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(3)この世で1番美しい少女は、王子様と再会しました

シンデレラが王子の元へゆっくりと近づいていきます。

しかし、二人の距離があと50mというところで、突然全ての電気が消えてしまいました。

そしてそれから数秒後に、鐘が鳴りました。


ゴーン……ゴーン……ゴーン……


「あら、十二時の鐘だわ!」


「まあ、いつの間にそんな時間になっていたのかしら?」


周りの人もざわめきはじめます。

その声を聞いて、シンデレラも焦ります。


「(そんな、もう時間だなんて……このまま此処にいたら、私服に戻ってしまう。いくら私が美しいからって、流石にTPOを弁えない姿ではいられないわ!)」


シンデレラは深呼吸をすると、周りの声に負けないように大きな声で言いました。


「さようなら、王子様。またお会い出来ることを祈っております」


シンデレラは言い終えると急いで出口へ向かいました。暗闇の間に外に出なければなりません。


「……分かった!! 次は私から会いに行く! 君だけに分かる探し方をしてみせるから!!」


王子はそう言って、離れていく足音を見送りました。




暫くして再び電気が着いた時には、もうシンデレラの姿はありませんでした。その代わりに、小さな靴が置いてありました。


「あれ、もしかしてあの子が履いていたやつじゃない??」


どこからかそんな声が聞こえてきました。

しかし、誰もそれに対して返事をしませんでした。シンデレラが履いていたといえばそんな気もするし、違うと言われればそんな気もしてきます。つまり、シンデレラの美しさに魅了された事により、だれも足先まで覚えていなかったのです。


「王子、この靴であの少女を探せますね!」


「……いや、それはしなくていい。僕とあの子は前世で、滅多にない出会い方をしているからな」


王子はそう言うと、従者を連れて自室へ戻ってしまいました。



「……あら、変ね。 時計ではまだ11時じゃない?」


「本当だわ! 鐘が壊れてしまったのかしら?」


残された舞踏会参加者達はそう話し合いながらも、それぞれまた食事や世間話に戻っていきました。













その舞踏会の終了後、王子から国全体に対して、とある通達が出されました。


[私の結婚相手を探していく。地域ごとに私が直接行くので、「私と初めて会ったときの姿・体制」で待っていてくれ。]


この通達を聞いた女性達は、皆舞踏会と同じように懸命におめかしをして王子を出迎えました。そして、その動きはシンデレラの家でも同じでした。


「さあシンデレラ! あの時のように最高のをするわよ! 所で、あの時のお洋服はどこにやったの? 着替えとかも手伝ってあげるわ!」


義姉はノリノリで尋ねましたが、シンデレラは真剣な表情で裁縫を始めました。


「ちょ、ちょっとシンデレラ? なんで今更ドレスを仕立てているの? あの舞踏会のドレスは?」


継母も困惑した表情でシンデレラを見つめています。シンデレラは一度手を止めると、二人の方を向きました。


「私、前世を覚えているというお話をしたことがありましたよね? 多分王子は、それを言っているのだと思うのです。だから、その時の服を作っております」


「あ、あら。そ、そうなの??」


「はい。なので、もし宜しければ準備のお手伝いをお願いいたします」


「わ、分かったわ」


継母と義姉は半信半疑でしたが、シンデレラを手伝うことにしました。黄・赤・青で作られた、すると見慣れないながらも可愛らしいドレスと赤いリボンの髪飾りが完成しました。それをシンデレラが試着すると、とっても似合っていました。


「ああ、やっぱりこの頃の私もすごく綺麗だわ。この服装も、私のために作られたみたいに似合っているわ……」


シンデレラはうっとりとした目で鏡を見ています。それを見ている継母と義姉もまた、うっとりとした表情を浮かべていました


「あの子ってばまた言ってるわよお母様……」


「でも確かに綺麗だわ……あの服はあの子のために作ったものよとかいうツッコミを放棄したくなるレベルよ」


シンデレラはその姿に満足すると、次は大きなハサミを取り出して髪を切ろうとしました。継母と義姉は慌ててシンデレラからハサミを取り上げます。


「その美しいロングヘアに何するつもりよ!?」


「前世の時は髪が短かったから切るだけですわ!」


しかし、なかなか離してくれません


「全人類のためにこの長い髪を守らなくては!!」


「確かにショートヘアもすっごく可愛らしいのだろうし見たいのは山々だわ!! でも国宝級に美しいブロンドのロングヘアを切らせるわけにはいかないわ!」


シンデレラはその言葉を聞くと、急にハサミから手を離しました。継母と義姉が安心したのも束の間、今度は黒の染色剤を手に取りました。これもまた2人は必死に染色剤を奪いました。


「返してください!! 前世の髪色に戻すだけですわ!!」


「何を考えているの!? 髪が痛むでしょう!?」


「黒髪スタイルも見たいのは山々だわ!! でもあなたのブロンドの美しさをそれと引換にする訳にはいかないのよ!!」


そんな風に揉めている間に、王子がこの地区にやって来たという知らせが届きました。


「シンデレラ、例え髪型が前世と違っていたって大丈夫よ。だって、舞踏会の時は服装も違ったしあんなに遠かったのに見つけてくださったのでしょう?だから、大丈夫よ」


継母がそう宥めると、シンデレラは渋々頷きました。


「……分かりましたわ。それでは、私は自室で初めてあった時の体制で待っています。義母さまと義姉さまは、この部屋まで王子を連れてきてください」


そう言うと、バタンと扉を閉めてしまいました。



それから10分後、王子と従者たちが家を訪ねました。


「お待ちしておりました、王子様」


継母と義姉が深々とお辞儀をすると、王子は2人を見渡しました。


「おや、資料ではもう1人いることになっているのだが……」


「シンデレラでしたら、部屋で貴方様をお待ちしております。部屋へ案内いたします」


王子はその言葉を聞くと、嬉しそうな表情をしました。2人は心の中で大喜びです。


「それでは、案内をお願いしよう」


「はい、こちらでございます」


王子と従者、それから継母と義姉は期待に満ちた表情で扉を開けました。


そこには、ベッドの上で眠っているシンデレラがいました。彼女の周りには、七匹のぬいぐるみ達が並べられています。

継母と義姉は慌ててシンデレラの元へ駆け寄ります。


「ちょ、ちょっとシンデレラ!? 王子様が来るという大切な時になんで寝てるの!? 起きなさい!!」


しかし、シンデレラはその言葉に反応しません。

王子はそれを見て更に嬉しそうな表情を浮かべて、シンデレラに駆け寄りました。


「ああ、なんと美しい人だろう。せめて口付けだけでもさせてくれないか?」


そう言って、シンデレラに口付けをしました。するとシンデレラも嬉しそうに起き上がり、王子に抱きつきます。


「王子様、ずっとお待ちしておりましたわ」


「ああ、遅くなってごめんよ。今世は前世よりもっと幸せにしてみせる!!」


2人はそう言って抱き合いました。

それを見ていた継母と義姉は、ポカンとした表情で互いを見つめます。


「……ごめんなさい、今の状況が全く理解できない私がいるわ」


「……と、とりあえずシンデレラは王子様の相手として選ばれたってことでいいんじゃないかしら??」


「そ、そうよね!! お赤飯炊きましょうか!!」


2人は不可解に思いながらも、家の中へ戻っていきました。


そうして再会できた王子とシンデレラは、幸せに暮らしましたとさ。


おわり


一応これにて完結です!

期限ギリギリになった故に、1番書きたいことが書けなかった……!

後書きや別エンド(再び転生エンド)、このお話の今後の予定などは活動報告に載せているので、よければ見てみてください。

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