。なんかスズさん怒ってらっしゃる。


「私は宿で待っててって言ったはずだけど」

「い、いやー色々ありまして……す、すいません!」

「はーまぁいいや……で……なんでここにいるの?」

「えっと冒険者テストの応募期限が今日だと聞いて……」


 俺がそう言うと空気がピリッとした。

 なんか俺やばいこと言ったかな……


「ミサーはやめといたほうがいいと思うけど……」

「やっぱそうなのか?」

「うーんお兄はどう思う?」

「あー別にミサカにその覚悟があるならいんじゃねぇの」

「おい! レイン! 無責任なこと言うな」

「無責任もなにもこいつがそう決めたなら外野があれこれ言う話でもねぇだろ」

「それはそうだけど……」

「どーせお前はこの話を聞いて、それなら王都に連れていく方が安全なんじゃないかみたいなことを考えたんだろーけど……お節介が過ぎんだよ」

「べっ別にそんなこと考えてないわよ!」

「嘘がバレバレ」

「うるさい!」


 なんかほんとごめん。俺のせいで喧嘩になってる。

 俺覚悟とかそんな大層なもん決めたわけじゃないんだ……

 いっちょやってみっか! ってテンションなんだよ……


「テストってそんな危険なのか?」

「んーテストっていうか応募期限の次の日から応募した人は『冒険者見習い』ってカテゴリになるの」

「冒険者見習い?」

「そう……冒険者見習いは冒険者しか受けられない依頼(クエスト)を受けることができるんだけど、それで1ヶ月以内に規定された量以上の依頼(クエスト)をクリアすれば、はれて冒険者になれるってわけ」

「そうなのか……」

「まぁそりゃあ見習いに難しい依頼(クエスト)は受けられないようになってるけど、簡単な依頼(クエスト)でも君には難しいと思う……」

「……」


 俺には黙ることしかできなかった。結構厳しいことを言われてるが、それは俺の身を案じてくれているからだと分かっていた。

 俺は何をやってんだ。スズ達にも色々あるのに無駄に心配かけて……俺はバカか。自分のことぐらい自分で決めろ。俺がしっかり覚悟を決めれば心配なんてされないんだから。


「冒険者にならなくてもまずはそのお金でなんとか生きられるわけだしなる必要は……」

「いや」

「え?」

「俺は冒険者になる。それが俺のしたいことだって分かったんだ。聞いといてごめん」


 そう言うとみんながレインの方を見る。多分俺の覚悟か本物なのか偽物なのかレインには分かるのだろう。


「はっ……それなら精々がんばることだな」

「おう! レインとまた会う時にはレインぐらいの男に成長しとくよ」

「はっ、期待しないでおく」

「なんでだよ!」

「はーまぁ私がどうこう言う話じゃないかー」

「スズさん!」

「な、何?」

「俺あんなことカッコつけて言ってますが受験料にあなたにいただいたお金を使ってもよろしいでしょうか!?」

「もうあんたに渡したんだからあんたのお金でしょーが。使い方ぐらい自分で決めていーよ」

「ありがとう! 絶対返す!」

「あーはいはい」


 俺は本当報われてんな。

 俺は10万ラルグを受付に出した。


「見習いになるのっていつからですか?」

「明日からですね」


 明日かー……ってアシタ?

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